安全保障と真の独立
- 2025/12/21 05:51
- カテゴリー:時の話題
在京六紙の社説では、安全保障に関してどんな意見が述べられているだろうか。この一週間では、例えば、こんなタイトルがあった、
自維政権下の憲法論議 改正急ぐ理由見当たらぬ(毎日、12/16)「9条の改正も議論」
臨時国会が閉幕 対中抑止へもっと議論を(産経、12/18)
官邸内から核保有発言 問われる首相の任命責任(毎日、12/20)
核持つべき発言 軽率のそしりを免れぬ(東京、12/20)
昨日朝、GoogleのAIモード(AI対話型検索)と少しディスカッションしてみた。
Q)自衛隊は事実上の軍隊であり、その存在を憲法に明示すべきという見解を持っている新聞はどれでしょう
その「見解を強く持っているのは、主に読売新聞と産経新聞です」。読売は「曖昧な現状を解消し、国家の安全保障の根幹を憲法に定めるべきという立場を鮮明にしています」。産経は「自衛隊を国防軍や軍隊として明確に位置づけるべきというさらに踏み込んだ主張を展開しています」。
日経は「自衛隊の明記を含む憲法改正の議論には前向きな姿勢を示していますが、実務的な観点や国民的合意の形成を重視する傾向があります」。朝日・毎日は「違憲の疑いを解消するという目的であっても、戦力の保持や武力行使の範囲が拡大する懸念があるとして、慎重または批判的な立場をとることが一般的です」。
Q)「慎重または批判的な立場をとる」朝日、毎日、さらに東京も加えて左派系3紙は、基本的な考えとして、戦力を放棄せよと言っているのでしょうか
「リベラル系(左派系)3紙は、現在の論調として自衛隊を直ちに廃止せよ(戦力放棄)と主張しているわけではありません」。「日本の独立を守るための必要最小限の自衛力(自衛隊)の保持については、事実上容認する立場をとっています」。「憲法の制約を外して、自衛隊を普通の『軍隊』に変えるべきではないという主張をしています」。
Q)軍隊、戦力、自衛力など、呼称はさておき、保持すべき「必要最小限」の武力がどの程度か、という議論なのでしょうか
「はい、まさにその通りです」。読売・産経は「敵基地攻撃能力(反撃能力)なども、自衛のために不可欠であれば必要最小限に含まれるべきだと主張します」。一方、リベラル系3紙は「専守防衛に徹するべきだという考え方です」。「どの新聞も日本を守るための力の必要性は否定していませんが、何を持てば(何をすれば)『やりすぎ(戦力)』になるのかというデッドラインの引き方が決定的に異なっている、というのが議論の本質です」。
現在の主な論点は、「防衛費の大幅増額」「殺傷能力のある武器輸出」「反撃能力(敵基地攻撃能力)の実装」など。
Q)防衛、抑止という点では、核兵器を保有するだけ(使わない)でも、かなりの効果が見込まれますが、それについて各紙の意見はどうですか
「2025年12月、高市政権の安全保障担当者が非公式の場で私は核を持つべきだと思っていると発言したことが報じられ、各紙の論調が改めて鮮明になりました」。「抑止力として保有すべきという考えに近いのは産経新聞であり、保有も議論もすべきではないという強い姿勢なのが朝日・毎日・東京新聞、米国の核を活用した抑止の強化を現実路線とするのが読売新聞、という構図になっています」。
Q)米国の核の傘の下にあってこそ安全が保証されている、つまり、日本は自分たちで自国を守ることさえできない、いまだ独立を果たしていない、という議論について各紙はどんな意見を持っていますか
「核の傘に依存している現状を独立していない(主権が不完全)とみなす議論に対しては、新聞社ごとに独立の定義や理想とする国家像の違いが鮮明に表れています」。「核の傘依存=非独立と捉え、自前の中核的抑止力を模索すべきとするのが産経、依存を認めつつ同盟の質を高めて対応すべきとするのが読売、依存の矛盾を外交や核軍縮で解消すべきとするのが朝日・毎日・東京という構図になります」。
Q)現在の与党である自民や維新などの政策からすると、核の傘依存や真の独立に関してどういう方向に議論は向かっていくでしょうか
「核の傘の信頼性強化から非核三原則の一部見直しを伴う自主防衛の強化という、極めて踏み込んだ方向へ向かっています」。高市政権下の自民党は「非核三原則のうち『持ち込ませず』の見直し議論を党内で開始させる検討に入りました」。また「真の独立をめぐる議論では、単にアメリカに守ってもらうだけでなく、日本自らが攻撃を思いとどまらせる能力(反撃能力)を持つべきだという方向性が強まっています」。「独立国家として軍隊を持たないのは不自然だという考えから、憲法への自衛隊明記の議論も進んでいます」。
Q)日本は、戦勝国である米国のいまだ属国であり、真の独立を果たしていない、と、各国は見なしているのでしょうか
「各国が日本を米国の属国と公的に見なしている事実はなく、むしろ国際秩序を支える有力な主権国家として高い期待を寄せています」。一方「日本国内や一部の分析においては、戦後80年(2025年)を迎えてもなお続く米軍基地問題や地位協定の不平等を真の独立を阻む課題として重く見る議論が続いています」。
Q)真の独立のためには、地位協定や安保条約の一部条文を見直す必要があるとの議論もあるようですが、どのような動きがありますか
「現在、日米地位協定の改定や日米安保条約の非対称性(片務性)の見直しは、保守・リベラルの枠を超えた大きな政治的課題となっています」。「石破政権から2025年の高市政権へと至る過程で、これまでタブーとされてきた領域に踏み込む動きが具体化しています」。「米国との関係を維持したまま、法的な不平等を是正する(実務的自立)のか、それとも憲法改正や核共有を含めた軍事的な対等を目指す(軍事的自立)のかという、手段の選択において大きな岐路に立っています」。
さて、この一週間、六紙社説はそのほかに、定数削減法案の見送り、補正予算成立、黎智英氏に判決、ミャンマー選挙、女流棋士と出産、トクリュウ指示役逮捕、日銀短観改善、スマホ新法施行、献金規制また先送り、臨時国会閉会、新生シリア1年、サウナ死亡事故、日銀が追加利上げ、安倍氏銃撃裁判、税制改正大綱、などを話題にした。