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火天の城

墨を打ち、梁、桁、貫、大引を噛ませるほぞ穴はもちろん、内部用なら敷居、鴨居、長押のための穴、外壁用ならば、壁を塗るための間渡し竹の穴、下見板を取りつける台の穴などを刻む。万が一、ほぞ穴の位置が違っていれば、天主は組めない。乱暴に扱えば、汚れ、傷がつく。時間は足りないのに、仕事はあくまで慎重でなければならない。刻みの日々は、とりもなおさず忍耐の日々であった。

山本兼一著「火天の城」(文藝春秋、04年)から(p202)。安土城を建てた番匠(大工)の物語。話は面白い。それ以上に技術面の記載が興味深い。

木曾上松(あげまつ)が登場する。「太さ一尺五寸角、長さ八間の大通柱が四本」、それを「天下一の檜」の産地である同地に求める。現在、木工の専門学校があるあの上松だ。たまたま知ったのだが、7月場所で優勝した御嶽海の出身地でもあるらしい。

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