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この国はどこへ向かうのか

通常国会が召集され、首相による施政方針演説とそれに対する各党代表質問が行われた。在京六紙がどう書いているかを社説で見てみよう。各紙とも満足していないことがタイトルに表れている。

まず、首相の施政方針演説に対しては、「政策転換の説得力欠く」(東1/24)、「空疎に響く首相の決断」(毎1/25)、「反省なき決断の強調」(朝1/24)、「課題解決へ具体策掘り下げよ」(読1/24)、増税など「負担増含め政策実現の道筋を示せ」(経1/24)、「抑止力高める議論をせよ」(産1/24)。

今なぜ防衛強化を進めようとするのか、首相がそれを具体的に説明しないことに対する不満だ。敵基地攻撃能力と言うぐらいなのだから仮想敵があるはずだ。首相の考える敵は一体どこなのか。攻撃して来る可能性はどの程度なのか。もしあるとして、どのくらいの物量で攻め込んで来るのか。それに対抗するのに何がどれほど足りないのか。そんな当たり前の前提すら説明するつもりはないようだ。とにかくGDP比2%だか何だかの額ありき。議論するとしたらその財源ぐらいにしておきたい、ということなのだろう。

代表質問に関しても苦情が並ぶ。「堂々の議論には程遠い」(朝1/26)、「野党の提案や主張を一顧だにしない」(東1/26)、「反対ばかりでは議論深まらぬ」(読1/26)、「首相の国会軽視をただすべき」(毎1/27)、「国民守る議論が足りない」(産1/28)。

そう。国民を守る議論が足りないんだ。ミサイルが市街地に一発でも着弾しようものなら大変なことになる。とにかく安全保障は最優先の課題だ。しかし、先日の日米2+2で米オースティン長官は、台湾周辺での中国軍の活発化が「台湾侵攻が差し迫っていることを意味するわけではない」と述べたと報じられた。首相が提案する軍備増強はホントに必要なのか。平和憲法に基づく専守防衛の理念をあっさり捨てるのか。「価値観の違う国とも相互理解を育む外交の姿が見えない」(東1/26)ことも大いに気になる。

国会での深長かつ慎重な議論が求められる。今国会は、まさに「野党の力が試されている国会」(毎1/27)になるだろう。そう書く新聞各紙は、論点を整理するなど、しっかり援護をすべきだ。増税するしないなどの矮小な議論に陥ることは避けねばならない。国の姿が、これ以上、妙な形にならないよう、野党やメディアは全力を挙げよ(いつもエラそうに書いてすんまへん)。

さて、1/23週の六紙社説は、そのほかに、細田衆院議長と教団、一票の不平等、ウクライナへ戦車供与、国枝選手引退とパラスポーツ、大雪で立ち往生、電気料金値上げ、政府の財政試算、コロナ5類へ、トヨタ社長交代などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。【訃報】目黒考二 逝去のお知らせ(1/25)、日米「2プラス2」台湾海峡の平和と安定維持の重要性確認(1/12)、「これでいいのか?“安全保障政策”大転換」▽ジャーナルクロス(NHKラジオ第1、1/27 20時)

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