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菅義偉の正体

  • 2020/09/29 06:45
  • カテゴリー:読み物

うちの菅に何をしてくれたんだよっ

やり込めた相手を、そんな風にどやしつけてくれる支援者を持つ。その強力な後ろ楯は、港湾業界のドン。森功著「総理の影-菅義偉の正体」(小学館、16年)から(p162)。菅官房長官(当時)ご本人は、その古い付き合いについて「触れられたくないような印象を受けた」と著者は書いている(p182)。

「横浜の港湾荷役業界に君臨」し、「全国の陸海運関係者に睨みを利かせてきた」ドン、その存在は、自民党運輸族や国交省の官僚からも一目置かれる。当然、運輸族をリードする二階俊博とも昵懇だ。となると、そのドンを介して、菅と二階は、意外に、近いのかもしれない。

国鉄改革をめぐって、行革担当の橋本龍太郎と元運輸大臣の三塚博が大げんか、その仲裁に小此木彦三郎が呼ばれた際、秘書だった菅も「ついていった」(p119)。また、第3次小泉改造内閣で竹中平蔵が総務大臣のポストに就いたとき、菅は副大臣として郵政民営化に向け「実務の現場で汗を流した」(p186)。となると、「規制改革」の何たるか、特に党内の既得権者と醜い戦いになること、を知った上で、首相となった菅はそれを看板に掲げた、とも言える。

最終章は、「政治家と企業の距離が近づけば近づくほど、政治とカネにまつわる危険性が高まると言わざるをえない」と終わる(p302)。本書に登場する企業は、例えば、藤木企業、NHK、JR、國場組、USJ、京浜急行、三井不動産、三菱地所、セガサミー、三浦水産、上野運輸、横浜高島屋、崎陽軒など。どこかで「危険性」が高まりつつあるのだろうか。そうそう、作家の佐藤優がこんなことを言っていた。ラジオ番組「くにまるジャパン極」(文化放送、9/18)にて。

政治家二世三世は無理しなくていい、お金とか選挙区とか。菅さんは叩き上げだっていうことは、今のところは美談で済まされている。けれど、叩き上げは必ず無理をする。安倍政権とは桁が二桁違うスキャンダルが出て来る可能性がある。そうなると、モリカケとか言っていられないような状況になるんじゃないか、率直に言って心配している

敬称略。

森功(サイト内検索)。菅官房長官が密かに進めていた“総理への準備” 麻生副総理、横浜のドンに根回し(9/2)。「元首相・中曽根康弘の政治や行革手法を参考にして」(政界地獄耳、9/22

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