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習氏3選にどう向き合う

中国共産党の第20回党大会が開かれ、習近平総書記の3期目続投が確実となった。2期10年という任期の慣例を破って異例の長期体制に突入する。

日本はその中国とどう向き合うべきか、六紙社説の意見を拾ってみよう。この一週間に中国がらみは党大会開幕など計12本あった(朝2、毎1、東1、読2、産3、経3)。

習氏の「独裁色が強まるのは必至」。中国はロシアなどと連携し「米国との対抗軸を築こうとしている。これは民主主義陣営にとって大きな脅威」「日米欧は厳しく監視せねばならない」。台湾への干渉や尖閣での「中国海警局船の挑発など、日本は習氏の強国・強軍路線と直接向き合わざるを得ない立場である。岸田文雄政権は安易な対中融和ではなく、専制主義に対して厳しく対峙してもらいたい」(産10/17)

共産党規約に、習氏への忠誠を示す標語「2つの確立」が盛り込まれる。「中国の一政党の約束事は本来、世界と何の関係もない。だが共産党は14億人が暮らす世界第2位の経済大国を統治する独裁政党だ。米中対立、台湾問題など各面で世界に影響するだけに注視せざるをえない」(経10/17)

中国は「宇宙やサイバー空間での攻撃能力を高めている。(日本にとって)こうした新領域の対処能力の強化も、重要な検討課題だ。日本を取り巻く安全保障環境が今ほど悪化したことはない。防衛費の拡充は急務だ。だが、財政は逼迫している。与党には恒久的な財源を示す責任がある」(読10/19)

「国連人権理事会で、中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害をめぐる討論開催を求めた米国などの提案が小差で否決された」「中国が反対の先頭に立ち、他の理事国に働きかけた結果とされる」。「中国は経済力を盾に人権理での影響力を強めている」。「人権理で日本は欧米諸国と連携し、直ちに変革の先頭に立たねばならない」(産10/19)

中国の軍備に対し「迎撃だけでは守り切れない」と自民党が「敵基地攻撃能力」を提言。それは「本当に安全を確保する抑止力になるのか。かえって地域の緊張を高めないか」、「政府・与党は数々の疑問や懸念にいまだ答えていない」。首相は今国会でもその「検討の中身には一切触れない」。「国民の代表による徹底した議論が不可欠」(朝10/20)

米バイデン大統領が国家安全保障戦略を公表し「中国への対処を最優先に据える方針を明確にした」。日本は「外交・安保戦略の基軸となる日米同盟」の強化に努めるべき。しかし世界の警察官の看板をおろした「米国だけをもはや頼りにはできまい」。クアッドなど「多国間でも安保協力のネットワークを重層的に広げ、深めるのが得策」(経10/20)

在英中国総領事館前で、香港民主化を訴える男性が、敷地内に引きずり込まれて暴行を受けた。「日本などでも中国側が起こし得ることとして警戒を強めるべき」(産10/23)

どうも防衛力の話が多い。抑止を軍備だけで成し遂げるには無理がある。対話の積み上げや国際協調など着実な外交努力が不可欠。と言うか、外交を優先しそこに力点を置くべき。新聞にはその辺りの議論をぜひリードしてもらいたいものだ。党大会は昨日(22日)閉幕したばかりで、次期最高指導部メンバーの発表はこれから。それを待って社説は色々と意見するのだろうけれど。

さて、10/17週の六紙社説では、そのほかの話題に、旧統一教会への調査や、イラン抗議デモ、三菱電機不正、円安150円に、英トラス首相辞意、コロナとフル同時流行、ウクライナ4州に戒厳令、内密出産、衆院10増10減などがあった。

六紙社説(サイト内)。中国経済浮揚へ市場重視に大胆な転換を(経10/19)、日米基軸に重層的な安保網を(経10/20)、敵基地攻撃力 疑問と懸念 徹底論議を(朝10/20)、与党安保協議 抑止効果高める戦略を築け(読10/19)、ウイグルと人権理 欧米と結束し組織改革を(産10/19)、在英公館での暴行 傍若無人な中国に呆れる(産10/23)

SMBC日興証券に行政処分

金融庁は、相場操縦事件を起こしたSMBC日興証券に対し、金融商品取引法に基づく3か月の一部業務停止命令と、内部管理態勢の強化を求める業務改善命令を出した。

「経営陣の怠慢」(読10/12)、「経営姿勢への疑義」(朝10/12)、「経営陣の責任を明確化するだけでは不十分」(毎10/14)、「ガバナンスの機能不全」(産10/15)と、社説は容赦なく非難する。本件については、事件発覚以来、左右問わず同じように書き立てて来た。今年これまでの六紙社説は計13本(朝3、毎3、東0、読2、産3、経2)。

