べらぼう (9)
- 2025/03/05 06:13
- カテゴリー:興行・放送
では、その声に含まれる焦りは何ゆえだ
盲目の鳥山検校(市原隼人)が鋭く言い放つ。大河ドラマ「べらぼう」第9回「玉菊燈籠恋の地獄」から。
検校にまで昇り詰めた人なればこそ、言葉の裏にある何かを悉く嗅ぎ分けられる。平々凡々たる我々にも、時として、そんな瞬間がある。つい最近あった。東の街の納税係の方と電話で話した折にちょっとした違和感を覚えた。
東の街。つまり、きのう最終回を書いた相続放棄の件だ。亡くなった大叔母からの相続を母が放棄した話。
相続放棄は完了し、あれこれファイルを整理している際に、その大叔母のご主人のことを考えた。陸軍の軍人で、大叔母の実家そばに駐留していた部隊に配属されていた。終戦時の階級は中尉。その人について知っているのはそれぐらいのこと。下の名前も今回の作業で初めて知ったほど。
などと考えながら、ふと、ある重大な事実を見落としていることに気付いた。
大叔母さんは、確か、後妻だった。中尉の奥方が亡くなった後、縁あって後添いとして迎えられた。子は儲けず、前妻の子供らの継母となった。
となると、今回の話はいったいどうなる。急いでwebで調べた。
果たして、後妻が亡くなった場合の相続は、養子縁組していない限り前妻の子供には相続権はない。そうか。もしかして今回はこのケースじゃないのか。
そう言えば、東の街へ電話して事情を尋ねた折、納税係の人が、亡くなった大叔母の子供らは相続放棄したと言った、その時に、少し違和感を覚えた。微妙な間があり、言葉を選ぶような感じがあった。
相続の先の順位にある子供らが相続放棄したのなら、負の遺産があるかもしれない。と母も慌てて相続放棄を行った。が、その前提は違っており、そもそも、子に相続権はなく、母たち姪や甥に相続の順位が移って来ていただけなのかもしれない。負の遺産など存在しないのでは。
ま、相続放棄を完了した今となってはどうでもいいことだけれど。
さて、大河ドラマの方では、瀬川花魁が鳥山検校に身請けされることになった。その経緯を描くこの第9回は、脚本、演出、ともに冴えていた。瀬川に扮する小芝風花がいい。
# べらぼう、叔母が姪に遺したもの(サイト内)。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」(9)玉菊燈籠恋の地獄(NHK総合、3/2 20時)