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義盛、お前に罪はない

人を束ねて行くのに最も大事なものは力だ。力を持つ者を人は恐れる。恐れることで人はまとまる。

それを信条とし覇権を狙う輩がいる、今も昔も、洋の東西を問わず。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第41回「義盛、お前に罪はない」(NHK総合、10/30 20時)から。

今、読み進めている「大地の子」で、晩唐の汪遵が詠んだ「長城」が引かれている(山崎豊子全集第19巻、p448)。堅固な長城を築いても滅ぼされた国がある一方で、長城を持たずとも広く国を治めた聖帝がいた。築いたのは、住まいの三尺ほどの階段だけだった。国を守り治めるに必要なものは「徳に在って、険にあらず」と説く。

この第41回では、和田合戦の最中、文官の大江広元(栗原英雄)も刀を抜く。太刀を持った和田勢をばっさばっさと斬って行くのだ。文官がそこまでの遣い手なのは、一見、無理のある設定だ。何かの伏線なのだろうか。

そう言えば、前回、北条義時(小栗旬)が広元の言葉を思い出す場面があった。「最も頼りになる者は最も恐ろしい」。かつて広元がそう言って、上総広常を消すために頼朝を補佐し陰謀をめぐらせたことを明かした。

あの時も今回の和田氏粛清も、陰で糸を引いていたのは広元だ、実は、鎌倉幕府にあって覇権を構想したのは、この腕の立つ一文官なのだ、そういうことなのだろうか。朝廷の反主流派から鎌倉に送り込まれた工作員、その想定だと色々腑に落ちる。

前回、慈円(山寺宏一)が「誰かを覗くということは、誰かに覗かれるということ」と上皇をやんわり諫めた。「覗く」は「除く」と同じ音。それに気付くと、この科白は、上皇に対して、あんたはそのうち排除される、と言っているように聞こえる。慈円も広元と同じ側で通じているとしたら話は面白くなる。

鎌倉殿の13人(サイト内)。第40回「罠と罠」(10/23)

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