砂色の潜航艇
- 2025/08/30 06:04
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私はドイツで化学メーカーに勤めながら、欧州某国に対するレジスタンス活動に参加していた。ケルンを訪問予定のその国の高官を殺る、という極秘指令を本部から受け取ったのは夏至の頃だ。
場所は、ケルン大聖堂の右翼、第1礼拝室。暗がりを背後から忍び寄り、右の腎臓を一刺しする。はぼ即死だろう。あまりのショックで声も出ないはずだ。用いた外科用メスはそのまま置いていく段取りになっている。
逃走経路はよく知っている道だ。大聖堂を出て、ローマ時代からある石畳の道を旧マルクト広場へ。南東角のムール貝専門のレストラン、その脇道の奥まったところにマンホールがあり地下水路へ降りられる。係留してある小型潜航艇で直接ライン川へ出る。
テスト潜航でコブレンツ方面へ何度か行った。一度はインゲルハイム辺りで上陸操作の手順を再確認。ついでに友人Gを訪ねたりした。もう操縦に不安はない。今回は、デュースブルグの内陸港まで川を下り、パナマ船籍の貨物船に回収される手筈になっている。
コンタクトする際の符牒がある。のだが、なんだったか思い出せない・・・
目が覚めた。妙な夢を見たものだ。