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グンゼ、国内4工場閉鎖

東の片倉、西の郡是(グンゼ)

かつて並び称された、と何かで読んだ。

明治期の大日本帝国は、軍艦を買い入れるために外貨を必要とした。生糸産業は大いにそれに貢献。片倉工業や、グンゼ、生糸会社が、日本経済をリードした時代があった。

生糸を手掛けたのは、片倉、グンゼ、その二社だけではない。企業体だと、神戸生絲、近江絹糸、神栄、昭栄、そして鐘淵紡績など。当時は皆、名門と呼ばれた。

生糸の時代が去って、各社いったいどうしただろうか。

工場跡地を利用して不動産業へ乗り出した企業が少なくない。片倉工業は、確か、ホームセンターやスーパーの経営もやった。旧安田財閥系の昭栄も不動産に進出し、のちに同系列の同業ヒューリックに救済合併された。

何社かは、繊維業で横展開を図った。神戸生絲はビニロンという合成繊維で生糸需要を置き換えようとしたが完全に失敗。同社は、電機事業など多角化も試行。これも、さっぱり、上手く行かなかった。

どこもぱっとしない。社名が消えた会社もちらほら。そんな中、グンゼだけは、売上高1千億円を超える上場企業として存続している。

製糸(第一次産業)から綿の肌着(第二次産業)への転換が成功。包装材の内製から各種プラスチック製品へとさらに展開。数十年単位で業種業態の脱皮をやって来ている。

そのグンゼが、国内の4工場を2026年末までに段階的に閉鎖すると発表した。肌着などアパレル製品は国内生産では競争力を失いつつあるのだろう。グンゼが繊維製品の自社生産を止めるのはそう遠い先ではないかもしれない。

王子製紙苫小牧工場(サイト内)。グンゼ、国内4工場閉鎖 希望退職も実施(8/6)、器械製糸工場の跡地利用と痕跡

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