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平和は槍で得るものなのか

「今後は交渉に重きを置く」「平和は槍の先で得るもの」「なぜ流血沙汰を好む? 楽しいのか? 外交は戦より洗練され遥かに安全で金もかからん」

軍備増強の求めを為政者は一蹴する。15世紀フランスの話。引用は、映画「ジャンヌ・ダルク」(米仏、1999年)から。ABEMAの「本日無料」にあるのを観た、速度1.7xで。

現代日本のリーダーはどうだろうか。中世フランスの王様に比べるとだいぶ好戦的だ。金のかかる防衛力強化の方向へ舵を切ろうとしている。

国家安全保障戦略など安保関連三文書の改定に向けた、自民、公明両党の実務者会合が進む中、22日、政府が設置した「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が、岸田首相に報告書を提出。5年以内に防衛力を抜本的に強化し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が不可欠と結論付けた。財源として増税の必要性にも言及している。政府は、年末までに予定している、三文書の改定に今回の報告を盛り込む。

有識者会議の報告や三文書の改定作業に関し六紙社説は何と言っているだろうか。「政治の場で徹底議論を」(朝11/23)、「増税なら国民に信問え」(東11/23)、「脅威対処型へ転換妥当だ」(産11/23)、国防費の「負担増は国民の理解を得て」(経11/24)、「総合力で安全保障の向上図れ」(読11/24)、「国民第一に総合力を磨け」(朝11/24)、「増税案 説明なく痛み強いるのか」(毎11/27)

読朝2紙(11/24)の「総合力」が目を引く。各々の意味するところを見てみよう。

まず、読売の「総合力」、これはタイトルにだけ登場する。有識者会議が唱える「総合」的な防衛「力」に呼応し、さらに補強するコメントを本文で展開。敵基地攻撃ミサイル運用のために「米軍との協力を深め」よ。防衛産業の育成や装備品の輸出促進のために「防衛装備移転3原則の運用指針を見直し、海外移転を後押しする必要がある」。「人工知能や量子技術などの最先端の科学技術を安全保障政策に生かして」装備品を開発せよ。「政府は、税制を含めて、財源の確保策を早急にまとめることが大切である」と。

一方、朝日は「総合力」を軍備に限定しない。本文で明確に主張する。「国を守る力とは何か」。「防衛力だけでなく、経済力、外交力、情報力、科学技術力、自国の価値観や文化によって相手を味方につけるソフトパワー」など「それぞれの特質を踏まえた、調和のとれた総合力の涵養をめざすべきだ」。そして「すべての基盤となるのが、国民の理解であり、支持、協力である」と。

国の安全保障に関し、同じく「総合力」と言っても随分と違うものだ。朝日は平和憲法の意義も説く。「憲法9条の下、専守防衛を掲げてきた。他国の脅威にはならないという宣言であり、国際政治で安心供与と呼ばれる効果を周辺国にもたらしてきた」(朝11/24)。これは「総合力」の中で重要な位置を占めているはずだ。

残念なことに、「憲法学者のいない有識者会議」(東11/23)だったとか、「戦後の日本の防衛政策の抜本的な転換を求める提言だというのに」(朝11/23)。憲法を軽視する政府の姿勢が、会議メンバーの人選に映し出されている。

さて、11/21週の六紙社説では、そのほかに、COP27閉幕、温暖化被害の支援基金、寺田総務相更迭、辞任ドミノ、サッカーW杯カタール大会開幕、旧統一教会へ質問権行使、塩野義のコロナ新薬、赤木さん裁判、五輪談合捜査などの話題があった。

六紙社説、ABEMA(いずれもサイト内)。「国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画」、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議|内閣官房

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