家へ帰ろう
- 2023/04/13 06:12
- カテゴリー:興行・放送
聞いた話じゃない。この目で見たんだ。
実際に見たことだからこそ、その後の人生に大きく影響した。映画「家へ帰ろう」(スペイン・アルゼンチン、2016年)から。[Filmarks 3.8]
映画の冒頭、皆が楽し気に踊っている。少し古い時代の様子。音楽や風貌からどうやらユダヤ人の集まりのようだ。このシーンが現代とどう繋がっているのか、話が進むにつれ徐々に明らかになって来る。
あ、この主人公のじいさんがユダヤ人か、ふむふむ、ポーランドへ行く、アルゼンチンからマドリードの便で、そこからは鉄道で、なるほど。生まれ故郷に行く、ある男に洋服を渡すために。え、1945年以来70年ぶり。そしてこのセリフ、「ヨーロッパのユダヤ人に、あの時、何があったか知ってるか」。これを聞いて大体の様子が見えた。
少しコメディっぽいところがあって、あまり深刻になり過ぎないよう和らげる効果を果たしている。が、それも、ドイツで乗り換える辺りまで。列車がポーランドへと進む内に、不穏な空気が占め始める。そして、このじいさんが、なぜ遠路遥々この地を訪ねて来たのか明かされつつ、感動の再会へと収斂して行く。
「オール・イズ・ロスト」、そしてこの「家へ帰ろう」と良い映画が続いた。