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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

砂の上の黒い太陽

  • 2020/12/11 06:20
  • カテゴリー:読み物

君は闘牛士を知らん。闘牛士の心理をだ。闘牛士という人種は、どんな時でも引退の時を夢見ている男たちなんだ。

エル・コルドベスのマネジャー、パキート・ルイスがそう言う。ただし、何かを追い求めているときは活動を止めない、「あの年は私たちに大目標があった」。林栄美子編「砂の上の黒い太陽-闘牛アンソロジー」(人文書院、96年)の佐伯泰英著「闘牛士エル・コルドベス一九六九年の叛乱」(抄)から(p219)。

タイトルにある69年の叛乱、それは闘牛の興行を独占するトラストとの対立だった。スターとなった闘牛士は、移動式の簡易闘牛場でスペイン全土を巡業して回る。ところが翌70年に和解。そして「大目標」に向かって再始動する。65年に打ち立てた、年間出場111闘牛の史上最高記録を更新することを目指したのだ。「さもなくば喪服を」その後のエル・コルドベスを描く。

さもなくば喪服を(サイト内)

さもなくば喪服を

  • 2020/12/10 07:11
  • カテゴリー:読み物

闘牛士を売り出すのは、粉石鹸を売り出すのと同じだ。粉石鹸にもいろいろあるように、闘牛士にもいろいろある。うまく売り出せるのは、つねにいい製品とはかぎらない。プロモーターがどうすればよく売れるかを知っている場合なのだ。

辣腕マネージャー、エル・ピポの言葉。彼の目に留まったのは、ある青年の死に物狂いの勇気だった。D・ラピエール、L・コリンズ著「さもなくば喪服を-天才闘牛士エル・コルドベス」(ハヤカワ文庫、81年)から(p391)。仏語原書67年刊。沢木耕太郎、角幡唯介両氏の対談でこの本のことが語られる。

Google で検索するとこういう説明が出る、「マヌエル・ベニテス、またの名をエル・コルドベス(コルドバの男)。 1960年代のスペインで、総統フランシスコ・フランコと並び有名であり、スペインの国民的な英雄と言われた男。 衰退しつつあった闘牛に新しい風を吹き込み、国家的な催しにまで盛り上げた革命的な闘牛士。2016/02/18

旅人の表現術(サイト内)

百年前の山を旅する

  • 2020/12/02 06:37
  • カテゴリー:読み物

今、われわれは奥多摩駅から青梅まで歩くという発想そのものがない。鉄道が延び、車道ができ、昔の道がなくなってしまったため、われわれに歩くという選択肢そのものがなくなってしまったのだ。発想がなければ行為はなく、行為がなければそれにともなう感情もない。

服部文祥著「百年前の山を旅する」(東京新聞出版部、10年)から(p97)。著者自身による「サバイバル登山」の紀行文をいくつか集めた一冊。古道や廃れてしまったルートを、当時の装備や食料を携えて歩きそして登る。例えば、ウェストンらが初登攀(1912年)した奥穂高岳南壁ルート。島々から徳本峠を越えて上高地へ入り、岳沢をつめて南稜から奥穂高岳へ登る。

第4話の「鯖街道を一昼夜で駆け抜ける」では、「京は遠ても十八里」の小浜街道いわゆる鯖街道を歩いて、実際にサバを京都まで運ぶ試みを行っている。福井県小浜の魚市場でサバを買う。これが若狭で獲れたのではなく、宮城県金華山沖から回って来たものだった。日本産ならまだしも、今や、街角で売っているのり弁当や定食屋の焼き魚定食などそれらのサバやアジのほとんどは、随分遠くからやって来る。サバならば、例えば、ノルウェーで水揚げされ、タイで加工された後に日本に運ばれる。現代の鯖街道は、三千里にも及ぶ(8.6千キロと4.3千キロ、計1.29万キロ)。

旅人の表現術(サイト内)。ウォルター・ウェストン|Wikipedia。石丸謙二郎の山カフェ「山びとの生き方~服部文祥さん」(NHKラジオ第一、11/21 8:05-)

極限の民族

  • 2020/11/30 06:38
  • カテゴリー:読み物

この非プライバシー文化も、キリスト教文化のおかげで、その頂点はすでに滅びてしまった。キリスト教・仏教・儒教というのは、愉快で天真爛漫なことが嫌いな宗教である。

小見出し「配偶者交換」の節はそう終わる。本多勝一著「極限の民族」(朝日新聞社、67年)の第一部「カナダ・エスキモー」から(p76)。元は、朝日新聞での連載。これにより「注目され」たとWikipediaにある。沢木耕太郎、角幡唯介両氏の対談を読みこの本のことを知った。

最寄り図書館で借りた本、奥付に「昭和45年5月25日第8刷発行」とある。次のページは白紙、その真ん中に「一九七〇年八月二六日水」と万年筆で縦に書かれている。寄贈者の手によるものだろうか。

旅人の表現術(サイト内)。本多勝一|Wikipedia

失敗の本質

  • 2020/11/27 07:02
  • カテゴリー:読み物

日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である

ノモンハンで日本軍を圧倒した、ソ連第一集団軍のジューコフ司令官がそう評価した。野中郁次郎ら著「失敗の本質-日本軍の組織論的研究」(中公文庫、91年)から(p68)。最寄り図書館では郷土コーナーにこの本はある。第一章の事例研究で沖縄戦も題材になっているからだ。

1941(昭和16)年からの大戦と、それまでの諸戦とは繋がりのない別物、ずっとそう思って来た。自分の中に断絶があった。日露に始まる、日本における20世紀の戦争は、一連の大きな流れとして捉え直すべきではないだろうか、あくまでも自分にとってそうすべきという意味だけれど、ここしばらく、そんな風に思っている。

静かなノモンハン独ソ戦ビジネス書十選(いずれもサイト内)

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