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カテゴリー「興行・放送」の検索結果は以下のとおりです。

戦時下の宰相たち

国民が軍を支持するように煽ったのが、軍縮を訴えていた新聞だった。手のひらを返したように連日戦果を報じ、販売部数を伸ばしていった。

昭和に入って、日本は戦争の時代を突き進む。軍需と輸出拡大で、皆、戦争景気を実感。中国との戦争に歓喜し、さらに米国との戦争を求めていく。新聞も、連日、勇ましい記事で国民を煽ったのだ。

抗うことのできない「一度動き出した空気」、その正体はこの辺りにありそうだ。

引用は、映像の世紀バタフライエフェクト「シリーズ昭和百年」、その第1回「戦時下の宰相たち」から(8/25)。

このナレーション(伊東敏恵アナ)の時に画面には当時の新聞紙面が映っていた。東京日日新聞、1931(昭和6)年9月20日付け、「今暁奉天を占領 支那兵の武装全部解除」「勇ましく翻る日章旗」などの見出しが躍る。

新聞記者は、売り上げのために読者の喜ぶ記事を書き続けた。これは、21世紀の今でもよくある。そう認識した上で、新聞などメディアに接しなければならない。

例えば、マイナ保険証のこと。今の新聞にとって主たる読者は高齢者。彼らが喜ぶ、というか、彼らにそっぽを向かれない記事に仕立てられる。だから、マイナ保険証への移行を進めよう、ではなく、従来の紙の保険証もずっと使えるようにしよう、となる。

ジャーナリズムとかエラそうなこと言っても商売なのだ。売り上げが大事。ただ、今時の新聞は、部数を伸ばす、ではなく、部数を減らさないことに主眼を置いている。なお一層、読者である高齢者を大事にする。

テレビ(特に民放)だって同じだろう。主たる視聴者を喜ばせる内容になっている。

桑原桑原。

「シミュレーション」マイナ保険証へ移行映像の世紀バタフライエフェクト(いずれもサイト内)

「シミュレーション」

東條首相は何もできません。一度動き出した空気に抗うのは至難の業です。

模擬内閣の陸相、高城源一(中村蒼)が言う。NHKスペシャル「シミュレーション昭和16年夏の敗戦」後編(8/17)から。

1941年夏、首相直属の総力戦研究所は、日米戦を机上演習(シミュレーション)した。省庁や、軍部、民間から集められたエリートたちが模擬内閣をつくり、日本が米国と戦ったらどうなるか、徹底的に検討。その結果は、必敗。米軍爆撃機による日本本土への空襲や、ソ連参戦も予測する精度の高い内容だった。

東條は、模擬内閣の結果発表を聞いて、戦争はやってみなくちゃわからん、などと、好戦的なイメージ通りの発言をする。が、本心では戦争を避けたい思いがあったようなことがこのドラマの中では描かれていた。実際はどうだったのだろうか。

とにかく、日本は、負けることが判っていた戦争に挑んだのだった。無茶苦茶だ。

# 猪瀬直樹著「昭和16年夏の敗戦」、NHK戦争ドラマは「歴史歪曲」 モデルの遺族、BPO申し立てへ(8/26)

人は承認欲求に飢えている

自分自身では、己を認め、自己肯定し、自信を持ちたい、と思う。さらに、他者から、認められたい、褒められたい、評価されたい、と切に願う。いわゆる承認欲求には、二面性があるように思う。

いくつかのドラマを観ながら、そんなことを考えた。

その目にしか見えぬものを現してやるのは、絵師に生まれ付いた者の務めじゃ

鳥山石燕(片岡鶴太郎)は、喜多川歌麿(染谷将太)の潜在能力を見抜いている。「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第30回「人まね歌麿」(8/10)から。

