エントリー

カテゴリー「興行・放送」の検索結果は以下のとおりです。

悪人

今まで生きとるかも死んどるかも、よお分からんかった。

祐一(妻夫木聡)が吐き出すように言う。李相日監督の映画「悪人」(2010年)から。吉田修一著原作。いい役者が揃った、特に光代に扮する深津絵里がたいへん良い。

色んな人が「悪」を口にする。舞台となった九州の言葉で。「おまえは悪なか」「あんたが悪かわけじゃなか」「わたしのせいね」「悪かことしたと思とるさ」「太か(悪か)人間に育ててくれたよ」「あまえが悪いって言うたがありゃ間違えとった」「あの人、悪か人じゃなかと」「うちが悪かと」「あの人は悪人なんですよね」。

各々の自覚もあれば、他人からの評もある。誰一人として清廉潔白な者はいない。一人一人の小さな悪意が積み重なって、知らず知らずの内に大きな「悪」に育って行く。それがいつかどこかで姿を現す。

日の出を見る最後のシーンでも流れる音楽はオリジナルだろうか。何かに似ているような気がする。そうそう、ブラ4(ブラームス作曲交響曲第4番)だ。第1楽章の第1主題。この映画の音楽担当者を確認した。ああ、その人か。他人の作品に取材したとしても不思議じゃない。ここにも小さな悪意が潜んでいるかもしれない。

ABEMA(サイト内)。悪人 (小説)|Wikipedia、オマージュ・パロディー・パクリ、五島市福江島の大瀬崎灯台、クライバー(WPh、1980年)、ラトル(BPh、2008年)

ABEMAで映画を観る

年が明けて、次はどの映画を観ようかと考えている。年末に、ABEMAで、あれこれ立て続けに観て病み付きになりそうだ。

ABEMAのサイトを訪ねるようになってどのくらい経つだろうか。当初の目当ては将棋チャンネルだった。夜、本を読んでいる時などに棋戦中継を点けておく。その頃、対局は終盤に差し掛かっている。持ち時間が無くなって一分将棋になると読書そっち退けで画面に見入ることもある。

昨年は、11月開幕のサッカーW杯が、ABEMAで全64試合無料生中継されると予告されていたので、それも楽しみにしていた。結局は、フルに見たゲームはなくはないけれど、ほとんどは数分の試合ハイライトで済ませた。映画のチャンネルを観るようになったことも関係している。

W杯が始まる少し前だった。本日無料に面白そうな映画作品が並んでいるのに気付き、将棋やサッカーよりもそっちを開くことが多くなった。以来、鑑賞したのは20本ほど。今年はどんな作品に出遭うことになるだろうか。

「プリテンダーズ」(2018年)
「ディア・スナイパー」(2020年)
「同じ月を見ている」(2005年)
「八日目の蝉」(2011年)*
「ジャンヌ・ダルク」(1999年)
「カラスの親指」(2012年)
「今度は愛妻家」(2010年)
「Shall we ダンス?」(1996年)*
「はじまりのうた Begin Again」(2013年)
「トレイン・ミッション」(2018年)
「新聞記者」(2019年)
「沈黙 -サイレンス-」(2016年)
「悪人」(2010年)
「イミテーション・ゲーム」(2014年)
「アフガン」(2005年)
「世界にひとつのプレイブック」(2012年)
「ボーン・アイデンティティー」(2002年)*
「ボーン・スプレマシー」(2004年)
「ボーン・アルティメイタム」(2007年)
「天使のくれた時間」(2000年)

ABEMA(サイト内)。本日無料|ABEMA

新聞記者

きついねぇ、過去の自分に叱られるというのは。

上役がそう洩らす、元部下と昔話をする中で。映画「新聞記者」(2019年)から。

首相がお友達の会社を優遇する、内閣情報調査室は政権に都合がいいように情報操作に明け暮れる。かなり、リアル。お上の横暴をあばき巨悪に迫る、こういう映画はもっとあって良いように思う、フィクションにせよノンフィクションにせよ。