左も右も意見する不祥事がある一方で、例えば、かっぱ寿司の件、これに社説で意見するのは読産経の3紙(10/1-6)。左派系は見当たらない。逆に、NHK虚偽字幕の問題を社説の題材とするのは以前書いたように左派系(朝毎東)のみ。

寿司を売って代金を取る。放送を行い受信料を徴収する。どちらも価値のある何かを提供し見返りを受け取るという点では同じ。いやいや、NHKはちょっと特殊だから、という声はあるだろう。確かに権力の側に近い、と言うか、強者の振る舞いを見せる。そうであれば尚更のこと、SMBC日興証券の場合のように左右両方から意見されてしかるべきと思う。

事業法人の不祥事に関して、意見するしないが新聞(の思想信条)によって、こうもはっきり、分かれるのはどうしてだろうか。保守は、社会の秩序や規範を守る立場なのだろう。左派(リベラル)系は、自由や平等を旗印に権力に目を光らせる。各紙社説における題材の取捨はどこで線引きされるのか、大いに興味がある。

さて、10/10週の六紙社説は、ほかに、臨時国会召集期限法案、国連対ロ非難決議、コロナ水際対策緩和、イプシロン6号機失敗、新聞週間、マイナ保険証などが話題になった。国会が開店休業中で、社説は今一つ盛り上がらない。

六紙社説(サイト内)。かっぱ寿司 社長逮捕に企業統治疑う(産10/2)、かっぱ寿司事件 企業秘密を手土産に転職とは(読10/6)、許されぬ経営幹部の秘密漏洩(経10/1)

首相所信表明、22/10/3

3日、臨時国会が召集され、岸田首相が所信表明演説を行った。六紙社説は一斉にこれを採り上げた。いずれも10/4付け。

「何を目指すのか見えない」(毎)、「国難の危機感伝わらない」(産)、「円安・物価高対策は具体策に乏しい」「後手に回った印象は免れない」(東)、「物価高対策や格差是正に取り組む決意の表明だけでは、物足りない」(読)、「言葉は通り一遍で、国民の心に響きそうもない」(朝)、当面大きな選挙はなく黄金の3年を手にしたはずが「いまやそんな余裕はない」(経)。

NHKのニュース(10/3)で、日本共産党・志位委員長のコメントが流れた。「驚くほど中身のない演説だった」「国葬の問題、あるいは統一教会との癒着への対応の問題、一切、反省がない」。

皆、ない、ない、と口を揃える。極めつけは、4日の政界地獄耳。政界では「このままでは岸田は持たない」説が真しやかに囁かれている。

なお、旧統一教会に関しては、自民党は「問題を解明しようとする姿勢に欠ける」「首相はもっと指導力を発揮すべき」(産)などと各紙とも手厳しい。当然だろう。今国会でも注目の話題だ。ところが、六紙社説(10/4)の中で、日経だけは一言もない。なぜ、同紙は、この件に意見することを避けるのだろうか。

さて、10/3週の六紙社説は、そのほかに、北ミサイル列島通過、安保理緊急会合、国会代表質問、細田山際両氏と教団、村上56号本塁打、かっぱ寿司事件、内密出産指針、カンボジアの裁判、ノーベル賞、OPECプラス減産などを題材にした。

六紙社説(サイト内)。きょうのニュース▽野村正育、横山亜紀子、福田寛之(NHKラジオ第一、10/3 19時)、「麻生傀儡の新政権」の思惑が広がる(政界地獄耳、10/4)、ポスト岸田候補、誰がなってももめるのは必至(同、10/8)

NHK虚偽字幕

週明けの月曜日、読売の社説はNHKのことを採り上げた。「NHKの業務 ネット事業の拡大を危惧する」(9/26)。こんなタイトルだけど、もしかすると、例の虚偽字幕の件に触れているかと思いきや、やはりコメントはない。日経の「公平で公正なNHK改革を」(9/29)にもなかった。

昨年12月、NHKのドキュメンタリー番組が、お金をもらって五輪反対デモに動員された、と嘘の字幕を付けて、匿名男性を紹介。これに対し、放送倫理・番組向上機構(BPO)の委員会が「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表し、五輪反対デモを「おとしめるような内容」「半ば捏造的」「故意に近い」「無意識の偏見」さらに「単なる過失ではない重過失」と評した。

