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競業避止契約

広範すぎる転職制限は無効になることがある

企業が退職者に同業他社への転職を禁じる「競業避止契約」、これを採り上げた記事を読んだ。nikkei.comにて。

競業避止の文言を実際に見たことがある。

一度目の転職。最初に勤めた会社を辞める際、誓約書への署名捺印を求められた。業務上の秘密は漏らさない、「三年間」は同業他社へ転職しない、という主旨だった。

サインする前に、法務室の部長に尋ねてみた。取引先との契約などでいつもお世話になっていた方だ。正直に、同業他社への転職を予定していると明かし、この誓約書にサインしなくても良いだろうか、と聞いた。彼は書面をよく見もしない。そりゃそうだ、彼らが作成した文章だ。そして、こう答えた。

制限が広過ぎるし「三年間」は長過ぎる。出るところに出ると、この競業避止は認められない可能性が高い。それに、そもそも憲法で職業選択の自由は保証されているからね。この誓約書は単なる守秘契約だと思ってサインすれば良い、と。

同業他社への転職を阻止できない、と会社が考えていることは別の点にも表れていた。その当時、退職者を募り、それに応える者には退職金に上乗せする、というキャンペーンが全社で展開中だった。それを満額もらうには、一定の勤続年数を超えているなどの条件がいくつかあり、同業他社へ転職しないことは必須要件だった。つまり、同業他社へ転職するならどうぞ、ただし上乗せの加算金はないよ、ということだったのだ。

結局、その誓約書にサインして円満に退職した。競業避止の文言は有名無実なのだから削除するよう交渉しようかとも考えたけれど、原文のまま、のんだ。そして、予定通り、同業他社へ転職した。

二度目の転職。その時も誓約書に署名した。課せられたのは守秘義務だけだった。55歳で早期退職した際も同様で、書面のタイトルは「秘密保持誓約書」。再び、競業避止の文言を目にすることはなかった。

山崎元さん死去転職(いずれもサイト内)。同業他社への「転職禁止」問題に 妥当性巡る判決相次ぐ(9/20)

この一か月、中国は

在京六紙の社説を眺めていて、ここしばらく、中国がらみのテーマがだいぶ多いと感じていた。例えば、読売新聞の場合、この一か月で11本に上った。

  • 中国の仲介外交 和平実現へ本気度が問われる(8/20)
  • 中国の邦人起訴 不信感を高める不透明な司法(8/25)
  • 領空侵犯 中国は危険な挑発をやめよ(8/28)
  • 中国の領空侵犯 「意図はない」では済まされぬ(8/31)
  • NHK尖閣発言 電波の「私物化」をなぜ許した(9/1)
  • 水産物輸出の減 販路拡大の重要性が鮮明に(9/2)
  • 中国軍領海侵入 身勝手な海洋法の解釈許すな(9/10)
  • 一力棋聖世界V 中国の強豪破り新時代を開く(9/14)
  • 対アフリカ支援 中国の狙いは影響力の拡大だ(9/17)
  • 男児刺され死亡 中国は凶行の詳細を説明せよ(9/20)
  • 水産物輸入再開 日中関係の改善につながるか(9/21)

邦人が容疑不明で拘束され、水産物の輸入は止められたまま。国民感情は悪化の一途。その一方で、ここに来て、中国軍の情報収集機が日本の領空を侵犯するわ、空母や測量艦が近海をうろうろするわ。偶発的な衝突でも起こって有事へ発展すればどうするんだ、などと思ったりもした。

実際、「偶発的」な事件が起こった。中国広東省深圳での痛ましい事件だ。あちらにもこちらにも好戦的な人たちがいる。妙な方向へ向かわなければ良いけれど。

社説のリストは、外交や安全保障ばかりかと思いきや、囲碁の話が一つ混じっている。一力棋士が世界一になったと。読売は、限られた文字数のタイトルの中に「中国」を入れた。中国棋士を相手に勝った、と示したかったんだろう。ちょっとでも溜飲が下がったかな。

さて、9/16の週、六紙社説は、そのほかに、敬老の日、党首選の論点、ドイツ急進右派の伸長、「将軍」にエミー賞、公明党新代表、地価上昇、通信機器が殺傷兵器に、警察による個人情報恣意的収集、米大幅利下げ、兵庫斎藤知事への不信任、大谷選手50-50超え、などを話題にした。

六紙社説、米中戦争前夜(いずれもサイト内)。邦人男児刺殺、偶発的と中国警察 日中関係の悪化を懸念か(9/20)

リーダーの引き際

「私が何をやったというのか」 辞任を促す上院議員の手紙に激怒したり、家族の反対を口実に続投を訴えたり。一方、辞任をほのめかしたり、周囲に自殺を心配されたりの不安定な精神状態。ニクソン氏の引き際は「悪あがき」とも言えるものですが、退陣圧力にも抗い、地位に執着することは権力者の本能かもしれません。

ウォーターゲート事件で任期中に辞任に追い込まれたニクソン大統領。50年前のアメリカでのお話。引用は、一か月ほど前に掲載された、東京新聞の社説「週のはじめに考える 権力者の引き際とは」(8/4)から。

社説は、リーダー2人の去就を伝えている。まず、再選を目指していた大統領選から撤退を表明したバイデン大統領。「トランプ前大統領の有利が伝えられ、党内で噴き出した撤退論に抗い切れなかった」(東8/4)。もっと「悪あがき」するかと思いきや、割とあっさり自ら身を引いた。

