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石の骨

  • 2025/10/10 05:53
  • カテゴリー:読み物

真相というものはいつかは知れてくるものだ。その噂も風のように己(おれ)の耳にきこえてきた。

学会の権威が、「田舎の中学校の教師など」に、考古学上の大問題を「簡単に分って堪るものか」、「そんな標本なんかいい加減なものだよ」、と言い放ったのだ。

松本清張著「断碑・装飾評伝」(講談社、1972年)に所収の「石の骨」から(p178)。最寄り図書館で借りた。

主人公、田舎教師の黒津は、考古学者の直良信夫がモデル。その人が旧石器時代の化石腰骨を見付けた場所は、小説の中では、明石ではなく波津という漁村になっている。

市井の学徒による発見を、T大(東大のことだろう)の教授は、否定し無視する、また別の教授はそれを横取りしようとする。事実は、小説より奇なり。現実世界では、こんなことはごく日常茶飯事で、もっと酷いことも起こっている、と思っておくべきか。

直良信夫|Wikipedia、「幻の骨~日本人のルーツを探る」(NHK総合、8/10 16:30-)

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