息子と狩猟に
- 2024/08/31 05:58
- カテゴリー:読み物
必然を積み重ね、偶然を待つ。無理を通そうとするとうまく行かない。つねに用意はして決定はしない。
服部文祥著「息子と狩猟に」(新潮社、2017年)から(p14)。
まったく関係のない二つの話が並行して進む。一方は、息子を連れて狩猟に出かけようと準備をする。もう一方は、詐欺グループ内の諍いに決着をつけようとしている。
二人の男は生まれも育ちも異なるのだけれど、「秘密は自分の口からバレる。しゃべらなければ絶対にわからない」(p41)、「秘密は自分の口から漏れんだよ」(p45)と、似たようなことを言ったりする。二人は吸い寄せられるように一つの山を目指す。そして、そこで事が起こる。
表題作のほかに、カラコルムの高峰での出来事を描いた短編「K2」が併載されている。これを読んでいるちょうどその頃、著名な登山家二人がK2で遭難したという記事を読んだ。
# 百年前の山を旅する(サイト内)。世界第2の高峰K2で山岳カメラマンの平出和也さんと中島健郎さん滑落、安否は不明(7/28)、K2西壁未踏ルート滑落の登山家2人 所属先が遭難死の見解「追悼」(8/22)