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カテゴリー「時の話題」の検索結果は以下のとおりです。

対話型AIの功罪

対話型AIに関する社説がにわかに増えて来ている。4月の前半だけで、在京六紙で4本を数えた。今年は、それまでに2月の1本だけだった。それはこう問い掛ける、「社会は生成AIの進化にどう向き合うか」(経2/5)と。

対話型AIは、生成AIとも呼ばれる(AIは、Artificial Intelligenceの略、人工知能と邦訳される)。「人の指示に応じて文章や画像、プログラムコードなどを自動で生み出す技術で、社会全般に大きな影響が及ぶだろう」(経2/5)。生産性向上に寄与する可能性がある。

この新技術に対し、推進派にしても慎重派にしても、今はまだ過剰な反応が目立つ。例えば慎重派の声はこう、「安易に頼れば人の思考力を衰えさせかねない」(読4/2)、AIの基になる「膨大なデータは、誰がどのように入力したのか、不明なものが多い。信憑性が十分ではない」(読4/14)。とにかく規制を急げと、強硬に訴える。

代表的な対話型AIである「チャットGPT」は、自らの欠点を尋ねられ、「情報の正確性に限界がある、創造性に限界がある、誤解や偏見を持つことがある、意思決定を行うことができないなどと答えた」(東4/8)。しっかりと弁えている。曖昧な点はどこなのか、誤解や推測はどの程度入っているのか、など、情報の信憑性に関しても、併せて、語らせたらよろしかろう。

「刃物でも自動車でも、人間の技術にはメリットとリスクがある。新技術が登場するたびに人間社会は法規制や社会規範を作って活用してきた。AIについても功罪両面をふまえ、社会はどう向き合うべきか考える必要がある」(経4/10)。冷静な議論が求められる。

さて、4/10週の六紙社説は、そのほかに、統一地方選前半戦、台湾周辺で中国軍演習、植田新日銀総裁、国交省の天下り介入、北朝鮮のミサイル発射、大阪のIR計画認定、米機密文書流出、金融不安とG20、岸田首相襲撃などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。Ubuntu日和【第25回】Stable DiffusionをUbuntuとGTX 1650で動作させる方法(4/15)、直子の代筆|Wikipedia、「AI(人工知能)」ニュース一覧

台湾総統訪米をどう見る

5日午前(日本時間6日未明)、台湾の蔡英文総統が訪米し、米共和党のマッカーシー下院議長と会談した。7日朝、在京六紙の社説は、一斉に、これを採り上げた。

「民主主義の連帯を確認した意義は大きい。中国の威圧に屈することなく、両氏が会談を実現させたことを評価したい」(産4/7)。「中国が台湾への威嚇を強める情勢下で、米台の枢要な立場にある人物が連携を確認する意義は大きい」(経4/7)。「民主的に選ばれた政治家同士の交流が非難されるいわれはない」(朝4/7)

中国からの経済支援や投資を期待し、台湾との外交関係を断つ国が増えている。「台湾が経済力で中国の外交攻勢に対抗するのは困難だ。自由や民主主義などの価値観を共有する国々と連帯し、存在感をアピールするしかないだろう」(読4/7)。「与党・民進党は、蔡氏の訪米を通じて米国との強固な関係をアピールする必要に迫られていた」(毎4/7)

6つもあるのに、全部が全部、今回の訪問を手放しで評価するのは、あまりにも偏っていると思いきや、一紙はこう書いて、辛うじて、完全な偏重を免れたか。米国でのマ下院議長との会談が「中国の神経を逆なですることは目に見えており、強行すべきだったかは疑念が残る」(東4/7)と。その東京のタイトルには「米中対話で緊張回避を」とある。

さて、4/3週の六紙社説は、そのほかに、日中外相会談、英TPP加盟、対話型AI、立民小西氏サル発言、後半国会、坂本龍一逝く、北欧加盟でNATO拡大、こども家庭庁発足、富士山噴火避難計画、同志国へ軍備供与(OSA)、NTT通信障害、陸自ヘリ事故、日銀新体制などを話題にした。

