一命
- 2022/01/10 06:30
- カテゴリー:読み物
男らしさ、りりしさを求めたのではない。人目につかぬ平凡さに心をひかれた。これという取り柄のないところが好きだったのだ。
討手に選ばれたフィアンセが見事に役目を果たして帰宅する。もう昨日までの平凡な男ではない。娘心は複雑。人の心はわからないものだ。滝口康彦著短篇集「一命」(講談社文庫、2011年)に収載の「上意討ち心得」から(p136)。
最初に収められている「異聞浪人記」が二度目の映画化の際、「一命」のタイトルが付けられた。書名はそれから採られている。
# 文庫100冊(サイト内)。収録作、異聞浪人記、貞女の櫛、謀殺、上意討ち心得、高柳父子、拝領妻始末