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レイニー川にて

  • 2021/01/16 07:27
  • カテゴリー:読み物

それから私は兵士としてヴェトナムに行った。そしてまた故郷に戻ってきた。私は生き延びることができた。でもそれはハッピー・エンディングではなかった。私は卑怯者だった。私は戦争に行ったのだ。

この終わり方には意表を突かれた。ティム・オブライエン著「本当の戦争の話をしよう」(文藝春秋、1990年)に収載の「レイニー川にて」から(p96)。村上春樹訳。

徴兵通知が届く。兵役に就こう。国のために戦う。体面を保つ。卑怯者と呼ばれたくない。いやいや拒否しよう。この戦争には賛成できない。大義はあるのか。侵略戦争ではないのか。もちろん死の恐怖もある。拒否するだけの強さを持っているのか。カナダへ逃げ込んでしまえば簡単だ。主人公は、国境のレイニー川まで車を走らせる。その畔でさらに逡巡の数日を過ごし、そして、自身の立場を思い知るのだった。

# 「二十年を経て振り返って」(p87)。雷鳥の森(サイト内)

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