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キーワード「雇用」の検索結果は以下のとおりです。

教育反対の経済学

  • 2022/12/01 06:27
  • カテゴリー:読み物

学業で成功するのは良い仕事を獲得するにはいいが、良い仕事をするすべを学ぶ方法としては役に立たない

多くの雇用主が、学業・学歴を手っ取り早い採用基準としている以上、所謂いい大学を目指さないわけにはいかない。しかし、そこでは「卒業後は使わない退屈な内容を山ほど学びながら過ごす」ことになる。

ブライアン・カプラン著「大学なんか行っても意味はない?-教育反対の経済学」月谷真紀訳(みすず書房、2019年)の「結論」から(p407)。原著 The Case against Education: Why the Education System is a Waste of Time and Money [Bryan Caplan, 2018]

著者の主張するところは一理ある。が、「良い仕事をするすべ」とは一体どんなものだろうか、とか、一見「使わない退屈な」学問が人生を豊かにしてくれる可能性がある、どうやら普通の学校(四年制総合大学含む)と職業訓練校を区別して議論する必要がありそうだ、など、いくつか気になることはある。

ABEMAの「本日無料」で映画を観ていたら、こんなやり取りがあった。「こういう仕事って特殊な技術でしょどうやって勉強したの」「この会社に入ってから教わりました」「へえこういう仕事って素人でも雇ってもらえるの」。映画「カラスの親指」(2012年)での上田耕一、能年玲奈(のん)お二人の会話。

プリズン・ブック・クラブABEMA(いずれもサイト内)

日米首脳会談、22年5月

これだけ安全保障という言葉が日米首脳会談で出たのはあまり記憶にない

前嶋和弘氏がラジオの番組でそんな風に言っていた。その日米首脳会談の翌日(5/24)六紙社説は一斉にこれを採り上げた。朝日と東京が2本ずつ書いたので計8本。その中から少し意見を拾ってみよう。

産経(5/24)。岸田首相や閣僚らは「台湾有事は日本有事」の「認識を共有し、発信していくべき」。「国民を守るため日本には核共有や独自核も含めタブーなき議論が求められる」「安全保障の基盤の核抑止は一日たりともおろそかにできない」、米軍の「核の傘の点検、強化をまず急ぎたい」

毎日(5/24)。「アジアの安定を維持するには、何よりも日本が国益を守るための独自外交を戦略的に展開する必要がある」。「経済協力や技術革新、資源外交を通じて日本の国益を確保し、世界に貢献する」「総合安全保障」を「復活させてはどうか」。「専守防衛や非核三原則などの基本方針との整合性をないがしろにしてはならない」「防衛力は、侵略を抑止し、敵を撃退する最後の手段だ。武力衝突を未然に防ぐことにこそ、心血を注がなければならない」

このように、ウクライナ危機に乗じた勇ましい主張もあれば、ちょっと冷静になろうよと好戦的雰囲気を諫める声もある。ただ、左派系の3紙(朝毎東)とて、「日米同盟が基軸で、防衛力の着実な整備が必要」(朝5/24a)などのように、日本における防衛力の整備や強化に反対はしていない。武器を手当てすることは基本OKということだ。防衛費が多いだの少ないだのと各紙色々意見があるだろうけれど。

防衛費に関連して、こういう指摘がある。「日本の防衛力増強を歓迎する大統領の姿勢からは、自国の重い軍事的負担を、日本をはじめとする同盟国や友好国に分担してほしいとの本音が透ける」(東5/24b)。

米国は、負担を軽くし日本に分担させる。つまり日本に武器を買わせる、売り付ける。自国の軍需産業が潤う。これこそ、真の「本音」ではないのか。「支持率低迷に苦しむバイデン政権」(経5/24)としては、秋の米議会中間選挙を前に、できるだけ点数を稼いでおきたい。この時期に慌ただしくアジアにやって来た気持ちが判らなくもない。

