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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

善と悪の経済学

  • 2020/09/25 06:41
  • カテゴリー:読み物

ケインズの学説の一部(赤字を容認する)だけが採用され、大事な部分(余剰を蓄積する)は忘れられた。そして今日では、景気拡大期でさえ赤字が容認されている。現在のやり方はケインズよりはるかに過激であり、凶作に備えて穀物を備蓄するどころか、貯蔵庫は借用証でいっぱいになっている。

08年のグローバル金融危機(リーマン・ショック)は何とか凌げた。しかし、膨大な債務を抱えたまま、余剰の備蓄なしに、次の危機に突入したらいったいどうなるか。今、GDPの最大化から債務の最小化へ、経済政策の目標を見直すべきと力説する。トーマス・セドラチェク著「善と悪の経済学」(東洋経済新報社、15年)から(p351)。

景気循環の最初の記録は4千年前に遡る(創世記第41章)。エジプト王ファラオは、「夢の中で7頭の肥えた牛と7頭の痩せた牛」を見た。それは、豊作の7年に貧困と飢饉の7年が続く、と解された。言わば14年分のマクロ経済予想だ。豊作年の余剰を貯蔵し凶作に備えた。おかげでエジプトは富み栄え、周辺国を支配下に置くことができた(p87)。

セドラチェク氏のお話(サイト内)。パンデミック激動の世界(3)「停滞か変革か 岐路に立つグローバル資本主義」|NHKスペシャル(9/27 放送予定)

怪しい来客簿

  • 2020/09/21 07:01
  • カテゴリー:読み物

元来、中小企業はおおむね経営者のワンマン体制が敷かれており、社業の発展はすべてボスの功績によるものでなければならない。実力のある社員が居てはかえって困るので、ボスにとって、社員のせいで発展するくらいなら発展などしない方がよいのである。

中小企業とかビジネスとかに限らず、似た話はよくありそうだ。引用は、「色川武大 阿佐田哲也全集」第1巻(福武書店、91年)に収載の「怪しい来客簿」(77年刊)から(p40)。

不思議な短篇集。著者が、主に10代、20代、もしくは30代だった頃の、同時代の人々のことを書いている。濃密な関係の肉親や同僚たちだったり、興行の芸人や相撲取り、名も知れぬ街の人たちだったりする。各々の評伝であり、著者自身の自伝でもある。「夢に出てくる生家」(p60)、「今度、いくらかの取材をした範囲では」(p75)、「奇形の心境とはどういうものか」(p94)、「家系図というものが私の家にもあって」(p143)。

# NHKジャーナルのブックレビュー「怪しい来客簿」岸本佐知子選(NHKラジオ第一、7/21 22時台)

Re: 暗殺者

  • 2020/09/19 06:43
  • カテゴリー:読み物

この世でいちばん容易なことは、自分は正しいと自分自身に言い聞かせることだからな。しかも年を取れば取るほど、それはもっと容易になる

ビリエール将軍(下院議員)がそう言う。ロバート・ラドラム著「暗殺者」下巻(新潮文庫、83年)から(p140)。37年ぶりの再読。それだけ年月が経つと、内容はすっかり忘却の彼方、また一から楽しめる。ただ、解説の最後に紹介されている挿話は、やけに覚えていた。最後の十頁ほど破り取ったショー医師のコラム(リーダーズ・ダイジェスト、82年)だ。それがあったのは、この本の解説だったんだな。

暗殺者(サイト内)

暗殺者

  • 2020/09/15 07:14
  • カテゴリー:読み物

自国が外国によって牛耳られているという事実ぐらい、人を愛国的にするものはない。戦争に負けることは容認できる-それは単に相手が強かったということ-しかし経済的に蹂躙されるとなると、それは相手のほうが賢明だということになる。そして後者のほうが占領期間も長く、傷跡もずっと深くなる

マリー・サンジャックがそんな話をする。ロバート・ラドラム著「暗殺者」上巻(新潮文庫、83年)から(p230)。彼女は経済学者だったんだな。学歴は、モントリオールのマギル大(修士号)、政府奨学金で英オックスフォード大(おそらく博士号)、専攻は理論経済学、という設定。

映画「ボーン・アイデンティティー」(米、02年)のメインタイトルがラジオ深夜便でかかった(「スパイ映画作品集」、NHK-FM、8/27 2時台)。ファゴットの高音が印象的な音楽だ。これを聴いて、また映画の原作を読んでみようと思った。最寄り図書館には「ジェイソン・ボーン」三部作は揃っている。

# 暗殺者、殺戮のオデッセイ、最後の暗殺者

幻燈辻馬車

  • 2020/09/14 06:35
  • カテゴリー:読み物

わしが見るのに、西洋の文明開化というやつは、わしらの見る通りの文物の開化とともに、自由民権というものを支えとしておる。それがなけりゃ、民のまことの倖せはない、と見ておるのじゃな。車の両輪じゃよ。それを、日本は、片っぽうの車輪だけとりいれたのじゃ

儒者、錦織晩香がそう語る。やっと明治十年代になって、もう一方の車輪も取り入れようと自由民権運動が起こるが政府に押しつぶされる。「山田風太郎明治小説全集」第2巻「幻燈辻馬車」(筑摩書房、97年)から(p272)。

日本の国民が、真の自由と民主主義を享受するに至るまでに、結局、それから半世紀以上を要した。第二次世界大戦の後、憲法が新しくなってからのことだ。自分たちでは果たせず、戦争、そして占領という外圧によって初めて成し得た。戦争は敵対国の憲法を書き換えようとする行為とも言われるが、たいへん説得力のある説と思えて来る。お隣の大国はどうだろうか。日本と同じようなプロセスで、民主化への道を辿ることになるのだろうか。

警視庁草紙(サイト内)。「幻燈辻馬車」初出75年。加藤弘之(1836-1916年、但馬出石出身、政治学者、初代東大総長)。錦織晩香(1816-1888年)、山川健次郎(1854-1931年、白虎隊、物理学者、東大総長)、福島事件(1882年)、加波山事件(1884年)。天安門事件(1989年)

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