お知らせ

メール送信フォームを設けました。ブログ記事への問い合わせなどにご利用下さい。

 

エントリー

キーワード「北村薫」の検索結果は以下のとおりです。

雪月花

  • 2024/09/10 06:00
  • カテゴリー:読み物

江戸の俳句の場合、劇的にしたい第三者が、別人の作を誰かにくっつける。そうやって《伝説》を作る。ポピュラーな作には、あることです。

北村薫著「雪月花-謎解き私小説」(新潮社、2020年)から(p133)。

「雪の日やあれも人の子樽拾い」も、作者がすり替えられてしまった。備中松山藩主・安藤信友の作ではない、これは専門家にはわかっていたことだった。著者の北村さんは、高木蒼梧「俳諧人名辞典」(巌南堂書店、1960年)を引用している。そこには、真の作者は水間沾徳、と明記されていると。「真蹟」もあるらしい。

水間沾徳は、芭蕉十哲の一人宝井其角亡き後の江戸俳壇の重鎮だったとか。その人の作とするより、雪の日に大名が籠から外の様子を眺めて詠んだとする方が趣がある、と、どこかの誰かが考えた。「表には出ない創作者である」と著者は書く。

雪の日やあれも人の子樽拾い(サイト内)。本にまつわる“謎”を追っていくと、本から本へ、思いがけない道すじがつながっていく――。

雪の日やあれも人の子樽拾い

  • 2024/08/16 06:05
  • カテゴリー:読み物

この有名な句は、「磐城平五万石の大名、安藤対馬守信友」の作と、山田風太郎著「笊ノ目万兵衛門外へ」に記されている。が、安藤信友は、磐城平藩ではなく備中松山藩の大名ではないのかと以前ここに書いた。

先日、備中松山城について少し触れた際に、この句について改めて調べてみた。すると安藤信友を作者とするのはそもそも間違っており、正しくは水間沾徳(みずませんとく)の作なのだとか。

風太郎の「笊ノ目万兵衛門外へ」は、あの句の作者が安藤氏であればこそ、最後の締め括りへと物語が収斂していく仕組みになっていたはずだが。

北村薫著「雪月花」(2020年)の中で、なぜ作者が間違って伝えられてきたのか、その謎解きがされているのだとか。その本は未読。近い内に読んでみよう。

北村薫笊ノ目万兵衛門外へなんとなく備中松山城(いずれもサイト内)。謎解き私小説『雪月花』(北村薫)では、『笊ノ目万兵衛門外へ』(山田風太郎)に登場する句「雪の日やあれも人の子樽拾い」の作者が間違って流布されていることをつきとめ~|レファレンス共同データベース

水-本の小説

  • 2023/08/19 05:51
  • カテゴリー:読み物

表現者というのは、将棋を指す者が詰めへの手筋を定めるように、書いて行くものです。

芥川が、以前「蜘蛛」と書いたのを同音の「雲」に書き換えた。これは記憶の変質なのだろうか。「時を経てわざわざそう書いている」「いかにもこの作者らしい、巧妙な手さばきでしょう」。

引用は、北村薫著「水-本の小説」(新潮社、2022年)に所収の「湯」から(p110)。

「下根の衆生と生まれたからは、やはり辛抱専一に苦労する外はあるまいと思ふ」、芥川龍之介著、随筆「器量」から。(p137)

「ゴルフに、小唄に、碁の相手」、青島幸男作詞、植木等歌「無責任一代男」から。当時サラリーマンの必修科目「三ゴ」。(p177)

北村薫(サイト内)

Re: 11/22/63

  • 2022/12/14 06:31
  • カテゴリー:読み物

「あなたはいったいだれなの、ジョージ?」「もうひとつの人生できみが知っている男だよ、ハニー」

過去は共鳴する。そしてパラレル・ワールドは相応じて進む。引用は、スティーヴン・キング著「11/22/63」白石朗訳(文藝春秋、2013年)下巻の最後のページから(p515)。上下2段組み515頁。

セイディーの身に痛ましい災いが降りかかる。それ以降の下巻後半は一気呵成に読んだ。

作者はあとがき(p523)で、ジャック・フィニイ著「ふりだしに戻る」にふれている。懐かしい。「時間もの」の秀作だ。その内にまた読んでみよう。グリムウッドの「リプレイ」や、北村薫の三部作なども。

文庫100冊時生(いずれもサイト内)。リー・ハーヴェイ・オズワルド|Wikipedia

中野のお父さん3

  • 2022/03/29 06:29
  • カテゴリー:読み物

豊かさには、そういう、人を甘やかす罠がある。噛んで固いものを、味わえなくなったりする。

一度カラー画面を知ってしまうと白黒では楽しめなくなる。北村薫著「中野のお父さんの快刀乱麻」(文藝春秋、2021年)に収載の「小津安二郎の義理人情」から(p129)。シリーズ第3作。

娘の田川美希が提示する謎を、「お父さん」探偵が鮮やかに解く。探偵のfirst nameは記されていない。著者のもう一つの日常の謎シリーズ〈円紫さんと私〉でも二人の内一人の名が明かされない。ただし、こちらは謎を持ち込む側の「私」。

太宰治と松本清張(p15)、正岡容(p87)、和田誠「お楽しみはこれからだ」(p191)、将棋(p209)、「波乱万丈」1978年の古今亭志ん朝「三軒長屋」(p302)

北村薫(サイト内)。落語協会分裂騒動|Wikipedia

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2
  • 3

ユーティリティ

« 2025年06月 »

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

マイナカード更新
2025/06/14 06:05
自己実現欲求の沼
2025/06/13 05:41
おくま嘘歌
2025/06/12 06:22
フォーサイス氏死去
2025/06/11 06:48
シャットダウン、E200HA
2025/06/10 07:00
梅雨明け、2025年
2025/06/09 06:02
ミスター、李氏、少子化
2025/06/08 05:46
ダブル・スタンダード
2025/06/07 06:58
天皇ご一家沖縄訪問
2025/06/06 06:05
京極夏彦、あの人の本棚
2025/06/05 06:11

過去ログ

Feed