エントリー

カテゴリー「音楽」の検索結果は以下のとおりです。

六重奏曲「青春」

  • 2019/04/15 07:08
  • カテゴリー:音楽

ヤナーチェク晩年の室内楽曲。このモラヴィアの偉大な作曲家が、70歳になって、十代の頃の幸せな日々を思い出して(inspired)書いた、そんな事情がスコアに記されている。彼の晩年の曲のいくつかがそういう懐古的な傾向にある中、この曲のタイトルは、ずばり、「青春」(チェコ語 Mládí、英語 Youth)と題されている。

おれが最初に聴いたヤナーチェクがこの曲だった。高校時代のことだから、40年も前の話だ。曲の楽器編成が、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、そしてバスクラリネット。つまり、木管五重奏にバスクラを一つ加えた六重奏。木管奏者にとってこの曲は、どちらかと言うと、鑑賞する、よりは、演奏する対象だ。この曲でヤナーチェクを知った、そういう木管奏者は少なくないと思う。金管奏者にとってその位置にあるのは「シンフォニエッタ」だろう。冒頭のファンファーレだけを取り出して演奏することはままあることなので。

手元にある「青春」の音源の内よく聴くのは二つの演奏、Holliger (Ob) や、Thunemann (Fg) らの Basel Ensemble(86年)と、Quintette à vent Claude Debussy(96年)。後者ではバソンの音を聴くことができる。ただし、その音色はファゴットにかなり近い。奏者の好みだろうか、実際、その奏者 Laurent Lefèvre は、後にファゴットに転向してしまったらしい。

この曲のスコアは、IMLSP に登録されている。こちら → Mládí (Janáček, Leoš)。ここには Soni Ventorum Wind Quintet による音源(72年)もある。終わりに拍手が入っている、ライブ収録なのだろう。音質に難あるが、演奏は悪くない。

ヤナーチェク、N響19年4月

  • 2019/04/14 07:10
  • カテゴリー:音楽

昨夜、N響がヤナーチェクの「シンフォニエッタ」を演奏していた。第1909回定期公演Aプログラム、ヤクブ・フルシャ指揮(NHK-FM 生中継、4/13 18時-、NHKホール)。第一楽章のファンファーレ、その後半が、上手く処理されておらずくどい。指揮者の責任だ。残りの楽章は聞き流した。

ラトルがロンドン響と演った同曲を、今年初めにラジオで聴いた(NHK音楽祭2018、9/27収録)。これは素晴らしかった。「1Q84」を読み終えてヤナーチェクの曲を聴きたくなった際、まずこの録音を取り出して聴いた、マッケラスでもなく、セルでもなく,小澤でもなく。

# Leoš Janáček (1854-1928), Jakub Hrůša (1981-), Simon Rattle (1955-)

平均律クラヴィーア曲集

  • 2019/04/13 10:16
  • カテゴリー:音楽

バッハのこの長大な曲集(第1巻 BWV846-869、第2巻 BWV870-893)をチェンバロの演奏で聴いてみた。Léon Berben という奏者の録音(99年)。かつて、ピアノ版の LP を持っていたが、その奏者は、どうしても思い出すことができない。おれにとって馴染みの薄い音楽だったのだ。部分的には、例えば、第2巻の12番(f, BWV881)など悪くないと思える曲もあったのだが。80年代後半以降、CD の時代になっても、誰の演奏にせよ買い求めることはなかった。また聴く機会がやって来たのは随分経ってからのこと。まだ東京に居る頃、図書館の棚にある CD が目に留まり借りて来たのだ。これもピアノの演奏で、バレンボイムによる第2巻だった。検索するとポリーニの第1巻があったのでそれも借りた。これらを聴いてみても、やはり、特に心に残るようなことはなかった。先月、バッハのリュート音楽を、リンドベルイによるリュートの演奏で聴いた。これまでギター版でしか聴かなかった音楽が少し違って聴こえた。もしかすると、平均律クラヴィーア曲集も、ピアノではなくチェンバロによる演奏を聴くと親近感を覚えるかもしれない、そう思って、今回 Berben の演奏を聴いた。確かに違う。音色の違いはもちろんあるが、それより何より、一層、手強い感じがする。ちょっと親しみが湧きそうにない。

# Léon Berben (1970-), Daniel Barenboim (1942-), Maurizio Pollini (1942-)

リュートで聴くバッハ

  • 2019/03/28 07:04
  • カテゴリー:音楽

バッハ作曲のリュート独奏曲は、普段、ギター版で聴くことが多い。例えばウィリアムズやフェルナンデスによる録音だ。この度、オリジナルのリュート版をリンドベルイの演奏で聴いてみた。これがなかなか良い。特に、ト短調の組曲(BWV995)、ご存知無伴奏チェロ組曲第5番をバッハ自身が編曲したリュート用。BWV1000 も、たいへん好ましい、ややたどたどしい感もあるけれど、却ってフーガの構造がくっきりと浮かび上がって来る。

# 新バッハ全集ではリュート独奏曲は7曲。Johann Sebastian Bach (1685-1750)、John Williams (1941-)、Turibio Santos (1943-)、Eduardo Fernández (1952-)、Jakob Lindberg (1952-) リンドベリの表記もある

サリエーリ 生涯と作品

  • 2019/03/21 07:25
  • カテゴリー:音楽

風説は意図的に流された疑いが強い。なぜなら噂の流布と、ヴィーンで大成功を収めたロッシーニ作品をめぐってイタリア・オペラ支持派と国粋主義者との確執が高まった時期とが、完全に重なり合っているからだ。

サリエリによるモーツアルト毒殺説が浮上した時期は、1818-20年と特定されている。モーツアルトの死後30年ほど経とうとしている、その頃のウィーンは、イタリア・オペラに席巻されていた。大衆はロッシーニの作品に熱狂。それを快く思わない当地の音楽家、著者が言う「国粋主義者」、らが、意趣返しの相手に選んだのがサリエリだった。モーツアルト存命中から宮廷楽長の地位にあり、ウィーン音楽界のドンとして君臨するイタリア人作曲家。彼を殺すのに刃物は要らぬ。神のごとき天才モーツアルトを毒殺した、と黒い噂を流せばそれで足りる。それが実行に移された、ということだったらしい。サリエリによる毒殺説は根も葉もない嘘、誰かのでっち上げ、とは聞いていた。何か事情が判るかもしれないと思って、新着コーナーにあったこの本、水谷彰良著「サリエーリ 生涯と作品-モーツァルトに消された宮廷楽長」(復刊ドットコム、19年)を読んでみた。引用は、その第7章「モーツァルト毒殺疑惑に汚された最晩年と死」から(p282)。ロッシーニ(1792-1868)の名前が出て来たのは意外だった。

ページ移動

ユーティリティ

« 2024年05月 »

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

Feed