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キーワード「生霊」の検索結果は以下のとおりです。

六厩越え

  • 2025/04/22 05:57
  • カテゴリー:読み物

高山市の荘川町六厩(むまや)地区で、約11万平方メートルの用地に金属くずやアスベスト(石綿)、ダイオキシン、水銀などを、26年間埋め立てる。

中日新聞の社説「岐阜の産廃計画 将来に禍根のないよう」(4/19)から。岐阜県高山市の山間部に産廃処分場を建設する、そんな計画が進んでいる。

六厩という地名に見覚えがあると思った。そう、久生十蘭の「生霊」に登場する。

東京を出たのは五月だったが、木曾福島で長逗留をし、秋風の声におどろいて、ようやく木曾川を西へ渡った。高山の月を眺めてから富山へぬけ、能登の和倉で秋ざれの日本海の海の色を見るつもりだった。六廏越をし、荻町へ着いたのは、ちょうど旧暦のお盆の前の日だった。

主人公の松久三十郎は、木曾福島まで旧中山道をやって来たのだろうか。そこで街道を離れて北へ向かい、高山、六廏を経て、荻町へたどり着く。この荻町はいったいどこだろう、調べてみた。なんと、合掌造り集落で有名な白川郷の地区のこと。三十郎が経験した不思議な物語は、白川村を舞台にしたものだったのだ。

なお、荻町は「おぎまち」、六厩は社説にあるように「むまや」、現在は各々そう読ませるようだ。が、青空文庫では、「おぎのまち」「むんまや」とルビが振られれている。

久生十蘭(サイト内)。久生十蘭「生霊」|青空文庫

Re: 消えた弟

  • 2022/08/30 06:21
  • カテゴリー:読み物

実際に自分がその場に居合わせたかのように、わたしは缶詰工場の火事のことを憶えている。葬儀の日のことを憶えている。祖母の悲しみを憶えている。

祖母に何度も何度も聞かされるうちに自分の記憶のようになっていった。自分はまだ生まれてもない、ましてや母が結婚もしていない過去のことなのに。引用は、マネット・アンセイ著「消えた弟」坂口玲子訳(文芸春秋、1999年)から(p179)。

久生十蘭著「生霊」のことを連想した。主人公の松久三十郎は、遺族と話すうちに、台児荘で戦死したその人物自身ではないかと不思議な気持ちになって来る。「決死の突撃に移る十分ほど前、水濠の岸に生えている枯れた野菊を写生したという関原準尉の行動が、自分がそこでそうしたように、しっかりした記憶の中から思い出されて来るのだった」。

消えた弟(サイト内)。久生十蘭「生霊」|青空文庫

Re: 見残しの塔

  • 2022/04/23 06:13
  • カテゴリー:読み物

世の中には、自分と生き写しの人間が一人はいると聞いていたが、まことに他人と間違われると、あまりうれしくないということが分かりました

久木綾子著「見残しの塔-周防国五重塔縁起」(新宿書房、2008年)から(p283)。

「生霊」の松久三十郎はどんな反応を示したんだったか、旅先で「あなた、死んだ兄とそっくりなんです。奇妙でしようがない」と言われて。まんざら悪い気もせず「ひとつ身代りを勤めて」となるのだった。

見残しの塔生霊(サイト内)。久生十蘭「生霊」|青空文庫

台児荘

  • 2020/10/19 06:34
  • カテゴリー:読み物

まったくおかしな状況だ。えらいひとの作戦はわからんが、せっかく、占領したと思うと、すぐそこを捨てて帰ったり、右を攻めよったと思うと、左へ攻撃を転じたり、なにがなんだか、わからん状況になってきた。

「えらいひと」の一声で、下々は右往左往させられる。「棟田博兵隊小説文庫」第3巻(光人社、80年)の「台児荘-続々分隊長の手記」(初出41年)から(p11)。著者の分隊が属した第10歩兵連隊は編成地が岡山だった。「こらこら、おおきいのばかり取ったらおえんぞ」「満月じゃ。まん丸じゃ。きょうは旧は何日じゃろなあ」、と岡山の言葉遣いがあちこちに出て来る。

私たち戦中派は「台児荘」という言葉をきくだけで、大変だったなア、という感慨が、すぐに、深く、胸にくる。と、伊藤桂一は本書の解説を始めている。そう言えば、久生十蘭著「生霊」で語られる「関原準尉」は、「台治荘の滕県城で戦死」したのだった。

拝啓天皇陛下様生霊(いずれもサイト内)。崔顥「黄鶴楼」(p89)、李白「登金陵鳳凰臺」。台児荘の戦い|Wikipedia。

久生十蘭著作十選

  • 2020/07/18 17:31
  • カテゴリー:読み物

緻密に考えた計画はむしろ邪魔なので、その場の情況に応じて咄嗟に断行するといった伸縮性のある方法のほうが、成功の公算が多いのではあるまいか。

藤井七段が渡辺棋聖を降した、第91期棋聖戦五番勝負のことを言っているかのようだ。引用は、久生十蘭著「無月物語」から。強行策を算段する場面。

今回のシリーズ十選は、小説の魔術師、久生十蘭の作品から。選ぶに当たって、この「無月物語」含め、目ぼしい諸作をざっと読み返した。以下10作品、初出年の昇順。長編「内地へよろしく」以外は青空文庫で公開されている。

「黒い手帳」(37年)
「海豹島」(39年)
「生霊」(41年)
「内地へよろしく」(44年)
「黄泉から」(46年)
「西林図」(47年、鶴鍋を改題)
「予言」(47年)
「無月物語」(50年)
「猪鹿蝶」(51年)
「母子像」(54年)

「十選」(サイト内検索)。作家別作品リスト:久生十蘭ヒューリック杯棋聖戦第91期|日本将棋連盟

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