六紙社説、米下院議長、台湾訪問台湾と香港、22年4月(いずれもサイト内)。中国、台湾対岸で実弾演習 蔡総統訪米への対抗措置か(時事、4/8)、軍事演習は台湾「包囲」のリハーサル 中国国営テレビ(AFP、4/8)、【詳しく】中国 台湾周辺で軍事演習と発表 蔡総統「平和追求」(NHK、4/8)

和坂(かにがさか)

和坂と書いて「かにがさか」と読ませる、兵庫県明石市に古くからある地名。難しい読みだけれど市民にはよく知られていた。そこに市の火葬場があったからだ(今もある)。

高校の2年の時だったと思う。その地の事情に詳しいクラスメイトが言った。「わさか」への読み替えが進んでいる、「かにがさか」は、ほぼ、なくなった、と。

その時に、「ほぼ」と言う理由も聞いたはずだがすっかり忘れていた。この度そのことが少し気になってweb検索してみた。居住者がいない国鉄用地(当時)は区画整理・町名変更の後も古い読みのままになった。そうそう、そういうことだった。

その地はかつて西明石駅の広大な貨物操車場(の一部)だった。いつの間にやら線路は整理され、その空き地に、大震災の後、復興住宅が建てられた。それから二十数年、人が住むようになって久しいけれど、今でも「かにがさか」の地名は残っているようだ。

和坂(かにがさか)|野々池周辺散策、「和坂」と書いて「かにがさか」 難読すぎた地名の由来とは(神戸新聞、2020/1/6)

米欧金融不安の先行き

全体の様子が見えて来ると、リーマンショックとか、S&L危機とか、名前が付けられる。今回はおそらくコロナ後の金融緩和の巻き戻しのようなことだろうが、まだ適切なネーミングが決まらないところからすると、全体としては半分行っていないのじゃないか。峠は越したと言いたいところだが、まだ安心できない。

エコノミストの吉崎達彦氏がそんな話をしていた(3/27)。同じ27日の朝、朝日新聞が社説を掲載し在京六紙が出揃った。米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発する米欧金融不安に関する六紙社説は、計10本に達した(朝1、毎1、東1、読2、産1、経4)。

今回の金融不安は沈静化するだろうか。日本へ波及するようなことはないだろうか。社説から先行きの見通しを拾ってみよう。日付はすべて3月。

10日にSVBが破綻。「市場の動揺を沈静化できなければ、金融システムや世界経済は甚大な被害を受けかねない。日本にとっても最大限の警戒が必要な局面である」(産3/21)

「日本の地銀は個人預金が多くSVBとは事情が異なる面はあるものの、経営体力に比べ多額の米国債などを保有する例が指摘される」(経3/14)。「日本の金融機関への影響は現時点では限定的だが、地方銀行では国内の超低金利による運用難の中、米国債などに投資しているケースが多い。地銀各行の含み損は膨らんでいるという」(読3/18)

12日には米シグネチャー銀行も破綻。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が破綻した米銀二行の株式や債券を昨年三月末時点で計五百五十億円程度保有している。GPIFは含み損の実態把握を急ぎ資金運用の安全性を高める措置を講じるべきだ」(東3/21)

「政府・日銀も17日、SVB破綻などの日本の金融への影響を巡り協議した」(経3/19)

19日、スイスUBSがクレディ・スイスの買収を決めた。金融不安が欧州に伝わり、かねて経営不振のクレディはいよいよ怪しくなった。この「買収はスピード優先だったため、問題含みであることは否定できない」、「今後、損失が発覚する懸念もある」(経3/21)

米銀2行の破綻に関しては「預金の全額保護」、UBSによるクレディの「救済買収」、日米欧の6中央銀行が協調して「市場へのドル供給」、これら「一連の対応で市場はひとまず落ち着いたが、金融不安はくすぶる」(経3/24)

