実家の母の下に、東の街から納税通知書が届いた。それは、母の叔母さんが遺した未納分の住民税を求めるものだった。
その街の納税係へ電話で照会したところ、相続の先の順位の方が相続放棄したために、母のところへお鉢が回って来たことが判った。相続放棄した人がいる、ということは、負の遺産の存在を否定できない。母も相続を放棄しないと厄介なことになるかもしれない。
相続放棄の手続きをするのは家庭裁判所だ。その街を管轄している家庭裁判所はどこかを納税係の方に教えてもらい電話を切った。
続けてすぐその家庭裁判所に電話。相続放棄の手続きについて訊ねたところ手際よく教えてくれた。申述書を家裁へ郵送する。いくつか添付すべきものがあるので説明文をよく読むように。書式や記入例などはwebページにある。webでの検索方法はこれこれこう、と。さらに注意点2つが追加された。相続の開始を知ってから3か月以内に申述する必要がある。家裁に必着で消印ではない。郵送か家裁へ持参でも可。それと、申述書の記入は本人でなくても良いが、自署と捺印は必ず本人で。
やはり、いつでも相続放棄できるわけではない。3か月以内なのだ。いつから数えて3か月かという問題はあるけれど(後述)、とにかく、残された日数は限られる。
家裁の説明文に急ぎ目を通した。申述書に添付する書類は、甥や姪の場合は以下。
1) 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
2) 被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
3) 申述人(相続放棄をする方)の現在の戸籍謄本
4) 被相続人の兄弟姉妹のうち申述人の親の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人は、母の叔母のことなので、1) は叔母さんの戸籍。そこに死亡の記載がある。話はここから始まるので、添付資料として求められるのは当然だろう。けれど、これがどこにあるのか判らない。叔母さんの本籍地はいったいどこだろう。
2) は叔母さんの住民票除票または戸籍の附票。亡くなった時の住所が判る。これによって管轄の家裁が決まるので必要な情報だろう。住民票除票はどこにあるかは判る。今回、納税通知書を送って来た東の街だ。しかし、戸籍の附票なら、1) と同じところにある。取り寄せる作業は減らす方が良いので、1) 2) 併せて請求することにしよう。
3) にある申述人は、私の母のこと。この戸籍謄本によって相続放棄しようとしているのが誰かを明らかにする。母の本籍地は判る。問題なし。
4) 被相続人の兄弟姉妹のうち申述人の親、これは母の父。その人は既に亡くなり、今回の相続権がその子である母に移って来ていることを示す必要がある。母の父、私にとって祖父であるその人は、30台の若さで亡くなった。それに、当時は大家族で暮らしていた。おそらく彼の死は曾祖父が筆頭の戸籍に記載されているだろうと推測。母の実家の戸籍だ。
そんな風に、これら添付書類について見当を付けた。問題は、母の叔母さんの本籍地だ。母も知らないと言う。叔母さんの出生から順にたどる必要があるだろうか。それならば、祖父の妹なので、曾祖父の戸籍に記されているはず。4) と同じ戸籍謄本という可能性が高い。それを取り寄せることから、まずは始めようか。
母の叔母さんの本籍地が転々としていたりすると、ややこしくなる。戸籍謄本の記述を追って、次々順番に取り寄せていかなければならない。期限に間に合うだろうか。
などと、思いを巡らせる内に、はたと思い当たった。あそこなら、これらの情報が一式すべて揃っているはず。電話で訊ねてみよう。果たして、教えてくれるだろうか。
この日は、帰省最終日。沖縄へ戻る便の時刻を気にしながら作業を進めた。つづく
# 叔母が姪に遺したもの、帰省、25年1月(いずれもサイト内)