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カテゴリー「時の話題」の検索結果は以下のとおりです。

現存12天守と空襲

戦時下で残った12天守も焼けた7天守のあった城跡も、歴史を伝える重要な現場だ。国が焦土と化した経緯を学ぶためにも、案内板で戦災や復興の記述を充実させるなど「伝える役割」も重視した継承の場にしてはどうだろう。

朝日新聞の社説「現存12天守と空襲 歴史と戦災語る無言の証人」(8/23)から。

現存12天守が、社説のタイトルに出るなんて、珍しいことがあるもんだ。

現存天守は、江戸時代またはそれ以前に築城され、今まで保存されている城の天守。この社説によると、太平洋戦争で米軍の「空襲で焼失した天守は七つ」。その結果として、現存する天守は12となった。

12+7=19。あれ、かつて20現存したと聞いたことがあるのだが、計算が合わないな。

Wikipediaで調べてみた。戦前までは、やはり20だった。戦時下に7つ失われ、さらに戦後の1949年には松前城天守が失火により焼失したようだ。20-7-1=12。

それまでにはもっとあったらしい。明治の廃城令で多くが壊された。が、「廃城令発布以後も残った天守は60基あったが、その後も破却は進み」、20まで減ったのだとか。

なお、米軍の爆撃で失われた天守は、水戸城、名古屋城、大垣城、和歌山城、岡山城、福山城、そして広島城の7つ。

明石城(サイト内)。現存天守天守廃城令|Wikipedia

明らめて、諦めない

「あの選挙」はどうだったのでしょう。「何となく」や「面白そう」で投票したが、その結果、世界がここまで混乱するとは…。米国では、今、そう感じて渋面を作っている人が少なくないのではないか

「あの選挙」とは、もちろん米大統領選のことだ。

引用は、東京新聞の社説「参院選の日に考える 明らめて、諦めないで」(7/20)から。

今回の参院選はどうだったろう。これまで無関心だった人が投票に行ったと言う。支持政党をかえた人も割といたようだ。その人たちは、選挙結果やその後の展開を、どんな面持ちで眺めているのだろう。「渋面」をつくっているのだろうか。

この社説の中で、NHKのドラマ10「舟を編む~私、辞書つくります~」の挿話(6/24)が紹介されている。このブログでも以前に書いた「あきらめて、あきらめて、あきらめて」という謎の言葉にまつわるお話。

「あきらめる」には3つの意味がある。社説は、その3つに沿って、選挙権を正しく行使しようと主張している。

1) 物事の事情、理由などを明らかにする。政党や候補者の「姿勢や政見の真意」を見極めて投票する。2) 心を晴らす。「この社会の未来を明るくしていく」。そして、最後は否定形、3) 諦めない。「民主主義や社会の可能性を信じて希望をつなぐ」。

六紙社説、参政党の支持者とは人生をゆく(いずれもサイト内)。ドラマ10「舟を編む~私、辞書つくります~」(10)最終回(NHK総合、8/19 22時)

戦後80年の産業史

オープンで謙虚、そして新しいことに果敢に挑戦する姿勢こそ、40年の停滞に終止符を打ち、日本が成長力を取り戻す道である。

日本経済新聞の社説「経営革新で停滞の40年に終止符を」(8/14)から。オープンで、謙虚で、果敢に挑戦する、そういう姿勢を失いたくないものだ。

社説は、戦後80年を産業史の視点で振り返っている。大戦での敗戦から「1985年までの前半40年と、後半の40年できれいに明暗が分かれる」。前半は、戦後復興とそれに続く高度成長期、そして後半は、バブル騒ぎから始まった停滞期。

なぜ停滞してしまったのか。社説はこう指摘する。「活力の衰え」「過去の成功体験にしがみつき」「変革から逃げた」「新機軸に挑む熱意も低下」と。

私は、その後半40年に参戦した一人だ。1987年に就職。研究部門を皮切りに以降もずっと事業開発に身を置き、「新機軸」に挑み続けた。が、

配属先の主任研究員は、目標も判断も、妙に手堅い感じがした。アツくない。転勤した時の上司にも同じ雰囲気があった。社説が指摘するように「成功体験が足かせ」になり、挑戦への熱意は今一つ、だったように思う。二人は団塊の世代だった。

団塊の皆さんは、60年代後半から70年代前半にかけて就職し、成長期のいい時代を経験している。社会の中で大きなボリュームだった彼らが、長く管理職に居座り続け、新しいものを生み出そうとする動きに蓋をした。日本全体で、それが起きていたのではなかろうか。

転職した先では、上司はイギリス人だったこともあって、伸び伸びやらせてもらった。実績を積んで、さらに転職。今度は自分が管理職の立場になった。部下を率いて新たな事業をつくることには不安はなかったけれど、上層部を説得するのにだいぶ時間を要し、これには甚だ閉口した。団塊の世代が経営幹部になっていたのだ。

1947年から49年にかけて生まれた人たちだから今年で76歳から78歳。大企業はもちろん中小でも、団塊世代の経営者は、ほとんど、去っただろう。そういう点でも、「日本が成長力を取り戻す」、それが本格的に起きる時代が来つつあるのかもしれない。

