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キーワード「松本清張」の検索結果は以下のとおりです。

帝銀事件

知らされないことに怒りはある。が、知らされないまま、権力側の発表のみを無難に報じて来たマスコミの責任は、そのマスコミが醸成した空気に乗じて一人の人間を犠牲にする世論に責任はないのか。

ドラマ編の中で、松本清張(大沢たかお)が言う。NHKスペシャル「未解決事件-松本清張と帝銀事件」第1部(10/3)から。初回放送は、2022年12月。

米国占領下の時代、GHQの陰謀ではないかと疑われる事件が多々あった。12人が毒殺された帝銀事件(1948年)もその一つ。

事件の真相は、圧力によって秘され、「知らされない」。

メディアは、深く追求することもなく、当局の発表する通り、まんまと犯罪者に仕立て上げられた人物を犯人として報じて行く。

人身御供を欲している世の人たちは、それに大いに満足する。

暗黙の了解で、メディアと世の人たちの取り引きが成立する。その根底にあるのは、他人の不幸は蜜の味、か。

「あの戦争」へのメディアの責任について記された本などをいくつか読んで来た。メディアが及ぼす悪い影響は、決してそれに限らない。メディアは、いつ何時も、売れるもの、つまり我々受け手が欲するもの、を報じる、提供する。よく肝に銘じておかねばならない。

帝銀事件の謎戦時下の宰相たち石破首相所感、戦後80年論点別 昭和史(いずれもサイト内)。NHKスペシャル選「未解決事件-松本清張と帝銀事件」第1部ドラマ「事件と清張の闘い」(NHK総合、10/3 23:45-)

石の骨

  • 2025/10/10 05:53
  • カテゴリー:読み物

真相というものはいつかは知れてくるものだ。その噂も風のように己(おれ)の耳にきこえてきた。

学会の権威が、「田舎の中学校の教師など」に、考古学上の大問題を「簡単に分って堪るものか」、「そんな標本なんかいい加減なものだよ」、と言い放ったのだ。

松本清張著「断碑・装飾評伝」(講談社、1972年)に所収の「石の骨」から(p178)。最寄り図書館で借りた。

主人公、田舎教師の黒津は、考古学者の直良信夫がモデル。その人が旧石器時代の化石腰骨を見付けた場所は、小説の中では、明石ではなく波津という漁村になっている。

市井の学徒による発見を、T大(東大のことだろう)の教授は、否定し無視する、また別の教授はそれを横取りしようとする。事実は、小説より奇なり。現実世界では、こんなことはごく日常茶飯事で、もっと酷いことも起こっている、と思っておくべきか。

直良信夫|Wikipedia、「幻の骨~日本人のルーツを探る」(NHK総合、8/10 16:30-)

ひとりの武将

  • 2025/07/07 06:30
  • カテゴリー:読み物

いつ頃か知らないが、もっと早くこの瞬間がある筈だったという気がした。随分、遠廻りをして、ここに来た、とぼんやり思った。

主人公は、責任を取らされ腹を切ろうとしている。「松本清張全集」(36)短篇2「地方紙を買う女」(文芸春秋、1973年)に所収の「ひとりの武将」から(p99)。初出「オール讀物」昭和31年6月号。

かつて北アルプスへ通っていた頃、扇沢-室堂の交通を一度ならず使ったことがある。その度に、厳寒の積雪期に立山越えをした戦国武将の挿話を聞いた。トローリーバス(かロープウェイ)の中でカセットテープか何かの音声が流れていたのだ。

どういう事情があったのだろう、と気になったけれど、調べずにいた。最近になって、松本清張の短編にその話が登場することを知り、この度、全集の一冊を借りて来た。

武将の名は佐々成政。信長の家臣だったが、新しいリーダーの秀吉に馴染めない。追い落としを思い立ち、居城のある富山から雪の立山を越え、浜松の家康を訪ね味方に引き入れようとする。が、良い返事を得られず同じ道を富山へ引き返す。日数が限られるので、帰路も積雪期の立山越え。その後の人生もぱっとせず、最後は詰め腹を切らされる。

多発する山岳遭難八月の六日間(いずれもサイト内)。佐々成政|Wikipedia

帝銀事件の謎

  • 2023/04/25 06:15
  • カテゴリー:読み物

裁判記録には、単純に、悉く「青酸カリ」となっているのだ。だが、「青酸カリ」と決定する何等の根拠も証明も帝銀事件に関しては全くない

殺人に用いられた毒物さえ特定されず、その他の物的証拠にも曖昧さが残るまま裁判が進められ、一人の画家に有罪判決が下される。それは、でっち上げだった。

引用は、松本清張全集30「日本の黒い霧」第8話「帝銀事件の謎」(1972年、文藝春秋)から(p265)。初出は「文藝春秋」1960年8月号。「画家と毒薬と硝煙」を改題。

凶器の毒は確かに青酸ではあったが、青酸カリのように即効ではなかった。遅効性の青酸化合物はいったい何だったのか。このノンフィクションでは、アセトンシアンヒドリンと推測されている(p267)。「登戸にあった第九技術研究所の田中中尉によって発明されたといわれている」。

ところで、引用文中にある「悉く」の文字が恥ずかしながら読めなかった。漢和辞典は手元にない。スマホのアプリEBPocketに入れたスーパー大辞林がその代わりになる。モードを複合検索に切り替えて、部首(心)と画数(11画)を掛け合わせる。「悪患悉悠」の4文字がヒット。【悉】を開くと、[音訓]シツ、ことごとく、つくす、とあった。

JFK暗殺警察庁長官狙撃事件EBPocket(いずれもサイト内)。NHKスペシャル「未解決事件 File.09 松本清張と帝銀事件」(NHK総合、2022/12/29・30、21時)、アセトンシアノヒドリン|Wikipedia、松本清張全集17「小説帝銀事件」、日本の漢字辞典

けものみち

  • 2022/05/04 06:01
  • カテゴリー:読み物

ものになりそうなものと、そうでもないものとは、なんとなくカンでわかる。あたかも水面に垂れた糸の先に十分な手ごたえが来そうな、あの釣り人の心理にも似て

松本清張全集15「けものみち」(文藝春秋、1972年)から(p263)。初出1962年。

TVドラマ(NHK、1982年)の再放送を少し目にしたのがきっかけで原作を読んでみようと思った。そのドラマには「おしん」の姑に扮した高森和子さんがちらっと出ていた。「おしん」は1983年なのでこのドラマの翌年だ。

松本清張(サイト内)。土曜ドラマ「松本清張シリーズ けものみち」(1)~(3)、デジタルリマスター版(NHK総合、4/9 0:25-3:55)、初回放送1982年1月、【脚本】ジェームス三木【出演】名取裕子、山崎努、伊東四朗、加賀まりこ、西村晃、永井智雄ほか

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