医師の道からマンガに来ていただいて、本当にありがとうございます。

喫茶店で、編集者が手塚治虫(ドラマの中では手嶌)に言う。柳井嵩は、たまたまこの話を近くで聞いている。「あんぱん」第19週(95)「勇気の花」(8/8)から。

私には君を授けてくれましたか。

松本先生(柴田恭兵)が呟く。学生バイトの天童君が、松本先生のような学者を目指すと宣言するのを聞き、学問の神様が君を後継者に授けてくれたんだな、と喜ぶ。ドラマ10「舟を編む~私、辞書つくります~」第9回(8/12)から。

おまえたちにはわからんかも知れんが、あの男こそ本物だ。少しはあやかるといいんだが

風変わりな工場長の二國に、永田耕衣は高く評価されていた。これはドラマではなく、城山三郎著「部長の大晩年」(朝日新聞社、1998年)から。

自己実現欲求の沼俳人・永田耕衣の世界(いずれもサイト内)

宗教国家アメリカ

“神の国” アメリカ もうひとつの顔

先日(8/10)観た、「映像の世紀バタフライエフェクト」はそういうタイトルだった。

学生時代に、立花隆の名著「宇宙からの帰還」(1983年)を読んで、米国がキリスト教国家であることを、はっきり、認識した。

当時、かの国では、基本、WASPじゃないと宇宙飛行士には選ばれなかった。アングロサクソン系の白人で、かつプロテスタント。社会の典型的主流とされた。大統領も同じだ。

宇宙から帰還した飛行士が、宇宙では神のオフィスの近くにいるような気がした、とコメントする場面が描かれていたりする。

宗派を尋ねられて、リベラル、と本音で答えてしまった宇宙飛行士が、言い繕うのに苦労したというエピソードも紹介されている。

しっかり存在するものの、何となくデリケートで、表立って語られないことのように思っていた。憲法で政教分離原則が謳われているし。しかし、プロテスタントの一宗派である福音派(Evangelical)は、今や、共和党の岩盤支持層。大々的に選挙活動を繰り広げる。人々の信仰と選挙結果は無関係ではない。

旧統一教会に解散命令(サイト内)。映像の世紀バタフライエフェクト「“神の国”アメリカ もうひとつの顔」(NHK総合、8/10 17:15)

べらぼう (29) (30)

この「江戸生艶気樺焼」ってのは、黄表紙っていう文芸の最高峰

と、鈴木俊幸教授(中央大学文学部)が絶賛する。NHKラジオの日曜カルチャー「蔦屋重三郎のまなざし」第3回(4/20)にて。読みは「えどうまれうわきのかばやき」。

文学史の教科書にも載り、タイトルはよく知られている。が、高校の古文では、ほとんど採り上げられない。機知に富んだ滑稽が判り難い。文章と絵の双方を併せて読み解く必要がある。それに、何と言っても、遊郭や女郎が登場する。そんな事情があって、国語科の先生には決して教えやすい題材ではないからだ。

大河ドラマ「べらぼう」第29回では、山東京伝作「江戸生艶気樺焼」が、蔦重の文芸サロンの中でどのようにして生まれて行ったかを描いていた。そのストーリーが劇中劇で再現される際、演じるは「べらぼう」本編の役者たち。それがなかなか洒落ていた。

「江戸生艶気樺焼」が刊行されたのは、天明5年(1785年)だった。

続く第30回、その「江戸生艶気樺焼」は大いに売れているようで耕書堂は大盛況。田沼意次の側近、三浦庄司(原田泰造)は、その他にも、芝全交「大悲千禄本(だいひのせんろくほん)」や、唐来参和「莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)」なども人気を博していると述べていた。

ドラマの中で、蔦重は、狂歌絵本の出版に力を入れ始める。これから、益々、おもしろいことが起こりそうと思わせてくれるわけだが、鈴木教授によると、実際、狂歌や戯作などの文芸の流行は、天明5年か、6年くらいにピークを迎えるのだとか。

べらぼう鈴木俊幸(いずれもサイト内)。「蔦屋重三郎のまなざし」第3回▽日曜カルチャー(NHKラジオ第2、4/20 20時)【出演】中央大学教授…鈴木俊幸、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第29回「江戸生蔦屋仇討」(NHK総合、8/3 20時)、第30回「人まね歌麿」(同、8/10 20時)

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