人口動態の中で大きなボリュームを占める団塊の世代。社会や、経済、政治もかな、何かにつけ、彼らの考えや行動が少なからず影響した(する)ように思う。

さて、8/11の週、在京六紙の社説は、そのほかに、日航機事故40年、首相の進退、コメ増産政策、週刊新潮の差別コラム、広陵甲子園辞退、米統計局長解任、終戦の日、戦後80年首相見解、米露首脳会談、などを話題にした。

六紙社説、孤立死2万人超(いずれもサイト内)

フェンタニル問題

6月、日本経済新聞が、フェンタニルを米国に密輸する中国組織が、日本に拠点を作っていた疑いがある、とスクープした。

同紙サイトには、米中「新アヘン戦争」の裏側、が特集されており、フェンタニル関連記事をまとめて読むことができる。

他紙はどうしているだろうか。日経を除く在京六紙では、産経新聞が、比較的、熱心か。社説も一本掲載している。フェンタニル関係の六紙社説は今のところその一本のみ。

Googleさんで、各紙のサイト限定でフェンタニルを検索してみた。期間は日経がスクープした6/26以降とした。例「フェンタニル site:sankei.com after:2025-06-26」。

以下、Googleが示した件数順に並べた。各紙のヒット上位から3本ずつ記事を選択。

産経新聞(626件、sankei.com)
米国社会むしばむ合成麻薬フェンタニル 街をさまよう「ゾンビ」(7/26)
フェンタニル問題 「最悪の麻薬」流入許すな 社説(7/16)
日本も「中国産原料が米国で蔓延」の見方強める 水際対策進める(7/11)

日本経済新聞(408件、nikkei.com)
フェンタニル密輸ルート、中国組織の日本拠点を確認 欧州調査機関(8/8)
フェンタニル密輸、名古屋経由か データの海に浮かんだ「日本のボス」(6/29)
フェンタニル輸出の日本拠点「日米協議に影響なし」 岩屋外相(6/27)

読売新聞(192件、yomiuri.co.jp)
医療者の向精神薬乱用による死亡、64%が勤務先から窃取 初報告(8/13)
フェンタニルの密輸、2010~18年に全国で4件摘発(7/30)
フェンタニル摘発 2件 合成麻薬 国内、警察庁長官発表(7/3)

朝日新聞(63件、asahi.com)
フェンタニルなどに代わる鎮痛薬を開発 依存性なし、治験開始 京大(8/5)
フェンタニル国内で17件摘発、医療用を悪用 「厳格に取り締まる」(7/26)
カナダには35%関税を通告 トランプ氏「合成麻薬対策に非協力的」(7/11)

毎日新聞(53件、mainichi.jp)
名古屋に合成麻薬の密輸拠点 中国企業が設置 欧州調査報道サイト公表(8/10)
合成麻薬「フェンタニル」対策強化へ 背景にトランプ関税への警戒(7/15)
合成麻薬フェンタニルの原料、愛知県内で違法取引なし(7/7)

東京新聞(10件、tokyo-np.co.jp)
名古屋市に合成麻薬の密輸拠点 中国企業が設置、欧州の調査報道(8/9)
合成麻薬フェンタニル巡り厳罰化 トランプ氏が法案署名(7/17)
フェンタニル「拡大の実態ない」 厚労相、取り締まり継続(7/15)

どうやら、名古屋市のフェンタニル密輸拠点は実在したようだ。それが日米の関税協議に影響しているのかしていないのか、どうだろう。

社説がいくつか出て来るかもしれない。早ければ来週あたりから。

六紙社説、フェンタニル(いずれもサイト内)。フェンタニル、日本経由か 中国組織が密輸拠点-「米中対立」巻き添えの恐れ 合成麻薬問題(日経、6/26)

グンゼ、国内4工場閉鎖

東の片倉、西の郡是(グンゼ)

かつて並び称された、と何かで読んだ。

明治期の大日本帝国は、軍艦を買い入れるために外貨を必要とした。生糸産業は大いにそれに貢献。片倉工業や、グンゼ、生糸会社が、日本経済をリードした時代があった。

生糸を手掛けたのは、片倉、グンゼ、その二社だけではない。企業体だと、神戸生絲、近江絹糸、神栄、昭栄、そして鐘淵紡績など。当時は皆、名門と呼ばれた。

生糸の時代が去って、各社いったいどうしただろうか。

工場跡地を利用して不動産業へ乗り出した企業が少なくない。片倉工業は、確か、ホームセンターやスーパーの経営もやった。旧安田財閥系の昭栄も不動産に進出し、のちに同系列の同業ヒューリックに救済合併された。

何社かは、繊維業で横展開を図った。神戸生絲はビニロンという合成繊維で生糸需要を置き換えようとしたが完全に失敗。同社は、電機事業など多角化も試行。これも、さっぱり、上手く行かなかった。

どこもぱっとしない。社名が消えた会社もちらほら。そんな中、グンゼだけは、売上高1千億円を超える上場企業として存続している。

製糸(第一次産業)から綿の肌着(第二次産業)への転換が成功。包装材の内製から各種プラスチック製品へとさらに展開。数十年単位で業種業態の脱皮をやって来ている。

そのグンゼが、国内の4工場を2026年末までに段階的に閉鎖すると発表した。肌着などアパレル製品は国内生産では競争力を失いつつあるのだろう。グンゼが繊維製品の自社生産を止めるのはそう遠い先ではないかもしれない。

王子製紙苫小牧工場(サイト内)。グンゼ、国内4工場閉鎖 希望退職も実施(8/6)、器械製糸工場の跡地利用と痕跡

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