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ルール

  • 2022/08/17 06:06
  • カテゴリー:読み物

むしろ、統一されすぎた言語は人を容易に欺く。対象の姿を自在に欺瞞してしまうそれは諸刃の剣だ。退却を転進にし、集団自殺を玉砕にし、敗北を勝利にする。そんな偽りの言葉を必要としてしまう人間の集団など、所詮老いを化粧で誤魔化しているだけだ。

古処誠二著「ルール」(集英社、2002年)から(p284)。終戦の日に読んだ。敗戦ではなく終戦の日に。

戦争小説だとは知らなかった。と言うか忘れていた。読みたい本リストの下の方にタイトルと著者名だけがあった。図書館から借りて来て開く前にはスポーツものだろうかと思ったりもしたものだが読んで驚いた。帯に「慟哭」の文字がある。実際、そうしてしまいそうな場面がいくつかあった。

タイトルになった「ルール」という文字は一度だけ登場する(p206)。それは、尊厳や、人間的な反応、羞恥、と形を変えて繰り返し語られる。

鳴神中尉、姫山軍曹、八木沢一等兵、そしてオースティン・スミス大尉、しばらく彼らのことを考えて過ごすことになりそうだ。

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