役者陣は、主演の二人吉岡と杉原(シム・ウンギョン、松坂桃李)は悪くないし、脇役の神崎夫妻(高橋和也、西田尚美)や、杉原の妻(本田翼)、新聞社の上司(北村有起哉)など皆さん好演。多田(田中哲司)は冷徹な感じが上手く出ている。

ABEMA悪だくみ官邸ポリス(日本人)(いずれもサイト内)

沈黙 -サイレンス-

形だけだよ。ただの形式だ。

踏み絵を前に躊躇うロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)へ、通辞の役人(浅野忠信)が囁きかける。マーティン・スコセッシ監督、遠藤周作原作、映画「沈黙 -サイレンス-」(米、2016年)から。

通辞のこの言葉が強く印象に残った。真の信仰心は、外から見えるものではなく、心の中にある、と理解を示している。最初はそんな風にとった。が、そうだろうか。おまえの信仰心は本物じゃない、踏み絵なんて簡単なことだろうと、あざけっているようにも思える。それとも、神父に棄教させるこのやっかいな仕事をさっさと終えてしまいたいだけなのか。機会があれば原作を読んでみよう。

リーアム・ニーソンが出演しているのには驚いた。先日観た「トレイン・ミッション」とはまったく違う役柄なので尚更。あちらは現代ニューヨークの(元)刑事、こちらは17世紀に来日したポルトガル人宣教師。

ABEMA(サイト内)。"It's only a formality. Just formality."、「真理を毒のように扱う」、「山河は改む」、沈黙 -サイレンス-|Wikipedia

報いの時

だめよ、嘘つきは、自分のついた嘘は覚えてないと。

謀殺したあの人この人と、義時(小栗旬)が13人(!)を挙げて行く。そこに源頼家の名があることに政子(小池栄子)は気付く。病死したと聞かされていたのは嘘だった。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」最終回(#48)「報いの時」(NHK総合、12/18 20時)から。

朝廷に君臨した後鳥羽上皇(尾上松也)は配流され、幕府の実権は泰時(坂口健太郎)らに継がれる。世は移って行く。いつかのようにドボルザークの「新世界より」が鳴り響くかと思いきや、さすがに最終回にそれはなかった。義時最期のシーンでは紀行コーナーの旋律が聞こえていた。

今回、冒頭で「吾妻鏡」を読んでいたのは家康(松本潤)。来年の作品への橋渡し。そう言えば同じく三谷幸喜脚本の「真田丸」(2016年)では、井伊の軍勢を望み、エールを贈る場面があった。その翌年は、井伊直虎を主人公とした物語だった。

鎌倉殿の13人(サイト内)。2023年大河ドラマ「どうする家康」撮影順調!(7/1)

追記(12/24 6:25):いつもすっ飛ばしていたタイトルバックを一度は観ておこうと、再び最終回を開いたNHKプラスで。テーマ音楽を初めて聴くことになった。紀行コーナーと同じ旋律が出て来る。逆だ。紀行に同じものを使って統一が図られていた。男声合唱がいい効果を出している。合唱団の名が出ていたからシンセサイザーではなく肉声だろう。印象に残らないぼんやりとしたテーマ音楽が多い中、今回のこれは佳曲かもしれない。

ユーティリティ

« 2024年04月 »

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

Re: 二重小協奏曲ヘ長調
2024/04/29 06:00
社会不安高めるSNS悪用
2024/04/28 05:57
走り梅雨、2024年
2024/04/27 06:05
協奏交響曲K364、東フィル
2024/04/26 05:44
さよならマエストロ
2024/04/25 05:50
WANDERERS
2024/04/24 06:08
定家の原本発見
2024/04/23 05:56
ダイソーの500円イヤホン
2024/04/22 06:02
減少が続く書店
2024/04/21 06:05
ソウシジュの箸
2024/04/20 05:58

Feed