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2025年07月の記事は以下のとおりです。

古建築を受け継ぐ

  • 2025/07/09 06:12
  • カテゴリー:読み物

文化財の概念が形成される以前の前近代においては、〈受け継ぐ〉ことを本質に据えており、そのメンテナンスは近代以降の文化財保護の理念には不足する「寛容さ」を備えている。

海野聡著「古建築を受け継ぐ-メンテナンスからみる日本建築史」(岩波書店、2024年)から(p304)。著者の名前に見覚えがあり借りて来た、図書館の新着本コーナーより。

過去、つっかえ棒による応急処置、別の場所への移築、五重塔を三重にする縮退など、大らかなメンテナンスは珍しくなかった。日本古来の「寛容な」継承の理念に学ぶことは多い。

著者は、明治神宮外苑の再開発への反対運動に触れ(p327)、明治神宮は、外苑の収益を維持費に充てている、という「もうひとつの側面」を忘れてはならないと指摘する。大きな寺社の維持管理には莫大な金がかかる。古くから、門前町の借地経営によってその維持費を賄う例は珍しくない。これも「寛容さ」か。神宮外苑の再開発もこの延長線上にある。

日本建築入門非営利組織の経営(いずれもサイト内)

モーツアルト K.Anh.229

  • 2025/07/08 06:29
  • カテゴリー:音楽

朝食の前後に鳴らしている曲は、毎朝、だいたい決まっている。バリオスのギター曲、ジョプリンのピアノ曲、プーランクやR.シュトラウスの管楽器のための曲、バッハのフランス組曲、モーツアルトのディベルティメントK.Anh.229(439b)など。

各々複数の音源からその日の気分で選ぶけれどそれにも傾向はある。例えば、R.シュトラウスは、Edo de Waart指揮Netherlands Wind Ensembleのことが多い。バッハは、Gouldか朱か。モーツアルトK.Anh.229は、Sabine Meyerらのバセットホルン3本の版(なぜか6番まである)か、Prinz、Schmidl、ZemanのCl2+Fgのバージョン(5番まで)。

日々訪ねるサイトにK.Anh.229の話題があったので触発されて今朝これを書いている。

K.Anh.229は、Pierlot(Ob)、Lancelot(Cl)、Hongne(Bn)の木管三重奏版を聴いたのが最初だった。高校時代に、Eratoの廉価盤LPを買った。確か千円だったと思う。Obが煌びやかに旋律を吹くその演奏に慣れ親しんだものだから、後々、クラリネットやバセットホルンの版は、えらく、くすんで聞こえたものだ。

が、今となっては、Pierlotらの演奏はほとんど聴かない。クラリネット族のくすんだ、いやいや、深みのある色合いの方が、天才モーツアルトが書いたシンプルな楽想を味わうのに好ましいように感じるからだ。

この曲、自筆譜が失われてしまったこともあって成立年は不明。海老澤敏ら監修「モーツァルト事典」(東京書籍、1991年)は、作曲時期を1783~88年とする。ケッヒェルの第6版では「おそらく1783年」と推定されていることも同事典は紹介している。

1783年、和暦では天明3年。その年の9月、蔦屋重三郎が日本橋に店を構えた。浅間山が大噴火を起こした年でもある。

朱(Zhu)のフランス組曲プーランクの六重奏曲管楽器の曲十選木管二重奏による魔笛昔の愛聴盤べらぼう(20)(いずれもサイト内)。大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」(25)「灰の雨降る日本橋」(NHK総合、6/29 20時)

ひとりの武将

  • 2025/07/07 06:30
  • カテゴリー:読み物

いつ頃か知らないが、もっと早くこの瞬間がある筈だったという気がした。随分、遠廻りをして、ここに来た、とぼんやり思った。

主人公は、責任を取らされ腹を切ろうとしている。「松本清張全集」(36)短篇2「地方紙を買う女」(文芸春秋、1973年)に所収の「ひとりの武将」から(p99)。初出「オール讀物」昭和31年6月号。

かつて北アルプスへ通っていた頃、扇沢-室堂の交通を一度ならず使ったことがある。その度に、厳寒の積雪期に立山越えをした戦国武将の挿話を聞いた。トローリーバス(かロープウェイ)の中でカセットテープか何かの音声が流れていたのだ。

どういう事情があったのだろう、と気になったけれど、調べずにいた。最近になって、松本清張の短編にその話が登場することを知り、この度、全集の一冊を借りて来た。

武将の名は佐々成政。信長の家臣だったが、新しいリーダーの秀吉に馴染めない。追い落としを思い立ち、居城のある富山から雪の立山を越え、浜松の家康を訪ね味方に引き入れようとする。が、良い返事を得られず同じ道を富山へ引き返す。日数が限られるので、帰路も積雪期の立山越え。その後の人生もぱっとせず、最後は詰め腹を切らされる。

多発する山岳遭難八月の六日間(いずれもサイト内)。佐々成政|Wikipedia

OTC類似薬

成分や効能が同じ医薬品なのに、医療保険が適用されていたり、そうでなかったりする。それなら、前者の保険適用を外せば良いのでは、という意見がある。過去、ビタミン剤やうがい薬などが適用を見直されて来た。今また、湿布薬や花粉症薬、解熱鎮痛剤などについて検討が進められている。

在京六紙の社説では、ここしばらくこの話題がいくつか登場している。今のところ3本。

市販品に類似した薬は保険適用を見直せ(経5/26)
市販品類似薬 保険適用の見直し急務だ(産6/26)
OTC類似薬 患者の負担増に配慮を(東6/30)

保険適用によって安価に薬を購入できている人にとっては迷惑な話だろう。しかし、総合的には、保険給付を何に振り向けるのか議論し続ける必要があるのは間違いない。なにせ医療保険の財政が逼迫していると言われて久しいのだから。

さて、6/30週の六紙社説は、そのほかに、香港国安法施行5年、H2Aロケット成功、中国の日本産水産物規制、参院選公示、などを話題にした。

六紙社説(サイト内)

悲愴、N響#2039

  • 2025/07/05 06:05
  • カテゴリー:音楽

かちっとした、いい演奏だった。らじる★らじるで聴いた、N響の「悲愴」。

N響第2039回定期公演
チャイコフスキー作曲
交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」
(指揮)フアンホ・メナ
(管弦楽)NHK交響楽団
(45分50秒)
2025年6月7日NHKホールで収録

第1楽章、冒頭から、あの切ない旋律(第2主題)が出て来るまでを、すっきり上手くまとめていた。大いに聴く気になった。期待に違わず、全体、ややあっさりではあるものの、メリハリの効いた好演だった。いいチャイコフスキーを聴いた。

この曲との付き合いはそろそろ50年になるだろうか。生で初めて聴いたのは、高校2年の秋だった。シモノフ指揮ボリショイ劇場管。初めて吹いたのは、その2年後。大学オケの定期演奏会でメインの曲だった。本番は降り番だったけれど、練習で何度か代奏した。1番ファゴットの4年生が専攻の研究室が忙しく彼の代わりで。練習とは言え、大曲は初めのことだし、目立つ箇所が多々あるので随分と緊張したことを覚えている。

N響第2039回定期は、7/20(日)にEテレでも放送されるとのこと。

N響交響曲十選アルチュニアン(いずれもサイト内)。N響第2039回定期公演▽ベストオブクラシック(NHK-FM、6/26 19:35-)

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