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カテゴリー「時の話題」の検索結果は以下のとおりです。

和坂(かにがさか)

和坂と書いて「かにがさか」と読ませる、兵庫県明石市に古くからある地名。難しい読みだけれど市民にはよく知られていた。そこに市の火葬場があったからだ(今もある)。

高校の2年の時だったと思う。その地の事情に詳しいクラスメイトが言った。「わさか」への読み替えが進んでいる、「かにがさか」は、ほぼ、なくなった、と。

その時に、「ほぼ」と言う理由も聞いたはずだがすっかり忘れていた。この度そのことが少し気になってweb検索してみた。居住者がいない国鉄用地(当時)は区画整理・町名変更の後も古い読みのままになった。そうそう、そういうことだった。

その地はかつて西明石駅の広大な貨物操車場(の一部)だった。いつの間にやら線路は整理され、その空き地に、大震災の後、復興住宅が建てられた。それから二十数年、人が住むようになって久しいけれど、今でも「かにがさか」の地名は残っているようだ。

和坂(かにがさか)|野々池周辺散策、「和坂」と書いて「かにがさか」 難読すぎた地名の由来とは(神戸新聞、2020/1/6)

米欧金融不安の先行き

全体の様子が見えて来ると、リーマンショックとか、S&L危機とか、名前が付けられる。今回はおそらくコロナ後の金融緩和の巻き戻しのようなことだろうが、まだ適切なネーミングが決まらないところからすると、全体としては半分行っていないのじゃないか。峠は越したと言いたいところだが、まだ安心できない。

エコノミストの吉崎達彦氏がそんな話をしていた(3/27)。同じ27日の朝、朝日新聞が社説を掲載し在京六紙が出揃った。米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発する米欧金融不安に関する六紙社説は、計10本に達した(朝1、毎1、東1、読2、産1、経4)。

今回の金融不安は沈静化するだろうか。日本へ波及するようなことはないだろうか。社説から先行きの見通しを拾ってみよう。日付はすべて3月。

10日にSVBが破綻。「市場の動揺を沈静化できなければ、金融システムや世界経済は甚大な被害を受けかねない。日本にとっても最大限の警戒が必要な局面である」(産3/21)

「日本の地銀は個人預金が多くSVBとは事情が異なる面はあるものの、経営体力に比べ多額の米国債などを保有する例が指摘される」(経3/14)。「日本の金融機関への影響は現時点では限定的だが、地方銀行では国内の超低金利による運用難の中、米国債などに投資しているケースが多い。地銀各行の含み損は膨らんでいるという」(読3/18)

12日には米シグネチャー銀行も破綻。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が破綻した米銀二行の株式や債券を昨年三月末時点で計五百五十億円程度保有している。GPIFは含み損の実態把握を急ぎ資金運用の安全性を高める措置を講じるべきだ」(東3/21)

「政府・日銀も17日、SVB破綻などの日本の金融への影響を巡り協議した」(経3/19)

19日、スイスUBSがクレディ・スイスの買収を決めた。金融不安が欧州に伝わり、かねて経営不振のクレディはいよいよ怪しくなった。この「買収はスピード優先だったため、問題含みであることは否定できない」、「今後、損失が発覚する懸念もある」(経3/21)

米銀2行の破綻に関しては「預金の全額保護」、UBSによるクレディの「救済買収」、日米欧の6中央銀行が協調して「市場へのドル供給」、これら「一連の対応で市場はひとまず落ち着いたが、金融不安はくすぶる」(経3/24)

米欧の中央銀行はインフレ抑制のため利上げを続行、「金融不安の火消しとは逆行する面もあり、慎重なかじ取りが求められる」(朝3/27)。「急ピッチの利上げに伴い、債券価格は下落している」、「破綻の連鎖を招かないか、警戒が必要」(毎3/26)。「金融不安が続くと、銀行の貸し渋りが起きる可能性がある」、「資金調達が厳しくなるなどし、経済全体に大きな打撃を与えることになる」(読3/26)

4月になって、どうなることやら。まだ予断は許されない。

さて、3/27週の六紙社説は、そのほかに、IPCC温暖化報告書や、東芝買収案、露の核配備ベラルーシへ、文化庁京都移転、政府の追加物価対策、中国の邦人拘束、量子計算機、教科書検定、少子化対策、トランプ前大統領起訴、英TPP加盟などを題材に採り上げた。

