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新年展望、23年

今年を展望する社説をざっと見た。元日から今朝までに在京六紙で34本(1/1-8)。以下のテーマについて語っている。やはりと言うべきか、安全保障がらみが多い。

  • 強国による世界の分断、5(朝毎東読経)
  • 日本の外交と国防、5(朝毎東読産)
  • 民主主義の再生、4(朝毎東経)
  • 岸田政権の課題、3(朝毎読)
  • エネルギー政策、3(朝東産)
  • 防災・関東大震災100年、3(東産経)
  • 世界経済、3(毎読経)
  • 日本経済、2(東読)
  • 少子化対策、2(朝産)
  • 多元資本主義、1(朝)
  • 気候変動、1(経)
  • スポーツ界、1(産)
  • ビッグテック、1(経)

この中で特に目を引いたのは、東京新聞(1/1)の「年のはじめに考える 我らに視点を与えよ」だった。強国の指導者たちに対して、相手国や自国民の身になって考えてみよ、と提案する。その一方で、大谷翔平選手を登場させたり、視点と支点の駄洒落を飛ばしたり、雑駁な内容になってしまっているけれど、タイトルがいい。

これから先、新聞は、「我らに視点を与え」てくれるだろうか。各紙とも発行部数の減少が止まらないようだが、ぜひ奮起して、権力に対するチェックをしっかり機能させ、世論形成を正しくリードしてくれるよう期待したい。エールをおくりたいと思う。

六紙社説、新年展望 22年 21年(いずれもサイト内)。1年で200万部減「新聞離れ」は止まらず 「一般紙」は15年後に消える勢い(1/1)、沖縄県、地域外交室を設置へ 4月 諸外国との交流促進(琉球新報、1/5)、<社説>県が地域外交室設置へ 戦争させない施策展開を(同、1/8)

国内マスコミの根本課題

日本のマスコミの特徴は、情報ソースの元に密接な関係を持って、警察関係なら警察庁、外交関係なら外務省、その説明を重視し、そのブリーフを主として報道する。独自で調査、勉強する部分は、外国のメディアに比べて非常に小さい。そうすると、どうしても、外務省や警察庁の説明で新聞の紙面が作られる。そういう傾向がある。

高橋和夫、孫崎享両氏の問答。北方領土の返還は客観的に見てかなり厳しい。が、そう伝える国内メディアはない。「国民に対してあまり正直ではないのでは」と高橋氏が問う。引用はそれに対する孫崎氏の答え。

PRESIDENT Onlineの記事(1/2)を読み、似たような話をいつか聞いたなぁと思い、昔の音声ファイルを探した。放送大学の講義の中にあった。高橋氏による領土問題の講義に孫崎氏がゲスト出演していた。

PRESIDENTのその記事は、日本の記者クラブについてその課題を論じている。日本の個別の記者クラブは、官公庁や、政党、大企業ごとに細かく分けられ、所謂「縦割り」になっている。そのため、クラブに所属する記者たちは、傾向として、問題意識が官僚らと同じになる、日々お世話になっている組織へ忖度する、そして、専門バカになり分野が少しでもずれるとニュース性すら判断できない、と。

日本のメディアにおいて、ジャーナリズムは正常に機能しているのだろうか。だいぶ怪しそうだ。報道に接する側の我々は、常に、眉に唾しておかねばならない。

なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題(PRESIDENT Online、1/2)、第12回「北方領土問題」▽国際理解のために(放送大学ラジオ、2013開講、2019改訂)高橋和夫(2019/12/18)、報道におけるタブー|Wikipedia

何が世界を動かすのか

世界を動かしている力、driving forceは、いったい何なのか。昨日の社説「年のおわりに考える 煽られた風の元を疑う」(東京新聞、12/30)がそれを教えてくれている。

今回の防衛費GDP比2%は、元々「米大統領がNATOに求めた目標値」。NATOとは直接関係のない日本の自民党がこの値に拘泥したのは、「米国製の兵器を爆買いするためにも、予算の枠を確保」することにあった。ロシアのウクライナ侵略が世論の後押しをした。

一方「軍産複合体の一翼を成す米軍・政府の安保専門家ら超党派の約五百人が」「バイデン氏支持を表明」。大統領に就任したバイデン氏は「真っ先に中国を最も深刻な競争相手と指名」。軍の高官は「客観的な根拠は曖昧なまま」6年以内に台湾有事があると証言。

