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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

希望の糸

  • 2021/03/18 06:49
  • カテゴリー:読み物

たしかに刑事の勘が外れることは少なくない。そのことに気づかず、的外れな捜査に固執するやつは優秀な刑事とはいえない。しかしだ、ちょっとばかり思惑通りに行かないといって、すぐに勘が外れたと決めつけるやつも大した刑事にはなれない

東野圭吾著「希望の糸」(講談社、2019年)から(p155、210)。最寄り図書館に予約を入れて一年経過、ようやく順番が回った来た。

予備知識なく読み進める内に、豈図らんや、松宮脩平の名が出て来た。ということはあの人物も出て来るはず。やはりそうだ(p51)。警視庁捜査一課加賀恭一郎警部補。この事件の3年前に、日本橋警察署から本庁へ戻って来ていた。加賀シリーズは、「祈りの幕が下りる時」で終わったものとばかり思っていたけれどそうではなく、この「希望の糸」が第11作目。

加賀恭一郎(サイト内検索)

Re: 石の星座

  • 2021/03/16 06:49
  • カテゴリー:読み物

その人の一生の事歴をたどって墓前に立つと、いかにも墓がその人の生涯にぴったりしているという感銘を受けることが多い。あるいは逆には墓を知って、その人の生涯を考え直すということもある。わたしは墓に、霊魂が眠っているとは信じない。しかし、墓にはその人の全体像が凝縮していると思われることが多く、それで墓めぐりをするのである。墓はたいてい石を用いて作られている。石たちの造形は、そこに完結した人の生涯を象徴するかのようである。

「富本憲吉の遺言」は、冒頭、墓めぐりの小見出しで始まる。足立巻一著「石の星座」(編集工房ノア、1983年)から(p138)。「富本~」の初出は1974年9月。

本書で著者は、富本憲吉のほか、富岡鉄斎、村上華岳、三好好太郎、佐伯祐三、小出楢重、吉原治良らの生涯をたどり墓を訪ねる(1973-75年)。墓石の写真が掲載され、一風変わった評伝になっている。

いつだったか、先祖の墓碑を調べたことがあった。5代前まで遡ることができる。おそらく分家の始まりだろう、その戒名は、だいぶ摩耗しているけれど判読可能。没年の年号は文久と読める。俗名はわからない。特に言い伝えもなく、「その人の生涯を考え」ようにも想像が及ばない。墓石に刻まれた文字を見て頭に浮かぶことは、ああ幕末の頃を生きた方なんだな、ぐらいのことだ。

石の星座(サイト内)。石の宝殿(p171)

石の星座

  • 2021/03/14 06:50
  • カテゴリー:読み物

花隈の華岳邸には、おびただしい蔵書があった(略)。日本人の詩集も多く川路柳虹・千家元麿・日夏耿之介・萩原朔太郎・竹内勝太郎・宮澤賢治などの詩集が目立ち、そのかわり小説類はほとんどなく、あってもほとんど開いてなかった

宮澤賢治の詩集、それは、もしかして「春と修羅」(初版、關根書店、1924年)のことだろうか。「つねに思い悩んだ画家」華岳はそれを蔵書していたのだろうか。引用は、足立巻一著「石の星座」(編集工房ノア、1983年)に収載の「村上華岳自筆墓誌」から(p65)。1975年11月初出。

華岳と同世代の詩人である、柳虹や、元麿、耿之介、朔太郎は、皆、1920年までには処女詩集を刊行している。彼らの詩に親しんだ華岳が、1924年発行の「春と修羅」を買い求めたとしても何ら不思議ではない。当時、世間一般には見向きもされなかったけれど、詩を愛好する人たちの間では話題になったらしい。

「春と修羅」のことは、三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖(3)-栞子さんと消えない絆」(メディアワークス文庫、2012年)で知った。その第4話は、「春と修羅」初版本を巡るミステリー。その初版の稀少性は高い。さらに、作者宮澤賢治による書き込み(推敲)があるという設定だった。

蜜蜂と遠雷(サイト内)。村上華岳(1888-1939)、川路柳虹(1888-1959)、千家元麿(1888-1948)、日夏耿之介(1890-1971)、萩原朔太郎(1886-1942)、竹内勝太郎(1894-1935)、宮沢賢治(1896-1933)、岸百艸(1902-1976)、足立巻一(1913-1985)。春と修羅|国立国会図書館デジタルコレクション

先生との「その後」

  • 2021/03/12 06:54
  • カテゴリー:読み物

実際にお会いしてはいなくても、いつも近くで見守ってもらっているという意味では小学校五年生のときと同じ関係ともいえます。

瀬川晶司著「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫、2010年)から(p335)。この文庫版に「完全版」とあるのが目に留まった。あれから4年経ち、果たして、著者は恩師と会うことができたのだろうか。書き加えられた第六章に、先生との「その後」、という小見出しがある。まだ再会できていないが、手紙やメールでのやりとりをするようになったと記されている。

泣き虫しょったんの奇跡(サイト内)。1975年3月小学校卒業、2013年1月同窓会。TAG(安田泰幸、百木一朗)共著「ハンドワークノート 京阪神版」(プレイガイドジャーナル社、1979年)

弁護士の仕事術・論理術

  • 2021/03/10 06:48
  • カテゴリー:読み物

客観的な報道をするような体裁を取りながら、実際には未確認の「事実もどき」を確定的な「事実」のように報道する(略)。日本のマスコミ報道は「事実」を軽視し、事件報道中に自分の主観をすべり込ませている。ヘロドトスを引き合いに出すまでもなく、日本のマスコミの欠点は明白である。1) 事実意見を選別せず、当局の一方的な発表モノを丸飲みしてしまう、2) 自分の先入観に合わない反対意見は受け入れず、小さくしか扱わない、3) 複数の相反する情報を提示せず、白か黒かを断定する

この箇所には、「情緒狙いのアピール」に注意せよ・事実と意見の境が曖昧な日本の報道、という小見出しが付されている。矢部正秋著「プロ弁護士の仕事術・論理術」(PHP文庫、2015年)から(p39)。著者の「プロ弁護士の思考術」(PHP新書、2007年)を読み返すことがよくある。他にも著作があることを知り借りて来た。

おっしゃる通りだと思う。我が国のテレビや新聞の報道は、かなりバイアスがかかっている。眉に唾して接しなければならない。その点、新聞の社説は、ある意味、安心して読むことができる。意見や主張が、巧妙に「すべり込ま」された形ではなく、正々堂々と書かれているので。

新聞の読み方プロ弁護士の思考術(いずれもサイト内)

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