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2026年01月11日の記事は以下のとおりです。

浜岡原発、失敗の本質

浜岡原発のデータ不正に対し、在京六紙は、挙って社説で激しく非難した。
 
原発データ不正 審査の根幹再び揺らぐ(朝日、1/7)
浜岡原発のデータ不正 中部電に運転の資格ない(毎日、1/7)
原発データ不正 何が現場を焦らせたか(東京、1/7)
浜岡原発の不正 安全性揺るがす深刻な事態だ(読売、1/7)
原発の安全性揺るがす中部電データ不正(日経、1/8)
浜岡原発で不正 信頼の基本裏切る事案だ(産経、1/9)
 
この6本にざっと目を通して思うことがあった。現代の原子力事業と昭和期の旧日本軍、両者には驚くほど多くの共通点がある、と。
 
数千億円の安全対策費を投じたんだ、今さら引き返せない、という経営判断が優先され、審査を通すことは、安全の確認ではなく、組織の絶対命題にすり替わった。それは、これまでに既に多大の犠牲(サンクコスト)を払った、ここでやめては英霊に申し訳ない、という論理が働き、客観的な勝算がなくても戦線を拡大し続けた旧軍と同じではないか。
 
地質調査などで「活動性あり」を示唆する不都合なデータを現場レベルで書き換え、組織の筋書きに合わせようとした。科学的客観性よりも、組織のメンツや、予定された結論を優先する、この閉鎖性は、ノモンハン事件やミッドウェー海戦の損害などを、士気が下がるとして、隠蔽、改竄し、都合の良いデータだけで作戦を立て続けた軍部と同じ体質だ。
 
原子力推進が国策であるという自負により、事業者の中に、多少の強引な手法も国家のためという歪んだ正義感や、外部の規制当局や批判勢力を邪魔者とみなす独善的な選民意識が生まれていた。これは、軍部が、国策を旗印に、政治や国民のチェックを拒絶し、暴走を正当化したことと軌を一にする。
 
一度始めたことは、どんなに状況が悪化してもサンクコストを理由にやめられない、という日本型組織の弱点が、80年以上経った今、最も高度な安全性が求められる原子力という現場で、再び「嘘」という形で噴出してしまった。
 
「引き返せない」「身内を守る」「空気に従う」という構造的脆弱性は、日本人が持つ「誠実さ」「勤勉さ」「協調性」という美徳の裏返しなのだろう。だから、どこのどんな組織にもあるし、いつでも起きる。過去の話や、特定の業界の話と切り捨てることはできない。我々の内にある脆弱性を常に自覚し、意識的に、風通しの良さや、外部の視点を取り入れ続ける必要があるだろう。
 
さて、この一週間の六紙社説は、そのほかに、米国のベネズエラ攻撃や、中国が輸出規制を強化、米国の国際機関脱退、などを話題にした。
 
六紙社説、失敗の本質(いずれもサイト内)。野中郁次郎ら著「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(ダイヤモンド社、1984年)
 
追記)デジタル・トランスフォーメーション(DX)の遅れもある。例えば、改竄が不可能なブロックチェーン技術で観測データを即時に、記録、公開するような、システムによる透明性が担保できたはずだ。精神論に重きを置き、竹槍で米軍の重火器に立ち向かおうとした旧軍を彷彿とさせる。

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