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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

Re: 風の影

  • 2021/05/15 06:31
  • カテゴリー:読み物

いつものとおり、物語がはじまるよりまえに、事の結末はすでにきまっていた。はじまったときは、もう手遅れなのだ。

カルロス・ルイス・サフォン著「風の影」(集英社文庫、2006年)から(下巻、p48)。

ほかにも書き留めておきたい箇所は少なくない。特にフェルミン・ロメロ・デ・トーレスが頻りにアフォリズムを口にする。例えば、ばかと悪人はちがう「悪いやつには特定のモラルと、意図と、ある種の思考性が前提にある。ばかな人間、つまり野蛮な人間は、じっくり考えたり、論理的に思考することをしない」、本能だけで行動する動物と同じ。自分はいつも正しいと思っている(上巻、p258)。

フリアン・カラックスの科白からも一つ、「本は鏡と同じだよ。自分の心のなかにあるものは、本を読まなきゃ見えない」(上巻、p357)。

風の影(サイト内)。ヴォルテール著「カンディード」

風の影

  • 2021/05/14 06:40
  • カテゴリー:読み物

キッド・プロ・クオだ。ラテン語だよ、小僧っ子。死語なんてものはない。頭がなまけて眠っているだけだ。

バルセロがダニエルに取引を持ちかける。その本をじっくり見せてくれたら、その「代わり」に、著者について知っていることを教えると。カルロス・ルイス・サフォン著「風の影」木村裕美訳(集英社文庫、2006年)から(上巻、p29)。「忘れられた本の墓場」四部作の第一部、上下巻、ともに4百ページ超、読むのに数日かかった。

「代わり」を意味する「キッド・プロ・クオ」、綴りは quid pro quo だ。かつて、この言葉を冠したソフトウェアを使っていたことがある。

1996年、職場の片隅にあった Macintosh IIci を、メモリーを増設、漢字Talk(OS)を更新した上で、サーバに仕立てた。webサーバのソフトウェアには、ちょうど開発が進められていた、WebCenter を主に使った。作者は、Chris Hawk 氏。

この WebCenter が、その年の秋に、Quid Pro Quo(QPQ)へ名を替えた。商標の問題があったと聞いた。WebCenter の「代わり」というネーミングだったのだろう。そう見せかけておいて、当時デフォルト・スタンダード的存在だった、WebSTAR の代わりになる、が真の意味と思ったもんだ。

そう思わせる程に、実際、QPQ は優秀なサーバだった。が、後に「Macworld Magazine のReviewで酷評されて作者のChrisさんは怒ってしまったらしい」とメモしている、1998年8月、このホームページ(twp)を立ち上げてすぐの頃だ。

20年前は何を?(サイト内)

忘れえぬ人々

  • 2021/05/12 06:37
  • カテゴリー:読み物

みなこれこの生を天の一方地の一角に享けて悠々たる行路をたどり、相携えて無窮の天に帰る者ではないか、というような感が心の底から起こって来てわれ知らず涙が頬をつたうことがある。その時は実に我もなければ他もない、ただたれもかれも懐かしくって、忍ばれて来る

国木田独歩著「忘れえぬ人々」から。留守録しておいたラジオの番組で耳にして、青空文庫にあるのを読んだ。初出は、1898(明治31)年。

「山の根がたのかしこここに」という箇所が、どこで区切るのか俄かに判らず、しばし考え込んだ。「かしこ」「ここ」に気付くとあとは早い。「根がた」は、手元の辞書では、見出しにはないけれど全文検索でヒットする。ねかた【根方】〔「ねがた」とも〕(1) 木の根もと。根のあたり。(2) 物の下の方。また、山麓。「大辞林第2版」(三省堂、1995年)から。

忘れえぬ人々|青空文庫。荒川洋治の“新しい読書の世界”(5)「明治・大正の小説」▽カルチャーラジオ文学の世界(NHKラジオ第2、4/29 20:30-21:00)。EBdic(サイト内)

氷菓

  • 2021/05/10 06:32
  • カテゴリー:読み物

ですから、結果を目的にすればそれを目的にして結果を作ろうとするでしょう?

米沢穂信著「氷菓」(角川文庫、2001年)から(p45)。書評にあった「日常の謎」の言葉に釣られて借りては来たけれど残念ながら性に合わなかった。

コリーニ事件

  • 2021/05/08 05:56
  • カテゴリー:読み物

年を重ねると、暦の警句はますます真実味を増してくるものだ

「うしろ指を指されるような人ではない」。そんな人には滅多にお目にかかれない、「人間に白も黒もない・・・灰色なものさ」。「まるで暦にある警句みたいですね」。そのやり取りに引用した言葉が続く。フェルディナント・フォン・シーラッハ著「コリーニ事件」酒寄進一訳(東京創元社、2012年)から(p65)。

「よく考えることだ。答えはいつもファイルのなかにある。それを正しく読み解くセンスさえあればいいのだ、と」(p112)。そして、「凶器 ワルサーP38」の写真から手掛かりを得る。

韓国企業から訴えられて、知財高裁で争ったことがある。判決を前にして形勢は五分五分。負けることもあり得ると、様々な準備を進めていたある日、先方が和解を提案して来たと代理人から連絡を受けた。それを聞いて、こっちが勝つんだなと思ったもんだ。そんな昔のことを思い出したのは、本書で企業の法律顧問バウマンが主人公ライネンに会う場面(p118-123)でのこと。企業側に不都合な事実をつかんだライネンに、バウマンが賄賂を持ち掛ける。それを聞いたライネンはどう感じたのだろうか、勝利を確信したのだろうか。

シーラッハ(サイト内検索)。ワルサーP38に関連する作品の一覧|Wikipedia

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