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キーワード「文庫100冊」の検索結果は以下のとおりです。

イン・ザ・プール

  • 2022/01/31 06:29
  • カテゴリー:読み物

これはシビれるよ。つまらない悩み事なんて確実に吹っとぶ。なにしろ追われるわけだからね。命すらあぶないときに、どうして家や会社のことなんかにクヨクヨできるのよ

不定愁訴(ストレス性の体調不良)で悩んでいるなら別のことに目を向けるべきと精神科医がアドバイスする。例えば、繁華街で頬キズ裏街道のお兄さんでも襲ってみればと。奥田英朗著「イン・ザ・プール」(文春文庫、2006年)の表題作から。ページ数をメモし損ねたまま返却してしまった。

地震など大災害もいいけれど「呼んでも来ない」ので、頬キズ裏街道が妥当な線では。「休みをとって紛争地帯へ行く」という手もある。

文庫100冊(サイト内)

チーム

  • 2022/01/22 06:27
  • カテゴリー:読み物

単純な話、速い選手を10人集めたら勝てるはずなのに、現実はそうならないあたりに駅伝の奥深さを感じます。

堂場瞬一著「チーム」(実業之日本社文庫、2010年)、付録の対談から(p436)。すすめられるままに読んだ。駅伝の話だったんだな、読むまでそのことは忘れていた。

脈絡なくこんな話を思い出した。パレトの法則(2:8の法則)を人材に当てはめると、100人いれば、20人が優秀で、80人がそうでもない、ということになる。では、その優秀な20人だけ選び出してチームを編成するとどうなるか。しばらくすると、やはり、比較的、優秀な4人とそうでもない16人に分かれて来る。誰かにそう聞いた。本当だろうか。

文庫100冊(サイト内)

冬の標

  • 2022/01/21 06:42
  • カテゴリー:読み物

あのまま絵の道をすすんでいたら、どうなっていただろうかと、十八年も経ってから思うのは馬鹿げているが、このまま何もはじめなければ次の十八年が繰り返されるだけであった。

嫁に行くことになり、あれほど好きだった絵を続けることを諦める。それから18年が経ち、主人公の明世は36歳になっていた。乙川優三郎著「冬の標」(中央公論新社、2002年)から(p58)。

著者の作品はいくつか読んだことがある。印象に残っているのは、例えば「かずら野」「向椿山」など。これからは、この「冬の標」を、まず思い浮かべることになるだろう。

36歳になった主人公は、柵(しがらみ)を振り払って、絵の道を行くことを決心する。突き詰めて考えた末の結論だった。彼女ほどの切実さはなかったけれど、私にも18年間の逡巡と36歳の決心があった。

私が就職した先は、ある化学メーカーだった。大学で専攻した化学の知識や技術を活かす無難な選択だったと思う。それは確固たる信念に基づいていなかったこともあって、これで良かったんだろうかという思いが時として頭をもたげた。18から20歳の頃に別の道を見ていた。大学を入り直すことさえ考えた。働き始めてからも、それが、いつも心のどこかに引っかかっていた。大した才能はないし意志も弱い、そっちの道はない、それは判っていたけれど、煮え切らなかった。ようやく吹っ切れて、別の化学メーカーに転職し新たなチャレンジを始めたのは結婚が契機となった。36歳だった。私の場合、36歳の決心は、切り替えではなく、迷いながら歩んできた道にどっぷり浸かり直すことだった。

あれから疾うに18年は過ぎた。さらに6年が経とうとしている。第二の転職などそこそこ波乱はあったけれど、やはり無難な選択、その域からは出なかった。主人公のその後の苦難を想像してみて、そんな風に思う。

円卓文庫100冊(いずれもサイト内)

隠蔽捜査

  • 2022/01/17 06:28
  • カテゴリー:読み物

何もするなという指示は、ありがたいようで実はそうではない。本当に何もせずにいると、いざ指示が出たときに対処できないのだ。それなりの準備を整えておかねばならない。

緊急の(かつ重要な)仕事に振り回される、それを避けるための心得。今野敏著「隠蔽捜査」(新潮文庫、2008年)から(p249)。読み終えてすぐにシリーズ次作を予約した。

K氏に宛てたメールの中でこんなことを書いた。「最近読んだ中では、池井戸潤著「空飛ぶタイヤ」と今野敏著「隠蔽捜査」、この2冊はとても楽しめました。両方とも不祥事が描かれます。旧財閥系自動車メーカー、警察官僚の世界、舞台はまったく違うのですが、共通点があります。双方とも、東大出身者が牛耳る組織重視の集団という点です。特に「空飛ぶタイヤ」の中で語られる組織のバカさ加減は的確です。モデルは「組織」の三菱。大いに笑いました。

空飛ぶタイヤ文庫100冊今野敏(いずれもサイト内)

一命

  • 2022/01/10 06:30
  • カテゴリー:読み物

男らしさ、りりしさを求めたのではない。人目につかぬ平凡さに心をひかれた。これという取り柄のないところが好きだったのだ。

討手に選ばれたフィアンセが見事に役目を果たして帰宅する。もう昨日までの平凡な男ではない。娘心は複雑。人の心はわからないものだ。滝口康彦著短篇集「一命」(講談社文庫、2011年)に収載の「上意討ち心得」から(p136)。

最初に収められている「異聞浪人記」が二度目の映画化の際、「一命」のタイトルが付けられた。書名はそれから採られている。

文庫100冊(サイト内)。収録作、異聞浪人記、貞女の櫛、謀殺、上意討ち心得、高柳父子、拝領妻始末

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