始動が表明されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)にも触れておこう。これは、環太平洋経済連携協定(TPP)とは違って、「関税の撤廃や引き下げについては盛り込んでいない。米国内で、雇用への悪影響を懸念する声が強いためだ」(読5/24)。TPPには参加せずに、関税を考慮しないIPEFを提案。やはり米国は自国の利益を最優先に考えている。

米国にとって好都合なことばかり。そうなるように仕組まれているように見える。桶屋は儲けることを考えて、あらかじめ風を吹かせたのではないか、黒海の辺りで。

さて、5/23週の六紙社説では、そのほかに、日米豪印クアッド首脳会談、豪州新政権、国民審査巡る違憲判決、北ICBM発射、首都直下地震の想定、阿武町46百万円誤入金、訪日客の受け入れ再開、ロシアによるウクライナの港湾封鎖、補正予算案、北制裁に中露拒否権、米国の小学校乱射事件などが題材になった。

六紙社説(サイト内)。政界地獄耳「バイデン大統領、なぜ羽田でなく横田基地に来るのか」(日刊スポーツ、5/24)、「日米首脳会談・重要ポイントは?」前嶋和弘▽マイあさ!(NHKラジオ第1、5/24 7時台)

日本版ライフシフト戦略

  • 2022/04/16 06:13
  • カテゴリー:読み物

会社は働かないおじさんを解雇できないし、ほかに移すポジションもありません。おじさんたちは仕事へのやる気もなく、ただ定年を待つだけ。頭数としてはカウントされているが、実質的に工数ゼロの働かないおじさんを見て若手はフラストレーションを溜めるのです

50代後半のおじさんが働かない、と若手管理職が嘆く。そんなおじさんは「妖精さん」とも呼ばれるのだとか。徳岡晃一郎、木村勝共著「ミドルシニアのための<日本版>ライフシフト戦略」(WAVE出版、2021年)から(p100)。新着コーナーにあったのを借りた。

「人生100年&80歳現役時代」を生き抜いていくために(p2)と煽る。確かにそうなる人もいるだろう。まさか全員ではない。どういう人がそうなりそうで、さらにその内のどういう人が対策(本書で言う戦略)を必要とするのか、まず、それを考えるべきでは。とも思うけれど、本書を買う(読む)のは、自分が対象者だと思うおじさんだろうから、そこで選別されるわけだ。

が、そうやって手にするおじさんに、果たして、本書は役立つだろうか。例えば、転職経験のないミドルシニア(40歳~)に、30代での中途採用が強化されている(p39)と知らせても酷なだけだ。事程左様に手遅れっぽいアドバイスが多いように感じる。そもそも、いい年になり、この本を読まなければ、と思うおじさんが、一冊の本を読み何かに目覚めるのは、そう簡単なことではない。気付く人はもっと早くに気付いている。

社会全体としては、雇う側のダメージこそ心配すべきでは。50代後半から働かなくなるおじさんの定年が65歳、70歳と延びて行く。さらに十年、十数年と、雇用し続けなければならないのだ。どう扱えば良いのか、若手管理職の憂鬱は晴れることはない。彼ら向けの指南書の方が、余程、必要とされるのではないだろうか。

非営利組織の経営(サイト内)。社説「年金の選択肢拡大を働くシニアの拡大につなげたい」(経3/29)

英、EU離脱1年

労働力不足が目立つ現状には、低賃金労働を担う移民が不可欠なのに、移民制度を急激に変えた弊害が表れている。企業の競争力や社会の安定を維持するには、より柔軟な制度が必要ではないか。

英国民の6割が、EUからの離脱は「うまくいっていない」、失敗だった、と思っている。その一因は、移民制度が替わったことにあるようだ。読売新聞の社説「EU離脱1年 英国が払った代償は大きい」(1/22)から。トラック運転手や、介護、食肉加工など、3K分野の人手不足を報じている。