米欧の中央銀行はインフレ抑制のため利上げを続行、「金融不安の火消しとは逆行する面もあり、慎重なかじ取りが求められる」(朝3/27)。「急ピッチの利上げに伴い、債券価格は下落している」、「破綻の連鎖を招かないか、警戒が必要」(毎3/26)。「金融不安が続くと、銀行の貸し渋りが起きる可能性がある」、「資金調達が厳しくなるなどし、経済全体に大きな打撃を与えることになる」(読3/26)

4月になって、どうなることやら。まだ予断は許されない。

さて、3/27週の六紙社説は、そのほかに、IPCC温暖化報告書や、東芝買収案、露の核配備ベラルーシへ、文化庁京都移転、政府の追加物価対策、中国の邦人拘束、量子計算機、教科書検定、少子化対策、トランプ前大統領起訴、英TPP加盟などを題材に採り上げた。

六紙社説(サイト内)。マイ!Biz「金融不安 連鎖の先行き」吉崎達彦(双日総合研究所チーフエコノミスト)▽マイあさ!(NHKラジオ第1、3/27 6時台)、米国の中小銀行、預金流出一服 MMFは3週連続流入(4/1)、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説(4/1)

首相ウクライナ電撃訪問

岸田文雄首相がキーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。「少数の政府関係者だけで極秘裏に計画が練られ」(朝3/22)、「事前公表はせず」(産3/22)、「チャーター機や鉄道を乗り継ぎポーランド経由で」(東3/23)、「電撃訪問となった」(読3/22)。「第二次大戦後、日本の首相が戦闘継続中の地域を訪れるのは初めてだ」(毎3/23)。日本の訪問が「G7で最後になった」(経3/23)。

訪ねるのが遅過ぎるのでは、もしくは、そうまでして訪ねる必要があるのか、と難じる社説が在京六紙の中に一つくらいはあるだろうと思ったけれどその予想は外れた。「ウクライナ国民との連帯の意志と、法の支配に基づいて国際秩序を守り抜く決意を国際社会に示したのではないか」(東3/23)、「意義は大きい」(読3/22、毎3/23)、「今回の訪問を評価する」(経3/23)、「率直に評価したい」(朝3/22)、「高く評価したい」(産3/22)。

ウクライナへ行くんだったらロシアを訪ねてプーチン大統領にも会うべきだ、という主張も見当たらない。昨年、ゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説した際、プーチン氏にも演説してもらうべきとは一紙たりとも言わなかったので、訪ロを求める声は出ないだろうとは思っていた。が、

首相による今回の訪ウを評価し、ロシアとの直接対話は求めない。大手紙すべてが基本的に同じ方向を見ている。偏っている。論説はもっと多様であっていいはず。安全保障に関して各紙の論調が揃っている、遠い国の話とは言え、これは、よろしくない傾向だ。

なお、本件の社説に「首相キーウ訪問 悲劇を直視した意味は重い」(読3/23)というタイトルがある。「ロシアの侵略がもたらした悲劇を肌で感じた意味は大きいはず」と、現地を訪ねた首相に阿ったのだろうが、却って、想像力の欠如を強調することになった。現場に行かずとも、真のリーダーならば、人の痛みを自らのものとし得る。わが国の首相はそういう人物ではない、と。

さて、3/20週の六紙社説は、そのほかに、南西諸島防衛、イラク戦争20年、袴田さんの再審確定、露大統領に逮捕状、日印首脳会談、欧米金融不安、統一地方選告示、追加物価対策に予備費乱用、動く公示地価、藤井六冠誕生、WBCで日本優勝、中ロ首脳会談、IPCC温暖化報告書、元技能実習生無罪などを話題にした。

日独政府間協議(3/18)については無視なのか、と思いきや、一週間経ってようやく1本登場した(産3/25)。

六紙社説、ウクライナ大統領演説戦争と新聞(いずれもサイト内)。「これは命に関わる話だ」岸田首相 キーウ電撃訪問は(3/21)、ロベルト・バルボンさん死去 プロ野球元阪急内野手、盗塁王―89歳(3/17)

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