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キーワード「文庫100冊」の検索結果は以下のとおりです。

諫早菖蒲日記

  • 2021/12/13 06:26
  • カテゴリー:読み物

小舟なら知らず十反帆二十反帆の大船は漕ぎ手、舵とりが心を一つに合せずば、思う方へすすみません。このこと家の内証をやりくりする女房の胸算と同断

仲間(ちゅうげん)の吉爺が言う。主人公志津はそれを聞いて彼にもかつて連れ合いがいたことに思い当たる。野呂邦暢著「諫早菖蒲日記」(文芸春秋、1977年)から(p59)。

連れ合いは「いかがした」と訊ねるが、吉爺はそれには応えずに別の話をする。互いの興味がずれたまま会話が続く。また、下女のとらに、はぐらかされてしまう場面(p122)も出て来る。下働きの彼らと志津とのやり取りがほのぼのとして心地良い。

この著者のことは知らなかった。別の作品も読んでみようと思う。

# ヘネチアテリヤアカ(p195)。文庫100冊(サイト内)。向田邦子が野呂邦暢の小説に惚れ込み、彼の全ての作品をドラマ化したいと言ったという逸話を確かめたい。|レファレンス共同データベース

朝刊休刊日

もう年はとれない

  • 2021/12/03 06:33
  • カテゴリー:読み物

遠慮なく他人に面倒をかけられるのは、年をとる三つの楽しみのうちの一つだ。あとの二つは煙草を吸うことと、自分が相手をどう思うか本人に言ってやることだ。

そんな減らず口をたたく87歳の主人公は元殺人課の刑事。ダニエル・フリードマン著「もう年はとれない」野口百合子訳(創元推理文庫、2014年)。引用は、p50から。この本のことは、勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」で知った。

もう一か所引用しておこう、「なにもするつもりはない。なにもしない選択肢があるなら、つねにそれを選ぶべきだ」(p25)。何かの折、選択や決断を迫られることでもあれば、この言葉を思い出すことにしよう。

文庫100冊(サイト内)

人を殺すとはどういうことか

  • 2021/11/01 06:24
  • カテゴリー:読み物

「反省って、事件のでしょう?」「そうだなあ、やっぱ指紋を残しちゃまずいですよね。あとは、共犯に口の軽いのはダメですね。今回は勉強になりました」

受刑者は、こういう人が大半で、悔いたり反省したりなんか、あまり、していない。引用は、美達大和著「人を殺すとはどういうことか-長期LB級刑務所・殺人犯の告白」(新潮社、2009年)から(p78)。L 執行刑期10年以上、B 犯罪傾向の進んでいる者(再犯、累犯、反社会的勢力)。

2件の殺人を犯し無期懲役で服役中の著者が、同囚の殺人犯らに、何を考え、どんな気持ちを抱いて服役しているかを訊ねる。ちょっと親しくなった何人かが心を開き本音を見せる。それが語られる第三、四章「殺人犯の肖像」が興味深い。

文庫100冊(サイト内)。無期懲役囚、美達大和のブックレビュー

努力論

  • 2021/10/29 06:25
  • カテゴリー:読み物

勉強や仕事がうまく行こうが行くまいが、毎日、自分がなすべきことをこつこつと平気な顔でこなしていく人が、じつは一番偉いのである。嬉しい、つらいという主観を超越し、平然と事が行えるようになったとき、そこに三昧の境地があり、悟りがある。

この箇所を読み、「蝦夷地別件」に登場する僧侶洗元のことを再び思った。引用は、斎藤兆史著「努力論」(ちくま新書、2007年)から(p115)。

升田幸三の「陣屋事件」など、棋士のエピソードがいくつか紹介される。余談として真剣師の小池重明も登場する、賭け将棋指しだ。

文庫100冊蝦夷地別件(いずれもサイト内)。自分探しは時間の無駄(p134)

兵士に聞け

  • 2021/10/12 06:31
  • カテゴリー:読み物

見えないものに怯えているというか、逃げを打っているというか、要するにストレートでも変化球でもなく、敬遠策なのである。

著者のインタビューを受けることになっていた自衛官が姿を見せなかった。取材を受けないよう、上官から指示が出たのだった。待ち合わせの場所に近づくこともないようにと。引用は、杉山隆男著「兵士に聞け」(新潮文庫、1998年)から(p442)。

研究所のメンバー数人が選ばれて人事部によるインタビューを受けたことがある。どういう名目だったかは忘れたけれど、現場の様子を生の声から知ろうとしたのだろう。人選は無作為、全社で実施、と説明があった。インタビューの数日前に所長から呼び出された。私が対象者であることは職制に伝えられていたのだ。所長が語るのは遠回しな表現ではあったけれど、その意図はすぐに判った。要するに、弁えろよ、だ。本音は、その自衛官の上官のように、インタビューを阻止したかったのではなかったか。「おまえじゃ何を言い出すかわからない」と。

文庫100冊(サイト内)

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