日本人の誇り
- 2025/03/03 05:55
- カテゴリー:読み物
歴史上のすべての出来事は因果により密接につながっていて、どこかからその一部を切り離すということに無理のあることは言うまでもありません。
例えば、昭和史と言ってしまうと、暗黙の内にそれより前の時代を切り離すことになる。意図するしないに関係なく気を付けないといけない。
引用は、藤原正彦著「日本人の誇り」(文春新書、2011年)から(p135)。その部分の小見出しは、「『昭和史』という不思議」。
著者は、列強による侵略の歴史に触れる際に、引用部分を指摘している。
16世紀以降の世界史は酷い有様で、欧米のいくつかの帝国が、アジア、アフリカ、南北アメリカに侵略し、収奪、搾取、虐殺と、非道の限りを尽くした。20世紀へとかわる頃に、極東の日本も帝国主義に遅れて参加。残る利権は中国と満州くらいしかないとばかりに、そこで残虐な行為を繰り広げ、昭和(1926年-)になってからその絶頂を迎える。その頃には、欧米勢の侵略行為はすっかり下火になっており、「日本の乱暴ばかりが目立」った。昭和だけを切り取ると、四世紀に渡る欧米列強の酷悪を免じ、日本だけを貶めることになる、と。
帝国主義の後始末をするに当たって、遅れてやって来た者、日本、に、すべての罪を押し付けてしまおう。と企てたズル賢いやつらがいたのかもしれない。が、
歴史は書き換えることはできない。やったことはやったこと。反省すべきは反省し、謝るべきは謝り、償うべきは償う。日本も含め、酷いことをした国すべてにそれは求められる。
# 図書館の本、25年1月(サイト内)