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日中首脳会談、22年11月

岸田首相と習近平国家主席が、17日、訪問先のバンコクで会談した。「約3年ぶり」「同時通訳だったとはいえ、首脳会談は45分間に満たなかった」。

在京六紙の内5紙が社説で採り上げた(朝毎読産経)。いずれも19日付け。

「今回の首脳同士の直接対話を出発点に、両国関係の再構築を望む」(朝)、「緊張の高まりに歯止めをかける重層的な対話チャンネルの確立が急務」(毎)、「まずは閣僚対話を手始めに、ハイレベル相互訪問の再開に向けた条件を整備する必要がある」(経)

「重層的な対話で衝突を防げ」(読)、「世界と地域の秩序に対する不安定要因となっている中国との間に、話し合いの場を設けておくのは妥当」(産)

左派系や日経がそう言うのは判る。が、読売や産経にも「対話」「話し合い」の文言があるのは珍しい。「冷え込んだ」両国の関係は、危険水域とまでは行かないまでも要注意ラインに達している、大手紙が揃ってそう見ている、ということだろうか。

会談の内容については、両首脳は「安定的な関係に意欲的」(経)と評し、「防衛当局間のホットラインの早期運用開始や安保対話の再開」(朝)や、「ロシアのウクライナ侵攻に関し核兵器の使用反対」(毎)、「経済協力を深める」(読)、「建設的で安定的な両国関係の構築に向け、首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を行っていく」(産)などと今回の両者合意事項を並べた。

一方で、米中の対立が激化する中、習氏がいくら日中「協力」を語っても「日本との関係を小康状態にしておきたいという戦術的な底意が透けてみえるだけだ」(産)と、冷やかな論評もある。さらに、台湾や尖閣での軍事的活動、EEZへのミサイル発射、ウイグルの人権問題など「懸念が何一つ解消されなかった」(同)、「中国を巡る様々な懸案が前進したわけではない」(読)と見限った。かつて外相を務めた岸田首相に対し、読産2紙でさえ辛辣な評価を下したわけだ。

さて、11/14週の六紙社説は、そのほかに、日韓首脳会談、東ティモールASEAN加盟、五輪汚職捜査に区切り、コロナ第8波への対策、米中首脳会談、GDPマイナス、ポーランドにミサイル着弾、暗号資産大手FTX破綻、トランプ氏出馬表明、参院選の不平等さ、北朝鮮が再びICBM発射、G20閉幕、旧統一教会の被害救済などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。あす日中首脳会談 外交「得意」な岸田文雄いかに(政界地獄耳、11/16)、会談実現が目的…日中の現実(同、11/19)

独首相の中国訪問

ドイツのオラフ・ショルツ首相が北京を訪れ、4日に習近平国家主席らと会談した。独中両国間の関係強化や経済協力の拡大で合意。この訪中には、フォルクスワーゲンなど十数社の企業幹部が同行した。

六紙の内3紙がこれを社説で採り上げた。「西側の結束を乱す接近だ」(産11/8)、「安保上の警戒を緩めては困る」(読11/5)、「多数の経済人を伴う訪中は弱腰外交につながりかねない」(経11/8)と、訪中したドイツに対して不快感を隠さない。

一方で、「ウクライナ問題を巡る中国のロシア支援にはくぎを刺し、中国の人権問題についても懸念を示した」「G7の立場を直接伝えた意義は大きい」(読11/5)、「台湾の武力統一が望ましくないという考えや、新疆ウイグル自治区など少数民族の人権問題への懸念を中国側に伝えた」(産11/8)、「対話を通じて中国側に人権侵害や力による現状変更の試み、不適切な貿易慣行の阻止を厳しく迫ることこそ大切だ」(経11/8)と、揃ってショルツ氏の外交姿勢を評価する。

他のメディアによると、この会談の結果、ウクライナでの核兵器使用に共同で反対する声明を出すに至ったとか。経済協力拡大の合意を取り付ける一方で大国としての責任を果たすよう要請。北京まで乗り込んで、直接の対話によって、求めるべきことを求め、言うべきことを言う。

日本はこれを見倣ったらどうだ等と意見する社説は一つとしてない。それどころか、ドイツに対して「歩調を乱さず中国への圧力を保つよう働きかける」べきと説く(経11/8)。日本はそんな悠長に構えていて良いのか。日本列島すべてが中国ミサイルの射程内に入っているのだ。「欧州でも重視されるインド太平洋地域の平和と安定など、中国に起因する安全保障上の懸案を十分に議論した形跡がみえないのはどうしたことか」(産11/8)と嘆く余地があるのなら、これこそ日本の役割と注文すべきではないのか。

