舟を編む
- 2025/10/07 06:42
- カテゴリー:読み物
我々は、辞書にすべてを捧げねばなりません。時間も、お金も。生活するために必要な最小限を残し、あとはすべて辞書に傾注せねばならない。家族旅行。遊園地。言葉は知っていますが、わたしは実際を知らない。
松本先生が言う。引用は、三浦しおん著「舟を編む」(光文社、2011年)から(p47)。
家族をも顧みず、辞書づくりに全てを捧げた学者。そういう人生もあってもいい。私も研究所勤めの頃は、それこそ寝食を忘れて、日夜、実験に取り組んだものだ。松本先生の言葉はよく判る。
週末、この本を読んでいる頃に、自民党総裁選の結果が速報で流れて来た。選出された高市氏の就任挨拶を目にして驚いた。
「全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります」。
自民党の皆さんに向かって言っているのだろうけれど、報道されることが判っている場面でそんなこと口にするかね。一生懸命とか、身を粉にしてとか、全身全霊とか、そんな風に言えば良いものを、なぜ、わざわざデリケートな表現を使うのだろう。
この方、首相になって、失言とかで苦労することになるのだろうか。
# 舟を編む、「多党時代考」(いずれもサイト内)。「ワークライフバランスという言葉を捨てます」…高市早苗氏、新総裁選出後のあいさつ全文(10/4)、高市新総裁の「ワークライフバランス捨てる」決意発言を一部メディアが批判「法律を軽視」(10/5)