福島原発で何が起こったか
- 2019/12/12 21:25
- カテゴリー:読み物
1~3号機では、消防車からの注水配管がしてあったという最低限の準備ができていたこと、また4号機では使用済み燃料プールにたまたま隣の4号機原子炉ウェルに溜められていた水が流入したこと、などの僥倖があった。
そういうことだったんだな。東日本に人が住めなくなる、そういう取り返しのつかない大災害に至らずに済んだのにはいくつかの幸運があったと聞いた覚えがある。どんなことだったのだろうかと思っていた。引用は、淵上正朗ら著「福島原発で何が起こったか-政府事故調技術解説」(日刊工業新聞社、12年)から(p164)。
その他にも、あらためて知ったことがいくつかある。「菅総理は海水注入に反対していなかった」(p69、著者意見)。首相が淡水に固執したことが事態を重くした一因だとおれは思っていた。それは誤解だったのかもしれない。「東京サイドの介入が弊害を生んだ一例といえる」(p83)。下手な介入、それはやはり少なからずあったのだ。そして、「過酷事故回避のシナリオ」が示されている(p136)。より適切な判断が行われていれば、これほどシビアな結果にはならず、メルトダウンした原子炉3つの内2つはそれを免れ得た。もちろんタラレバの話ではあるけれど、その可能性を知るにつけ、著者ら同様「残念なことであった」と思う。
# メルトダウン(サイト内)。バルブを閉じるか開くか「相反する欲求」(p53)、「3月12-16日の正門付近の放射線量と風向き」(p105、図2-47)、「どんな分野でも十分な失敗経験を積むには200年かかる~原子力はまだ60年しか経っていない」(p161、図4-6)