岸田首相は、APECの機会に、習近平国家主席と首脳会談を行う方向で調整中らしい。実現の暁には、ショルツ首相の訪中について黙っていた左派系も含め六紙社説がその日中会談を話題にすることは間違いない。果たしてどんな意見を披露してくれるだろうか。

さて、11/7週の六紙社説は、そのほかに、イスラエルに右派政権、G7外相会合、病院へのサイバー攻撃、自転車の悪質運転、税金の無駄遣い、米中間選挙、五輪汚職15人起訴、葉梨法相更迭、旧統一教会巡る救済新法、東南アジア外交、次世代半導体のラピダス社などを題材とした。

六紙社説(サイト内)。Olaf Scholz(1958年-)、独首相、習氏の核使用反対表明で訪中の「意義果たした」(ロイター、11/7)、防衛力強化→増税より実のある外交を(政界地獄耳、11/8)、国民生活より防衛費なのか(同、11/11)、独ショルツ首相が企業団引き連れ「中国詣で」…習近平総書記3選のお祝いに「ハンブルグ港」を献上か(現代ビジネス、11/4)

音楽教育と著作権

音楽教室が支払う著作権使用料、最高裁の判決。

日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収する方針を掲げたのに対し、それに反対するヤマハ音楽振興会など約250の音楽教室事業者らが提訴。一審、二審を経て、この度、最高裁の判決(10/24)により、教師の演奏については、音楽教室が著作権使用料を支払う義務があるが、生徒の演奏については支払う義務がないという判断が確定した。

在京六紙の内3紙が社説でこれを採り上げ、いずれも今回の判決を歓迎している。「営利事業として教室を営む側の演奏だけに課金し、習う側の生徒は対象外とする結論は、バランスをとった妥当な司法判断」(経10/27)、「技術の向上を図る生徒の演奏目的を踏まえた常識的な判断」(産10/28)、「著作権保護の主張が壁となって、文化に親しむ機会が損なわれるのは好ましくない。そう忠告した判決」(毎10/31)。

では、歌謡教室や、ボーカル・レッスン、カラオケ教室などの場合はどうなる。確か、その分野では、教師と生徒を特に区別することなく、事業者から著作権使用料が徴収されていると、以前、何かで読んだ。今回の判決が整合しないことは明らかだ。音楽を教える先生がいてそれを習う生徒がいるという点で何ら変わりはないのだから。

社説では、「JASRACは近年、フィットネスクラブ、カルチャーセンター、歌謡教室と徴収対象の施設を拡大してきた」(毎10/31)と一紙が一言触れるだけで、今回の判決との整合性云々は指摘されていない。が、今後おそらく歌謡教室などでの徴収のあり方についても併せて協議が進むに違いない。

webで色々読んでいると、音楽教室側の主張には、教育への貢献や、理想の追求、崇高な活動というような思いが見え隠れする。それは、音楽界、特にクラシック系にはびこる特権意識に似て、どうも鼻につく。その点、付け加えておこう。

さて、10/31週の六紙社説、そのほかの話題には、ソウル雑踏事故、トマホーク導入、ブラジル左派政権、文化の日、政治家の国葬、参院選違憲判断、北ミサイル挑発、ロシアが穀物輸出合意を履行停止、Twitter買収、COP27開幕、王将社長射殺事件などがあった。

六紙社説(サイト内)。JASRAC「金額の問題ならば交渉に応じる」-どうなる?楽器教室「著作権使用料問題」|東洋経済(2017年2月)、音楽教室のレッスン楽曲に著作権料払うべきか-東京地裁判決はJASRAC勝利、続く双方の対立|同(2020年4月)

「不誠実」山際大臣更迭

旧統一教会との関わりが次々に判明した山際大志郎経済財政・再生相が、岸田首相に辞表を提出した。事実上の更迭だ。在京六紙も社説で厳しく非難した。辞めた本人に対し、六紙は申し合わせたかのように「不誠実」と表現。その部分を抜き出してみよう。

「旧統一教会との接点を問われ、記憶がない、記録がない、と繰り返した。その後も外部から新たな指摘を受けるたびに、後追いで事実を確認する対応を繰り返した。野党などの質問に不誠実な印象を与え、不信感を増幅した」(経10/26)