イギリスは移民大国だ。元宗主国として昔の植民地から多くの移民を受け入れて来た。さらには、EUの東方拡大(2004年)以来、東欧から大量の労働者が流れ込んだ。例えば、イギリスに暮らすポーランド人は百万人に達しており、「イギリスの医療部門は、すでにポーランド人抜きには機能しない」(「移民難民」p127)。

移民の有り難みは重々承知している。その受け入れを制限すれば、困ったことになる、特にEUからの低賃金労働者が減る、そのことは判っていたはず。それを覚悟の上で、英国人の雇用を守るために、EUからの離脱を決めたのではないのか。

読売が社説で提唱する「より柔軟な制度」とは何を意味するのか。まさか、比較的給料が高く楽な仕事を英国人のために確保する一方で、低賃金3K労働を中心に、足りない人数分だけ新たに移民を募れ、とでも言うのか。そんな身勝手が許されるだろうか。

さて、1/17週の六紙社説、そのほかには、トンガ海底噴火や、東大前無差別刺傷、阪神淡路大震災27年、通常国会開幕、建設統計不正の報告書、北朝鮮のミサイル、賃上げへの道筋、みずほ銀新体制、DNA抹消判決、水島新司さん死去、バイデン氏就任1年、日米首脳TV会議などが話題になった。もちろんオミクロン対応も。

「改憲」の論点英国総選挙を受けて(いずれもサイト内)。「移民難民」川口マーン惠美著(グッドブックス、2019年)、シュトゥットガルト通信|現代ビジネス

トヨタEV戦略

市場の声に耳を傾け過ぎるがゆえに革新に乗り遅れる、いわゆる「イノベーションのジレンマ」に陥らないよう注意してもらいたい。

トヨタは、電気自動車(EV)に本腰を入れると表明したものの、日本で人気の高いハイブリッド車なども選択肢として残す。そのことに対して釘を刺しているわけだ。引用は、日本経済新聞の社説「トヨタのEV巻き返しに期待する」(12/16)から。

「イノベーションのジレンマ」という用語の使い方には違和感を覚える。それはリーダーに対して使われることが多い表現だ。EVでは日本勢は出遅れている。日本人の好みに合わせてハイブリッドを深追いするなということなら、注意すべきはガラパゴス化、その方が適切ではないか。

かつて仕事柄、近未来の車について、職場の連中とよくディスカッションした。主流になるのは、EV、燃料電池車(FCV)、それとも別のタイプ、どれだろうかと。FCV派の頑なな姿勢に閉口したものだったが、この度、巨人トヨタがEVへ大きく舵を切ることで、その議論にも決着がついたと言えるだろうか。

トヨタのEV戦略については、日経に続いて、東産も採り上げた。EVに関する社説を経読の二紙以外で見るのは久しぶりのこと。特に、東京(中日)は、さすがお膝元だけあって、巨額の広告出稿をする大企業への配慮からか、自動車それもトヨタについて、良きにつけ悪しきにつけ意見するのを避けているように見受けられたが、この度の販売計画に関しては書かずにはいられなかったか。自動車産業の裾野は広く、EVシフトは「大幅な部品点数の減少で、雇用喪失につながりかねない」(東)、そのあたりの事情を重く見たのかもしれない。

12/13週の六紙社説は、そのほかに、オミクロン株拡大、民主主義サミット、G7外相会議、政治団体の雇用助成金受給、10万円給付迷走、核禁条約へのオブザーバー参加に及び腰、米国の竜巻被害、SBIの新生銀買収、外国人住民投票条例案、国交省統計不正、森友訴訟幕引き、米金融緩和縮小、金正恩体制10年、大阪北新地ビル火災、クロマグロ漁獲枠拡大など、盛り沢山だった。

車の電動化(サイト内)。トヨタEV戦略 試される巨人の本腰(東12/17)、トヨタのEV販売 総合力で競争を勝ち抜け(産12/17)

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