結果、日本は敵基地攻撃能力の保有と「米国製巡航ミサイルの大量購入」を決定。その儲けは「軍産複合体のもう一翼、米軍事ビジネスに集約される」。日本国民の血税が「みすみす戦争の危険を高めつつ国外に吸い取られてい」く。

と、社説は、日本に対する米政府の企てを暴く。もちろん断定は避けている。が、疑い、疑わしい、疑念、など「疑」の文字を9回も使いながら、かなり踏み込んでいる。米国の意図を語ることがタブー視されている日本の論壇で、新聞の社説がよく頑張ったと思う。

風を煽って「大口顧客」を確保。日本だけじゃなく世界中でそれをやる。兵器を売って小金を稼ぐことが主目的ではない。あちこちに火種をつくっては、マッチ・ポンプの役割を果たす。それが覇権を維持し世界を牛耳ることに繋がる。狙いはそれだ。世界は某大国の覇権構想で動かされている。

予定外で社説を採り上げた。ついでに一週間のまとめをしておこう。12/26週、在京六紙の社説は、学術会議改革や、海自で特定秘密漏洩、ウクライナ支援、秋葉復興大臣と杉田総務政務官両氏を更迭、中国ゼロコロナ撤廃の影響、年のおわりに、2022年回顧、中央アジア外交などを話題にした。

良いお年を。

六紙社説(サイト内)。年のおわりに考える 煽られた風の元を疑う(東12/30)、軍産複合体|Wikipedia、Military-industrial complex (MIC)、腰だめ

緊張は矛で緩和されるのか

岸田政権については、自慢の外交で内政の脆弱さを補う、そんな文言を何かで読んだ覚えがあるけれど、果たして上手くいったのだろうか。この一年、日本と近隣諸国との関係がどうなったかざっと見ておこう。在京六紙の社説から引用した。

中国、首脳会談で台湾や尖閣に関し「懸念にゼロ回答」(産11/19)。北朝鮮、ミサイルを撃ち込まれるだけで、安保も拉致も「事態打開の糸口をつかめていない」(毎9/16)。ロシア、3月に北方領土交渉の中断を表明、日露漁業協定さえ一方的に履行停止、「理解に苦しむ」(読6/12)。韓国、首脳会談までに「3年を要するのは尋常ではない」(朝11/15)。どの国に対しても意思の疎通が図られていないことはバレバレだ。

この度は、専守堅持の姿勢を一変させた安保3文書を閣議決定。「周辺国との軍拡競争を招き、逆に地域の緊張を高め」かねない(東12/17)。韓国ですら、北への敵基地攻撃は勝手にするなよと釘を刺す。「各国との対話を通じて相互理解を深め、紛争を未然に防ぐ外交の重要性は変わらない。軍事力は最終手段」(経12/17)のはずが、どうやら、首相「自慢の外交」は順番が逆らしい。

国が地域の安定を蔑ろにし続ければ衝突回避は難しくなる。憂慮すべき状況下、玉城デニー沖縄県知事は、20日、自治体外交を展開する考えを示した。「中国や台湾、韓国などへ訪問し、カウンターパートとしての関係構築を継続」「沖縄から地域の緊張緩和への貢献を図っていく」(琉球新報、12/21)。何とも心強い限りだ。爪の垢を煎じて誰かに飲ませてあげてはいかがか。

さて、12/19週、六紙社説が採り上げた話題は、サッカーW杯閉幕、全世代社会保障、刑務所での人権、日銀大規模緩和修正、薗浦衆院議員辞職、COP15生物多様性新目標、子供の発達障害、原発政策転換、米ウクライナ会談、安倍氏国葬の評価、来年度予算案、防衛予算急増などだった。

日曜の関心事、今年分はこれで終了。次は1/1。社説には新年の展望が並ぶことだろう。

六紙社説、日中首脳会談、22年11月日朝平壌宣言20年ウクライナ大統領演説日韓は対話継続を(いずれもサイト内)。日本の反撃能力 野党批判踏まえ「事前協議や同意必要」=韓国大統領室(12/19)、デニー沖縄知事「自治体外交」展開へ 中国、台湾、韓国訪問を検討 アジアの緊張緩和へ「沖縄から貢献」(12/21)