一方、岸田首相は、この8月初旬時点では、9月の「総裁選を目前にして、党内の支持獲得に腐心」(同)、まだ「悪あがき」をしている。それに、自民党の裏金問題では、「どこかひとごと」、「組織のトップである自分には何のおとがめもなし」(同)、と厳しく非難されている。結局、8月半ば、電撃的に退陣を表明。裏金問題について「組織の長として責任を取る」と会見で述べた。

今、もう一人「悪あがき」のリーダーがいる。世を騒がせている兵庫県のあの人。パワハラなどの疑惑が内部告発された斎藤元彦知事。いよいよ県議会議員全員が辞職を求める事態となっている。本人はすべての疑惑を否定しているが、「一連の対応が不適切だったのは明白だ」「斎藤氏は潔く身を引く決断を下すべき」と、産経新聞の社説(9/14)は見限る。

これからどんな「悪あがき」ぶりを見せてくれるのだろうか。

さて、9/9週、在京六紙の社説は、そのほかに、日韓の首脳外交、被爆体験者の救済、パラリンピック閉幕、トランプVSハリス討論会、自民・立民W党首選、新米の価格高騰、東大の授業料値上げ、自民総裁選の討論会などを話題にした。

六紙社説、閉幕、退陣、敗戦トランプ登場に備えよ(いずれもサイト内)。バイデン大統領「新しい世代にバトン渡す」 演説で撤退理由説明(7/25)、岸田首相退陣へ、総裁選に不出馬表明「けじめつける」(8/14)

VW、ドイツで工場閉鎖検討

高い電気で高い製品を作っても国際競争には勝てず、すでに余力のある企業から、国外逃避が始まっている。産業の空洞化、それに伴う雇用の喪失はすでに隠せない。

8月下旬、川口マーン惠美さんのシュトゥットガルト通信(8/23)を読んだ。

ドイツは、再生可能エネルギーへ完全に置き換えることを目指し、昨年4月に全ての原発を止めた。移行期は安価なロシア産天然ガスでの発電を想定していた。が、目論見はあっけなく崩れ去り、今、足りない電気は、チェコや、ポーランド、フランスなど隣国から高いお金を払って輸入している。

いったいどんな企業が国外逃避しているのだろうか、と思っていた矢先、nikkei.comの記事を見て驚いた。「ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は2日、同国で工場の閉鎖を検討していると明らかにした」(9/3)。え、ドイツ製造業の象徴のような企業がそんなことになっているのか。

VWは「工場閉鎖に関し、雇用保障を含めた労働組合との労働協約を破棄すると」「同国最大の産業別労組IGメタルに通知」(9/11)、IGメタルは「VWとの労使交渉を9月25日から始めると明らかにした」(9/13)、と続報が出ている。いずれもnikkei.comから。

日本でも原発は敵視される。「安くて安定した電気がないと、経済は立ち行かない」「ドイツも日本も、このままでは落ちぶれるばかりだ」と、川口さんは警鐘を鳴らす。

川口マーン惠美(サイト内)。国外逃避が止まらない…!「電気代が異常に高い」ドイツがいま陥っている「産業の空洞化」と「雇用の喪失」(8/23)|シュトゥットガルト通信、独フォルクスワーゲンの国内工場閉鎖が示唆するドイツの産業空洞化、果たして日本の二の舞になるのか?-名だたるドイツ企業がドイツ脱出を考える理由(9/13)|唐鎌大輔の為替から見る日本

最低賃金、2024年

「都道府県ごとに定める最低賃金の2024年度の引き上げ額が出そろった」と日本経済新聞の社説にある。9/4付け。半分以上の27県で目安額の50円を上回ったとか。

最低賃金の社説は一か月ぶり。在京六紙は、7月半ばから8月初頭にかけてこのテーマを採り上げていた。数えてみると8本に上る。8/2付の毎日から今回の日経まで間が空いた。

「働き手が首都圏や近隣県へ流出するのを懸念し、積極的に引き上げる県が目立つ」「最低賃金の水準を地域間で競うのは必然といえる」(経9/4)。煽るねぇ。

そして、「望ましい最低賃金の水準を導き出すには、中長期の視点と精緻なデータ分析が必要だ」「英国ではエコノミストら専門家も情勢分析に加わって最適な引き上げ額を探っており、日本も参考にすべき」(同)、と批判する。

煽る。扇動する。人心を惑わせる。世の中かき回す。ビジネスへ繋げる。経済を動かす。要するに頭にあるのは金儲けのことだ。

批判する。権力を批判するのはメディアの務めだと嘯く。その一方で弱者に寄り添うわけでもない。常に上から目線で言い放し。わしゃ知らね、って。

そんなことばかりだから新聞は益々読まれなくなる。もう少し何かできないものか。例えば経済紙だったら、この賃金ネタはお手の物だろう。その「情勢分析」とやらに腰を据えて取り組めば、中長期的な賃金水準を割り出すこともできるはず。それを提案する場として社説を使えばいい。

さて、9/2週の六紙社説は、そのほかに、兵庫知事の疑惑、台風10号の被害、予算の概算要求過去最大に、男性の育休取得、ガザでワクチン休戦、裏金と自民総裁選、プーチン氏逮捕されず、公益通報制度、日韓首脳会談、立憲民主党代表選などを話題にした。

六紙社説、最低賃金アップ、23年度(いずれもサイト内)。東京1163円、沖縄952円

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