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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

傷だらけのカミーユ

  • 2022/02/26 06:27
  • カテゴリー:読み物

いずれにしても選択肢はないと思った。もっとも“選択肢はない”と考えることもまた選択の一つではある。

万策尽きたらこれを思い出そう。少しは慰めになるかも。ピエール・ルメートル著「傷だらけのカミーユ」橘明美訳(文春文庫、2016年)から(p325)。カミーユ・ヴェルーヴェン警部が登場する第三長編。シリーズはこれで終わり。

仏語原題は、Sacrifices(犠牲)。なお、アンヌとの出逢いについては、前作で簡単に触れられていた(「その女アレックス」p52)。彼女は「わが母なるロージー」にも何度か登場する。

ピエール・ルメートル(サイト内)。「もっともらしいものこそ疑うべき」(p296)

転迷

  • 2022/02/24 06:20
  • カテゴリー:読み物

紙に書きだしてみればそれだけで整理がついたような気分になってくる。さらに、優先順位をつけて並べてみると、やるべきことがはっきりしてくる。

対処すべき事案をリストアップする。整理してみると「まったくうろたえる必要などないことがわかってくる」。引用は、今野敏著「転迷」(新潮社、2011年)から(p95)。隠蔽捜査シリーズ、その4。

南米という接点が示された時、三つの事件は繋がった。もう一つの放火事件も南米がらみなのだろうか、もしかしてカザフスタンもか、と思いながら読んだけれど、それらは直接には関係はなかった。流石にそこまでいくとやり過ぎだ。

今野敏(サイト内)。Ivy Lee Method

ひとびとの跫音

  • 2022/02/22 06:26
  • カテゴリー:読み物

独自のボヘミアン的孤立生活者のスタイルを作りだしていた。

学生時代の正岡忠三郎を評して富永太郎がそう言っていたという旨のことを大岡昇平から教えられた、と著者は書いている。司馬遼太郎全集第50巻(文藝春秋、1984年、第二期最終巻)に所収の「ひとびとの跫音」から(p87)。その単行本は1981年7月刊行。

「子規全集」(正岡忠三郎ら監修、講談社)出版までの顛末。「坂の上の雲」の続きと見る向きもあるかもしれない。その長編執筆の楽屋話という性格もある。著者お得意の「余談」を寄せ集めたような構成。子規の死後養子、忠三郎と、その親友、タカジ(西沢隆二、ぬやま・ひろし)を軸に、有名無名問わず色んな人たちが入れ替わり立ち替わり登場する。「グランド・ホテル形式の小説として成功」と評価されているようだ。

坂の上の雲働き方2.0vs4.0(いずれもサイト内)。明石市大久保(p247)、新日本放送(p182)。司馬遼太郎富永太郎大岡昇平西沢隆二|Wikipedia

わが母なるロージー

  • 2022/02/19 06:27
  • カテゴリー:読み物

人間ってのは誰かのことを知っているつもりでも、じつはまったく知らないんだ。

このシリーズではこれがテーマの一つなのだろうか。似たような表現が一度ならず出て来る。ピエール・ルメートル著「わが母なるロージー」橘明美訳(文春文庫、2019年)から(p164)。カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの中編である本書は、時期的には第二作と第三作の間にあるようだ(第2.5作)。

そう言えば円紫さんが何か言っていた。正確に覚えていない。HDD内を検索してメモを見付け出した。「内に何かを秘めない人はいません。何をどれぐらい表にし裏にするかは人によって違います。どんなにしてもいえないことというのは誰にでもあるのです。ある意味では、その割合こそが、動かしようのないその人らしさを作るのでしょう」。北村薫著「夜の蝉」(1991年)に所収の「六月の花」から。

ピエール・ルメートル北村薫(いずれもサイト内)

落城記

  • 2022/02/17 06:38
  • カテゴリー:読み物

もしかしたらとわたしは思う。盥はすべてを映す。わたしが身をひけば盥の影は消える。この世に生きるということは、つかのま盥の水にわが影を投げることではないのか。

腹違いの兄を殺し自分も跡を追う、「死を怖れていないつもりでも実は怯えていた」。生も死も自身で決められる。梨緒は水に映る自分の姿を見てそのことに気付く。迷いは去り心の安らぎを得たのだった。野呂邦暢著「落城記」(文藝春秋、1980年)から(p171)。

著者の「諫早菖蒲日記」と同じく諫早を舞台とする歴史もの。菖蒲日記の方は、幕末動乱が背景。この「落城記」はさらに二百数十年遡り、時代は豊臣秀吉の世。西郷家歴代分限帳や伊佐早図誌などの文書を焼く挿話(p89)は、時を経た二つの物語を繋ぐかのようだ。

野呂邦暢(サイト内)

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