このNHK虚偽字幕の問題を社説で採り上げるのは、在京六紙の中では専ら左派系3紙だ。今年これまでに計8本あった(朝3、毎2、東3)。

3紙の意見を拾ってみよう。NHKは「正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫る」自社ガイドラインを「自ら踏みにじった」(毎9/13)、「民主主義を支える表現行為への無理解を露呈」(朝9/15)、「五輪推進派と一体となっていたあまり、五輪反対の市民の声に真摯に向き合っていなかったのではなかろうか」(東9/15)

冒頭書いたように、読経2紙はNHKの「改革」に意見はするものの、この虚偽報道の姿勢を改めよと唱えるわけではない。もう一紙の産経は「NHK再び過労死 長時間労働を放置するな」(9/6)の中では、「NHKや本紙を含む全てのメディアは」「重く受け止める必要がある」と書く。が、虚偽報道について社説で意見はしない。こっちは「全てのメディア」が反省しなくて良いのか。これら3紙は、BPOが「重過失」と評する本件について、社説で採り上げるまでもない、取るに足らない事案と考えているのだろうか。

さて、9/26週の六紙社説は、日中国交正常化50年、イタリアに極右新政権、拡大する五輪汚職、露の日本領事拘束、北ミサイル発射、ロシアによる領土強奪、細田衆院議長と教団との接点、かっぱ寿司社長逮捕、そして、安倍氏の「国葬」などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。NHKの重大倫理違反 公共放送の資質問われる(毎9/13)、NHK虚偽字幕 信頼回復 遠い道のり(朝9/15)、NHK字幕問題 「半ば捏造」指摘は重い(東9/15)、NHK虚偽字幕 問われる政権寄りの報道姿勢(しんぶん赤旗9/24)

金融緩和と為替市場介入

米国が大幅利上げをする一方で日本は大規模な金融緩和策を継続。日米の金利差拡大が意識され、運用に有利なドルを買う動きがさらに強まっていた。政府・日銀は、急激な円安に歯止めをかけるため、24年ぶりに、円買いドル売りの為替介入を行った。

金融緩和策の維持、そして為替市場への介入。それに対して在京六紙の社説はどんな意見を述べているだろうか。

「日銀の2%目標を超える物価上昇が続く現状に加え、見通しの不確実性を考慮すれば、指針が追加緩和方向に傾いているのは整合的とは言いがたい。見直しを検討すべき局面ではないか」。為替市場への介入は「投機筋への牽制にはなるだろうが、日米の金利差拡大のなかでは効果は限られる」(朝9/24)

大規模な金融緩和は「超低金利政策で景気を下支えするためだ」が「日銀の硬直的な政策が適切か、検証すべき」。介入は「急激な円安の進行を阻止する強い意志を示した形だが、歯止めをかけられるかは見通せない」(毎9/24)

「九年以上金融緩和を続けても、消費や投資の回復が賃上げをもたらす景気の好循環は起きなかった。日銀は金融緩和を軸に据えたアベノミクスに固執するあまり誤った政策判断を続けているのではないか」。「家計はもはや限界」、為替「介入は当然だ」(東9/23)

「国債の大量買い入れで長期金利を抑える策にはほころびも目立つ。先々の政策のあり方を幅広にさぐる時期に来ている」。介入は「一つの手段だが、円安圧力はなお消えない。細心のかじ取りを求めたい」(経9/23)

「新型コロナウイルス禍からの回復が遅れて超低金利政策を維持せざるを得ない」。「投機的な動きを一時的に牽制できても円安基調を根本から反転させるには力不足だ。資金に限りがある中で際限なく介入を続けることもできない。相場を人為的に動かす介入に欧米は否定的」(産9/24)

「景気回復が遅れているとして、金融緩和を続けている」。為替介入は投機的な「動きを牽制することが期待できよう。ただ、その効果がどこまで続くかは不透明」(読9/23)

為替介入の効果は限定的と見られている(5紙、朝毎経読産)。残る一紙(東)も同意見だろう、効果の有無については記していないけれど。金融緩和の継続に対しては、4紙が疑問視している(朝毎東経)。

さて、9/19週の六紙社説は、そのほかに、国連総会、公明代表8選、台風14号列島縦断、入管収容死に賠償命令、旭川中2自殺再調査へ、基準地価回復、日韓首脳が会談、国連安保理改革、西九州新幹線などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。日銀政策会合 先行き指針の見直しを(朝9/24)、24年ぶりドル売り介入 円安のリスクなお注視を(毎9/24)、物価と金融政策 家計はもはや限界だ(東9/23)、為替市場介入 過度な円安阻止への一歩だ(読9/23)、円買い介入 投機への警戒を緩めるな(産9/24)、急速な米利上げで高まる景気後退の懸念(経9/23)

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