専守防衛を放棄するのか

安全保障に関連した社説を見返してみた。この一か月弱の間(11/23-12/18)に在京六紙で合計42本。以下は行ごとに、トピックス(社説掲載日)[各紙の本数]。

  • 有識者会議が防衛力強化を提言(11/23-27)[朝2 毎1 東1 読1 産1 経1]
  • 防衛費GDP比2%を首相指示(11/30-12/2)[朝1 毎1 東1 読0 産1 経1]
  • 敵基地攻撃能力を自民公明合意(12/2-6)[朝1 毎1 東1 読0 産1 経1]
  • 増税による防衛費財源の確保(12/7-18)[朝3 毎2 東4 読0 産2 経1]
  • 安全保障関連3文書を閣議決定(12/17)[朝1 毎1 東1 読1 産1 経1]
  • その他、武器輸出3原則等(11/28-12/18)[朝1 毎1 東1 読3 産1 経0]

国の防衛に関するデリケートな事案が矢継ぎ早に繰り出された。それがサッカーW杯で日本代表チームが戦っている時期(11/23-12/7)と重なっていたのは偶然だろうか。

国民やメディアがサッカーに気を取られている間に、敵基地攻撃能力の保有を自民公明両党が合意。日本チームの戦いが終わってみると、話題は既に防衛費の財源へ移っている。敵基地攻撃云々の議論は済んだ事にして、人々の関心を増税するしないへ誘導。これは偶然ではなく誰かが書いた筋書きではないのか。よく練られたシナリオだ。

臨時国会は10日に閉幕。その終盤は、旧統一教会がらみの被害者救済法案一色だった。これもそのシナリオの一部か。何せ、憲法を改正せずに、専守防衛の理念を放棄し安保政策を大きく転換するのだ、国民の目を逸らすためには何だって動員する。サッカーも、旧統一教会問題も。もしかして安倍氏殺害もそうなのか。

メディアの世論調査は筋書きに彩を添える。どの社がいつ調査するかを把握している。この期間では12日発表のNHK。その結果、防衛費の増額に賛成51%と出た。数字が操作されたかのように、際どく過半すれすれ。よし、世論誘導は上々、強気に進められる、首相による説明は予定通り16日だ、とシナリオの残り数日を締め括った。

スタートは2021年3月。米インド太平洋軍デービッドソン司令官(当時)が、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と、米上院軍事委員会の公聴会で証言した。それを受けシナリオが始動。自前で作成したのか、それとも米国から指導を受けたのか。いずれにせよ、様々な不確定要因を掻き分けて、今回の安保政策転換へ漕ぎ着けた、その手腕は際立っている。お見事。

一連の流れの中で、公明党の変節ぶりには驚かされた。まさか敵基地攻撃能力の保有に合意するとは。平和の党という看板や、親中の方針を、あっさり捨てた。弱みに付け込まれたんだな。旧統一教会の問題が、党の支持母体である宗教団体へ飛び火することを、心底、恐れている。ほとぼりが冷めるまで、息を潜めるように大人しくして、政府や自民党に背かず何にでもはいはいと言っておこう。魂を売っても、中国とのチャンネルを失っても、今はとにかく保身。術中にはまったな。お気の毒。

上の社説のリストを見ていて、あることに気が付いた。主要な3つの項目で読売だけが落ちている。同紙は、有識者云々は書いたが、その後、GDP比2%や、自公合意、防衛費財源については無し。政治面で政府や与党の動きを客観的事実として伝え、社説では敢えて意見しない。そのことによって、強烈なメッセージを放つ、政府・与党を支持しますと。晴れて安保関連3文書決定。「国力を結集し防衛体制強めよ」(読12/17)とぶち上げた。政府広報紙と見紛うばかりだな。ご立派。

集団的自衛権行使を容認した際もそうだった。その筋の官僚が、米政府のジャパン・ハンドラーと結託して物事を動かす。シナリオを構想する。平和憲法を骨抜きにする。日本政府の首脳は手先として働くに過ぎない。メディアは、リベラルにせよ保守にせよ、わあわあ騒ぐだけ。国民にはホントのことは何も知らされない。桑原桑原。

さて、12/12週の六紙社説は、安保関連のほかに、学術会議改革、広島賢人会議、月着陸船打ち上げ、知床事故報告書、地方議員の不足、かかりつけ医制度、米利上げ減速、刑務官の暴行、税制改正大綱などを話題にした。

六紙社説、米製兵器を買わされる日本いったいどこに反撃する平和は槍で得るものなのか米下院議長、台湾訪問銃乱射事件と世界平和(いずれもサイト内)。「中国は6年以内に台湾侵攻の可能性」 米軍司令官証言の現実味(2021/3/27)、岸田内閣「支持」3ポイント上がり36% 「不支持」44%(12/12)、「戦争をしないことが住民を守る一番の政治的手段」玉城沖縄知事、反撃能力巡り強調(12/15)

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