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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

江夏の21球

  • 2018/12/25 07:05
  • カテゴリー:読み物

それから約二十六分間、江夏は大阪球場のマウンドに立ち尽くし、”勝者”と”敗者”の対角線上を激しく往復する。

山際淳司著「スローカーブを、もう一球」(角川文庫、85年)は、最寄り図書館の文庫本棚にあった。引用は、二番目に収載の「江夏の21球」から(p40)。攻守各々の選手や関係者らが、あのとき、状況はどう見えていたのか、何を考えていたのか、とインタビューに応える。それによって構成するという点では、この話と先日ふれた「ロストフの14秒」はよく似ている。ただし、対象となる場面の時間は、ロストフの方はタイトルにある通り14秒。江夏の場合は、「正確にいえば二十六分四十九秒」(p59)だった。

どちらかが彼女を殺した

  • 2018/12/24 23:40
  • カテゴリー:読み物

殺人事件は日常茶飯事だが、時刻表トリックも密室もなく、ダイイングメッセージもない。そして現場は孤島でも幻想的な洋館でもなく、生活感溢れる安アパートや路上だ。動機といえば殆どの場合が、「思わずカッとなって」である。それが現実なのだ。

とあるのは、誰かや何かに対する当て擦りか皮肉だろうか。東野圭吾著「どちらかが彼女を殺した」(講談社ノベルス、96年)から(p160)。加賀恭一郎シリーズ第3作、加賀は本庁ではなく所轄の練馬警察署にいる。

容疑者は二人。謎解きはされず、読者も推理に参加する。実際のところ、読み終えて、男と女どちらが犯人か判然としなかった。今一度ぱらぱらと拾い読みして、加賀が言う「破壊」(p142、244)が重要な意味を持っていることに気付いた。被害者がかつて開けた封筒、現場に残された粉薬の小さな袋二つ(指紋の偽装あり)、そして、もう一つ、薔薇の絵が描かれたゴミ箱に捨てられた薬の袋、各々の破り方を加賀は比べた。それによって、事件は自殺ではなく他殺であることを、そして、それを実行した犯人を、彼は知った。なるほど。それならば、犯人はこっちだ、とおれも確信が持てた。

# 眠れる森の美女(p225)

眠りの森

  • 2018/12/23 07:51
  • カテゴリー:読み物

そういう仕組みになっているからです。器械体操なんかで、人間ピラミッドというのがあるでしょう。あれをやる時に一番辛いのは、最下段をする者たちです

人々の多くは、疲れている、精神的にも金銭的にも(バレエを見る)ゆとりはない、それはどうしてかと主人公の加賀がそう説明する。東野圭吾著「眠りの森」(講談社文庫、92年)から(p139)。加賀恭一郎シリーズ第2作(初出89年)、この時点で、加賀は本庁捜査一課の刑事。大学卒業後に中学の教師になり、その後、警視庁の刑事になったことが語られる(p148)。

定年後(岩波新書、07年)

  • 2018/12/20 19:58
  • カテゴリー:読み物

日々の経済ニュースにふれて「もう、そんなことどうでもいいや」と思えるようになるまで、定年から十年を要したという。

加藤仁著「定年後」(岩波新書、07年)から(p74)。その部分の小見出しに、「勤め人モードの払拭」とある。別の何かで知ったのだが、懲りないオッサンたちは、会社を辞めても、上から目線や、命令口調、男尊女卑、派閥づくりなど、そういう悪弊から抜け出せないのだとか。

卒業

  • 2018/12/20 07:33
  • カテゴリー:読み物

しきりにそれに関する質問をしてくる。まるで話上手とは相手の自慢話を聞くことだということを心得ているかのようだ。

東野圭吾著「卒業-雪月花殺人ゲーム」(講談社、86年)から(p256)。映画版「祈りの幕が下りる時」を観る機会があり、加賀恭一郎シリーズの原作を最初から読みたくなった。この「卒業」は、年末年始(市立図書館の休館期間 12/17-1/10)に読もうと何冊か借りて来たうちの一冊。主人公の加賀がまだ大学生の頃のお話。

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