ご趣味は?
- 2024/10/10 04:54
- カテゴリー:音楽
イギリス人の同僚と趣味について話したことがある。
彼と、いわゆるクラシック音楽についてよく語り合った。昼飯を一緒に食べようと出かけた折に、たまたまモーツアルトのピアノ協奏曲19番が流れていて、好きな曲だと私が言ったのがきっかけだった。東の果ての人たちもヨーロッパの音楽を聴くんだな、なんて本気なのか冗談なのか判らないことを言っていたけれど、私が楽器を吹くことも知って俄然色んな話をするようになった。
ロンドンに住んでいた頃は、2つのオケの定期会員だったとか。一つは確かフィルハーモニア管と言ったように思う。ドイツへ引っ越して来てからは、暇を見付けてはオペラハウスに通うようになったらしい。好みのジャンルは広い。バロックから20世紀まで。ただし調のない現代音楽は聴かない。編成は器楽曲から管弦楽曲やオペラまで。
ベートーベンから、ブラームス、マーラーという交響曲の系譜は、彼が好きな話題。ブラ2とマラ5の共通点を熱心に語っていたことを覚えている。それとブラームスの室内楽。六重奏曲の素晴らしさを繰り返し聞かされた。彼に教えられたことは少なくない。
当然、音楽を聴くことが趣味なんだろ、と訊ねたことがあった。こちらが用いたホビーという単語に彼は反応した。音楽を聴くことはホビーではない、と。
隣の部署のウォルフガングが自宅をこつこつ作ってるだろう、ああいうのがホビーだ。それとか研究部門のアンドレアスは根っからの共産主義者。あれもホビー。おまえ(私)の楽器もそう。自分は確かに時間があれば好んで音楽を聴くけれど、それはホビーじゃない、生活の一部と言うべきだろうか。単なる知識。そんな答えが返って来た。
日本語の趣味と、イギリス人の言うホビーは、意味が完全に一致していない。彼らに趣味はなんなのと気軽に訊ねるには、暇な時に何してるの、ぐらいの質問が良いようだ。
# 多発する山岳遭難、バイエル教則本、にわかサッカー観戦者(いずれもサイト内)