万葉の歌十選
- 2019/08/30 05:46
- カテゴリー:読み物
今回はクラシック音楽ではなく、趣きをがらっと変えて、和歌それも万葉集から好きな歌を十選した。百年、千年経っても、人は、仕事で悩み、恋に嘆き、人生を憂う。
- 天ざかる鄙に五年住まひつつ都のてぶり忘らえにけり、山上憶良(巻5-880)
- 士やも空しくあるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして、山上憶良(巻6-978)
- 白玉は人に知らえず知らずともよし知らずとも我し知れらば知らずともよし(巻6-1018)
- 嘆きせば人知りぬべみ山川の激つ心を塞かへてあるかも(巻7-1383)
- うつせみの常の言葉と思へども継ぎてし聞けば心惑ひぬ(巻12-2961)
- 上つ毛野安蘇のま麻群かき抱き寝れど飽かぬをあどか我がせむ(巻14-3404)
- 桜田へ鶴鳴き渡る年魚市潟潮干にけらし鶴鳴き渡る、高市黒人(巻3-271)
- 東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ、柿本人麻呂(巻1-48)
- 世間を何に喩へむ朝開き漕ぎ去にし船の跡なきごとし、沙弥満誓(巻3-351)
- 験なき物を思はずは一坏の濁れる酒を飲むべくあるらし、大伴旅人(巻3-338)