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キーワード「文庫100冊」の検索結果は以下のとおりです。

グリーン・マイル

  • 2022/11/21 06:30
  • カテゴリー:読み物

おかしなことでも奇妙なことでもないさ。理解できないことを経験すると、たいていの人間はそうするんだよ、ただ忘れてしまうんだ。筋の通らないことをいつまでも覚えていたって、役に立つことはないからね。

ブルータス・ハウエルが言う。確かにそうだ。理解しようと下手に解釈した結果、ある種ひずみを心の中に抱えてしまうことがある。引用は、スティーヴン・キング著「グリーン・マイル」白石朗訳(新潮社、2000年)から(p267)。上下2段組み427頁。

そのブルータスは25年ほど後に「魚のサンドイッチを食べながら、テレビでプロレス中継を見ていたとき」に心臓発作で死んだ。ハリー・ターウィルガーやディーン・スタントンも、もういない。ジョン・コーフィの死刑執行の準備が進められる様子を描写しつつ、並行して登場人物らのその後のことが簡潔に知らさせる、この最終章「闇の彼方へ」第10節がたいへん印象深い(p402-408)。誰もが皆死ぬ、その当たり前のことを説き、生きることの意味を問うているかのようだ。

恩師が教えてくれた「溌剌と生くる者にのみ深い眠りがある。生き切った者にだけ安らかな死がある」をふと思い出した。

文庫100冊(サイト内)。書くという行為が多くのドアを開ける(p109)、キャンプファイアそのものよりも燃えかすの方が好ましい(p146)、時はすべてを奪う(p409)

大地の子

  • 2022/11/14 06:31
  • カテゴリー:読み物

戦時賠償を求めない中国に応えるためにも、中国の工業現代化に日本がなすべきことをさせてほしいと思い

と、東洋製鉄、稲村会長の胸の内を綴っている。新日本製鉄の稲山嘉寛氏がモデル。山崎豊子全集19「大地の子 1」(新潮社、2005年)から(p375)。単行本刊行1991年

「圧倒的な作品」とは聞いていたけれど、これ程とは思わなかった。小説の力を見る思いがする。単に感動するというだけではない、色々と考えさせられる。その一つは戦時賠償の問題。中国が日本に対して戦後補償請求権を放棄したことによって、日本における贖罪意識が薄れてしまうことになったのではないか。よくよく考えてみなければならない。

文庫100冊大地の子(いずれもサイト内)。宝山鋼鉄|Wikipedia

[ 朝刊休刊日 ]

ルール

  • 2022/08/17 06:06
  • カテゴリー:読み物

むしろ、統一されすぎた言語は人を容易に欺く。対象の姿を自在に欺瞞してしまうそれは諸刃の剣だ。退却を転進にし、集団自殺を玉砕にし、敗北を勝利にする。そんな偽りの言葉を必要としてしまう人間の集団など、所詮老いを化粧で誤魔化しているだけだ。

古処誠二著「ルール」(集英社、2002年)から(p284)。終戦の日に読んだ。敗戦ではなく終戦の日に。

戦争小説だとは知らなかった。と言うか忘れていた。読みたい本リストの下の方にタイトルと著者名だけがあった。図書館から借りて来て開く前にはスポーツものだろうかと思ったりもしたものだが読んで驚いた。帯に「慟哭」の文字がある。実際、そうしてしまいそうな場面がいくつかあった。

タイトルになった「ルール」という文字は一度だけ登場する(p206)。それは、尊厳や、人間的な反応、羞恥、と形を変えて繰り返し語られる。

鳴神中尉、姫山軍曹、八木沢一等兵、そしてオースティン・スミス大尉、しばらく彼らのことを考えて過ごすことになりそうだ。

文庫100冊(サイト内)

木のいのち木のこころ

  • 2022/08/15 06:35
  • カテゴリー:読み物

その人はそれでちゃんとした職人ですし、性根というのは直せるものやないんですわ。やっぱり包容して、その人なりの場所に入れて働いてもらうんですな。曲がったものは曲がったなりに、曲がったところに合う所にはめ込んでやらな、いかんですな。人とうまくやっていけなくても使い道はあるんです。

人は、自身の「能力以上のことはできまへん」と見限るけれど、決して見捨てるようなことはしない。引用は、西岡常一著「木のいのち木のこころ・天」塩野米松聞き書き(草思社、1993年)から(p112)。

法隆寺大工に多くの口伝が伝わっている(p144)。「百工あれば百念あり、これをひとつに統ぶる。これ匠長の器量なり。百論ひとつに止まる、これ正なり」というのがあるとか。

棟梁文庫100冊(サイト内)

無私の日本人

  • 2022/08/13 06:20
  • カテゴリー:読み物

人の心は種である。果てしない未来を拓く種である。一粒の種が全山を満開の桜の山に変えるように、心さえしっかりしていれば、驚くほどの奇跡も成し遂げられる。

磯田道史著「無私の日本人」(文藝春秋、2012年)から(p24)。武士にお金を貸し、利子で郷里を潤す、前代未聞の事業を成し遂げた穀田屋十三郎らの話。

言い回しが司馬遼太郎に似ている、何箇所かでそう思った。

文庫100冊(サイト内)

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