六紙社説(サイト内)。マイ!Biz「金融不安 連鎖の先行き」吉崎達彦(双日総合研究所チーフエコノミスト)▽マイあさ!(NHKラジオ第1、3/27 6時台)、米国の中小銀行、預金流出一服 MMFは3週連続流入(4/1)、中国がアステラス製薬社員を拘束した「本当の狙い」、元公安捜査官が解説(4/1)

首相ウクライナ電撃訪問

岸田文雄首相がキーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。「少数の政府関係者だけで極秘裏に計画が練られ」(朝3/22)、「事前公表はせず」(産3/22)、「チャーター機や鉄道を乗り継ぎポーランド経由で」(東3/23)、「電撃訪問となった」(読3/22)。「第二次大戦後、日本の首相が戦闘継続中の地域を訪れるのは初めてだ」(毎3/23)。日本の訪問が「G7で最後になった」(経3/23)。

訪ねるのが遅過ぎるのでは、もしくは、そうまでして訪ねる必要があるのか、と難じる社説が在京六紙の中に一つくらいはあるだろうと思ったけれどその予想は外れた。「ウクライナ国民との連帯の意志と、法の支配に基づいて国際秩序を守り抜く決意を国際社会に示したのではないか」(東3/23)、「意義は大きい」(読3/22、毎3/23)、「今回の訪問を評価する」(経3/23)、「率直に評価したい」(朝3/22)、「高く評価したい」(産3/22)。

ウクライナへ行くんだったらロシアを訪ねてプーチン大統領にも会うべきだ、という主張も見当たらない。昨年、ゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説した際、プーチン氏にも演説してもらうべきとは一紙たりとも言わなかったので、訪ロを求める声は出ないだろうとは思っていた。が、

首相による今回の訪ウを評価し、ロシアとの直接対話は求めない。大手紙すべてが基本的に同じ方向を見ている。偏っている。論説はもっと多様であっていいはず。安全保障に関して各紙の論調が揃っている、遠い国の話とは言え、これは、よろしくない傾向だ。

なお、本件の社説に「首相キーウ訪問 悲劇を直視した意味は重い」(読3/23)というタイトルがある。「ロシアの侵略がもたらした悲劇を肌で感じた意味は大きいはず」と、現地を訪ねた首相に阿ったのだろうが、却って、想像力の欠如を強調することになった。現場に行かずとも、真のリーダーならば、人の痛みを自らのものとし得る。わが国の首相はそういう人物ではない、と。

さて、3/20週の六紙社説は、そのほかに、南西諸島防衛、イラク戦争20年、袴田さんの再審確定、露大統領に逮捕状、日印首脳会談、欧米金融不安、統一地方選告示、追加物価対策に予備費乱用、動く公示地価、藤井六冠誕生、WBCで日本優勝、中ロ首脳会談、IPCC温暖化報告書、元技能実習生無罪などを話題にした。

日独政府間協議(3/18)については無視なのか、と思いきや、一週間経ってようやく1本登場した(産3/25)。

六紙社説、ウクライナ大統領演説戦争と新聞(いずれもサイト内)。「これは命に関わる話だ」岸田首相 キーウ電撃訪問は(3/21)、ロベルト・バルボンさん死去 プロ野球元阪急内野手、盗塁王―89歳(3/17)

イランとサウジの和解

イランとサウジアラビアは、断交から7年ぶりに和解することで合意。外交関係を正常化し2か月以内に双方の大使館を再開すると発表した。

日経は逸早く社説で採り上げた(経3/11)。「大産油地帯である中東の重要性は言うまでもない。この地域から原油の9割超を輸入する日本にとってはなおさら」と、もちろん経済的な視点だ。

原油のことだけではない。和解を仲介したのが中国であることにも目を向ける。「中国を介したサウジとイランの接近が、ウクライナ危機をきっかけに鮮明になった世界の分断を広げること」にならないか。イラン、サウジ、中国、それにロシアと「非西側陣営が結束を強めれば亀裂は深まる。イラン核問題の解決も遠のきかねない」と。