「全てを曖昧な答弁でかわそうとしたのは極めて不誠実」(産10/26)、「不誠実な対応を繰り返し、閣僚としての資質を欠いていた」(毎10/25)、「ひとを食った釈明を繰り返してきた。不誠実きわまりなく、辞任は当然」(朝10/25)、「不誠実な対応は目に余る。閣僚辞任は遅きに失した」(東10/25)、「不誠実な姿勢が墓穴を掘った」(読10/25)

不誠実のオンパレードだ。本人は「法に触れるようなことをやったわけではない」と「開き直り」(産10/26)、議員辞職は否定したらしい。が、こうまではっきりと不誠実の烙印を押された人物が、国民の代表でございと、のさばって良いものか。一方、岸田首相に対して社説はどう書いているだろうか、

「遅きに失した対応で、かばい続けた岸田文雄首相の責任は大きい」(毎10/25)、「首相の責任は極めて重い」「任命権者として、もっと早く更迭を決断すべきところを、最後まで受け身に終始した。教団と決別するという言明も、その覚悟が疑われる」(朝10/25)

「首相も当然、任命責任を免れまい」、教団と政治、徹底究明せよ「首相は指導力を発揮すべきだ」(東10/25)、「任命責任はもちろん」「政治不信を増大させた責任も自らにあると厳しく認識すべき」「首相が指導力を示せなかったのは大きな問題」(産10/26)

「岸田文雄首相はもっと早く決断すべきだった。国会中に重要閣僚が交代する事態を招いた責任は重い」(経10/26)、「首相は8月の内閣改造で、山際氏を留任」その後、辞めさせる決断ができず「事態の悪化を招いた政府首脳陣の責任は小さくない」(読10/25)

ここで皆が使う言葉は「責任」だ。ただし、6本の内、読売の1本のみ、首相ではなく「政府首脳陣の責任」を問う。たちまち、責任の所在は、あやふやになる。岸田首相の責任から国民の目を逸らせるには、とても効果的だ。同紙の岸田首相びいきは判りやすい。

さて、10/24週の六紙社説は、そのほかに、日豪安保協力、中国習氏3選、性犯罪対策、神戸家裁記録廃棄、英新首相にスナク氏、音楽教育と著作権、ロシア核軍事演習、年金制度改革、不登校急増、臓器移植法25年、米国の新安保戦略、総合経済対策などを題材にした。

六紙社説、メディアの沈黙(サイト内)。「法に触れていない」山際大志郎氏、衆院議員の辞職は否定 経済再生相の辞表を首相に提出した後、記者団に(東京新聞、10/24)、岸田文雄の政治オンチが招いた経済再生相・山際大志郎“更迭”(政界地獄耳、10/26)、山際大志郎更迭で野党の疑惑追及は手打ちに(同、10/27)

Re: 習氏3選にどう向き合う

中国共産党を2期10年率いてきた習近平氏が、更に3期目を務めることが昨日(10/23)本決まりになった。今朝の六紙社説は、一斉にこれを採り上げた(10/24付け)。6本の内2本に「対話」の文字があった。

「中国抜きに国際社会の安定は図れない」「協力と競争の両立を図る、重層的な対中戦略が日本など各国に求められている」「対話を通じて衝突を避け、建設的な関係を見いだしていかなければならない」(毎)

「日本を含む関係国は中国との対話を絶やさず、責任ある大国の常道から外れないよう説得する努力が必要だ」(朝)

3選は「中国がこれまで以上に内外の緊張を高め世界を不安定にさせる存在になりかねないと思わせるメッセージ」。特に「米中の対立深刻化は、世界の安定に最大の脅威となりかねない」(東)

「軍事強国化を掲げる習氏のもとで、中国が台湾威嚇や日本の領海への侵入を繰り返しているのは、危険な兆候だ。日本は不測の事態に備え、米国との安全保障協力を一段と強める必要がある」(読)

「最も懸念されるのは、習氏が台湾併吞を狙って戦乱を引き起こすことである。台湾有事はいや応なく日本有事に直結する。日本には、戦後の平和が破られかねない危機の時代に入ったという自覚が必要」(産)

台湾問題で習氏は武力行使を放棄しないと強調。「日本、アジア、そして世界の安全保障に直結する重大な問題だけに、今後の動きを警戒すべき」(経)

対話の必要性を説くのは2本。きのうの今日だ、ま、そんなもんだろう。それよりも、あっても良さそうな「祝」の文字が一つも見当たらないのは少し意外だった。隣国の新指導部発足だ。それなりの敬意を払っていい。

六紙社説(サイト内)

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