お知らせ

メール送信フォームを設けました。ブログ記事への問い合わせなどにご利用下さい。

 

エントリー

キーワード「万葉集」の検索結果は以下のとおりです。

ユーミンの罪

  • 2024/04/16 05:55
  • カテゴリー:読み物

刹那を切り取り、積み重ねていくことで、永遠を目指す。そんな意識が込められているような気がする、ユーミンのごく初期の歌。

刹那の輝きと、永遠の魔力。両者を手に入れとようとするユーミンの姿勢は、後々もずっと生き続けている気がしてならないと著者は言う。酒井順子著「ユーミンの罪」(講談社現代新書、2013年)から(p17)。

「読んだらすぐに理解できるタイプの散文ばかり書いている」著者が、デビューアルバムまで遡って、「わけのわからないところからじんわりイメージが滲み出てくる」歌詞を読み解く。雑誌連載時のタイトルは「文学としてのユーミン」。

引用部分の「ごく初期の歌」とは、デビューアルバム「ひこうき雲」(1973年)に収録された「空と海の輝きに向けて」。歌詞に散りばめられた「月」「門出」「海原」は、威勢のいい「熟田津に船乗りせむと月待てば~」(万葉集、巻1-8)を彷彿とさせる。けれど、続く「ただひとり帆を上げる」「命の舵を取ろう」からは、長く険しい人生行路への覚悟が読み取れる。「雲帆を挂けて滄海を済らん」と詠む、李白の「行路難」のようだ。

ユーミン(サイト内)。ウィリアム・ブレイク「無垢の予兆」

験なき物を思はずは

  • 2024/04/02 05:55
  • カテゴリー:読み物

験なき物を思はずは一坏の濁れる酒を飲むべくあるらし

万葉集の巻3、第338番。「考えても仕方ない物思いをしないで、一杯の濁り洒を飲むのがよいらしい」。作者の大伴旅人は、妻を想う、死んでしまって二度と逢えない妻を。

今の心情にぴったり来る歌はないものかと、万葉集だったりユーミンの古い曲だったり色々と眺めている。昨夜は旅人が詠んだこの歌を胸に酒を飲んだのだった。

考えても仕方ない物思いか、そうなんだよな。そんなことに想いを巡らせているくらいなら酒を飲んで酔っぱらってしまう方が良い。ほんとそう思う。そう思って酒を飲むのだけれど益々物思いに沈むことになったりする。

あれは岐路だったんだな験なき恋をもするか出逢う順番選択を間違えた場合に迷い道ビフォア・サンセット性格はかえられるのか国境の南、太陽の西万葉の歌十選(いずれもサイト内)。万葉百科|奈良県立万葉文化館、ユーミンと古き日本の心|ブルカニロ博士の研究室

験なき恋をもするか

  • 2024/03/30 06:06
  • カテゴリー:音楽

験なき恋をもするか夕されば人の手まきて寝らむ児故に

万葉集の巻11、第2599番。恋しても仕方ない恋をしたものだ、夜になれば、ほかの男の手を枕に寝ているだろうあの子を相手に。そんな意味だろうか。

ユーミンの「かんらん車」が思い浮かんだ。アルバム「流線形'80」(1978年)に収録されている。この歌にこういう歌詞がある、「きっとあなたは窓の外を見てる、あの人の肩を抱き寄せて」。

詠み手が男か女かという違いはある。自分の恋は思い通りにはいかない。恋する相手は別の人と暮らす、その情景が心にある。今も昔も人は失恋と嫉妬に苦しむ。

万葉の歌十選田辺聖子さん死去ユーミンのアルバム十選(いずれもサイト内)。ユーミンと古き日本の心|ブルカニロ博士の研究室

失われた兵士たち

  • 2024/03/13 06:00
  • カテゴリー:読み物

一つの時代を後世の価値観で裁くことは、私たちがおちいり易い錯誤である。国家に殉じることが、最高の名誉とされた時代もあったのである。反戦を叫ぶ現代の日本人が一時代前に戦って死んだ人々よりもすぐれていることにはならない。

野呂邦暢著「失われた兵士たち-戦争文学試論」(文春学藝ライブラリー、2015年)から引用した(p26)。作者唯一の評論。

「文学論というより、一種の書誌的論考」とあとがきで記されている。「戦争文学の枠をとりはずし、ドキュメントや手記のたぐいをも紹介することで、日本人が戦った戦争とは何であったかを考えてみた」(p450)。

万葉集をぱらぱらと見ることがあって、そんな折、「現代の日本人が一時代前」どころか古代の人たちに比べても「すぐれていることにはならない」と思ったりする。この野呂の評論や戦争文学とはまったく関係のない話なのだが。

例えば、「我妹子が額に生ふる双六のこと負の牛の鞍の上の瘡」(巻16-3838)という、わけのわからない歌がある。意味不明の歌をつくれる者に褒美をとらす(或有作無所由之歌人者賜以錢帛)、その問いかけに応じて献上されたのだとか。千数百年前にそんなユニークでナンセンスな言葉遊びに興じる人たちがいた。今の人が古い人より優れているなんて決して言えない。

昭和史百冊野呂邦暢(いずれもサイト内)。万葉百科|奈良県立万葉文化館

鯨獲りの海

もう見付けているんだ。何が悪かったか、もうじぶんで判っている。

まだ上手くできない見習い砲手を師がそう評する。NHKスペシャル「鯨獲りの海」から。捕鯨船団を取材したドキュメンタリー。

いさなとり、という枕詞がある。いさなは鯨の古名。万葉集に何首かある、まず思い浮かぶのは、海は死にますか山は死にますかの、あの旋頭歌だろう。「鯨魚取り海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干て山は枯れすれ」(16巻3852)。

# NHKスペシャル「鯨獲りの海」(NHK総合、10/6 2:10、初回放送7/3)石田圭祐語り

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

ユーティリティ

« 2025年04月 »

- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

孤立死2万人超
2025/04/27 06:01
クリス智子、あの人の本棚
2025/04/26 05:59
らくらじ2
2025/04/25 05:40
30-touchpad.conf、E200HA
2025/04/24 05:54
角幡唯介、あの人の本棚
2025/04/23 05:59
六厩越え
2025/04/22 05:57
あなたが誰かを殺した
2025/04/21 06:04
沖縄離島の有事避難案
2025/04/20 06:00
べらぼう(15)
2025/04/19 06:55
アイロンのある風景
2025/04/18 06:06

過去ログ

Feed