在京の他5紙社説は沈黙するのかと思いきや、16日以降何本か続いた。やはり「米国抜きの雪解けには懸念もぬぐえない」(朝3/16)と指摘。一つはイスラエルの出方。サウジとイランの接近で「イスラエルが再び孤立感を深めれば、さらに強硬な姿勢をとってイランと衝突しかねない」(同)。もう一つは人権問題。サウジは、人権問題をうるさく言うバイデン政権と距離を置く。「内政不干渉を重んじる中国の実利外交が歓迎された」(毎3/19)。中東での民主化の動きが後退しかねない。

原油の9割を中東に依存する「日本も戦略を練り直す必要がある」「産油国との関係をさらに強固にし、エネルギー調達が不安定化しないようにするべき」(読3/19)。後手に回る。状況に振り回される。よくあるパターンだ。

日本は、サウジ、イラン各々との関係は悪くない。友好的とも言えるだろう。だったら和解を仲介すれば良いものを、なぜそうしなかったのか。中東情勢に対する認識が足りずボンヤリしていたのか、意志がないのか、外交の力がないのか。いや、認識や意志も能力もあるけれど中国に先を越されただけなのか、それとも、米国の手前、勝手なことはできなかったのか。それを教えてくれる社説はない。

さて、3/13週の六紙社説は、そのほかに、袴田さん再審へ、習政権3期目始動、大江健三郎死去、米銀行破綻と金融不安、ガーシー氏除名、豪に原潜配備へ、放送法問題、黒海上で米露軍機接触、春闘高水準回答、国枝選手に栄誉賞、少子化対策の首相会見、日韓首脳会談などを話題にした。

六紙社説、社説の安保問題、21年なぜイタリアとイラン(いずれもサイト内)。イランとサウジアラビア 外交関係正常化で合意 中国が仲介(3/11)

WBCと放送法解釈

World Baseball Classic(WBC)を採り上げた社説を何本か目にした。数えてみると今年今日までに、在京六紙で4本もある(読2、産1、東1)。新聞と野球興行の親和性は高いとは言うものの、ちょっと騒ぎ過ぎなのでは。何か事情でもあるのだろうか、とWBCの公式サイトを覗いてみた。主催の欄に、WBC Inc. / 読売新聞社、とある。なんと、その新聞社も主催者側なのか。そりゃ社説も宣伝に使うわな。

話はがらっと替わって、放送法解釈のごたごた。高市早苗経済安保相は、かつて総務相だった時代に衆院予算委で電波停止命令をちらつかせる驚きの発言をした。実質的な脅しだ、もし政権に都合の悪い番組を流せば電波をストップさせる、と。以来、政府や政策に対する批判は鳴りを潜め、テレビは、いよいよ骨抜きになってしまった。

今回の参院予算委で取り沙汰されている総務省の内部文章には、その脅しに至る舞台裏が記されている。なぜ、今、この文書がリークされたのだろうか。おそらく、安倍、菅、両首相時代に抑え込まれていた総務省の意趣返しなのだろう。メディアが当局からの言論弾圧を受けて民主国家にあるまじき様相を呈している、この事態に危機感を抱く官僚は少なくないはずだ。

圧力や脅しに屈して来たテレビを中心とするメディアも、この際、声を上げたらよろしかろう。政権の御用メディアには成り下がらない、自由な報道を取り戻す、そして、国民に資する番組や紙面をつくる、と改めて表明してはどうか。

在京六紙のほとんどはテレビと系列関係にある。その社説が今回のごたごた騒ぎやメディア側の報道姿勢についてどう述べるか、しばらく注目しておこう。既に左派系中心に何本か掲載されている。が、ジャーナリズムの根幹に関わる重大事だ、もっと本数があって良いと思う。静か過ぎる。

さて、3/6週の六紙社説は、そのほかに、中国全人代開幕、国際女性デー、徴用工問題に解決策、H3ロケット失敗、ガーシー氏現れず、入管法改正案、黒田日銀総裁退任、大震災と原発事故から12年、などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。大会概要|2023 WBC、高市早苗総務大臣の「放送法違反による電波停止命令を是認する発言」に抗議し、その撤回を求めると共に、政府に対し報道・表現の自由への干渉・介入を行わないよう求める会長声明(2016/2/16)|東京弁護士会、総務省内部文書の要旨(3/8)

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