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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

いやな感じ

  • 2021/09/06 06:31
  • カテゴリー:読み物

「あたしもこんなあたしから、そろそろ逃げ出そうと思っている。でも、どんなあたしへ逃げ出すことやら……」

印象的な言葉を残したアビル(百成清一郎)に、主人公は、数年後、思いがけないところで出くわす。根室そして上海、辺境の地で色んな人と遭遇する。高見順著「いやな感じ」(共和国、2019年)から(p200)。単行本1963年初版。川端康成は「異常な傑作」と評したらしいのだが。

主人公はテロリストの加柴四郎、モデルがあるのだろうか。斎田慷堂は、北一輝だろう。砂馬慷一は、戦後政財界の黒幕となるあの人物か。北槻中尉は、青年将校の栗原安秀か磯部浅一。脇は判りやすい、尾垣(宇垣)、長田(永田)、小川(大川)など。

ビンピ(電報、p198)、阿拉勿関(知らん顔、p292)

本書のタイトルから、矢名完次(やなかんじ)のことを思い出した。学研の「学習」に登場した悪役キャラクター。小学何年の「学習」だったろうか。国会図書館に行くことでもあれば探してみよう。

2.26事件(サイト内)。いやな感じ|青空文庫。荒川洋治・評 『いやな感じ』=高見順・著|毎日新聞。「荒馬宗介」キャラクター名鑑

林原家

  • 2021/09/02 06:28
  • カテゴリー:読み物

「おまえが会社にしたことは許してもいいと思っている。社長として私が至らなかった面も大きいからだ」「いいか、今後一切、おまえと仕事をすることはない。会うこともない」

兄社長は、会社の実務全般を仕切っていた実弟の専務を責める。林原健著「林原家-同族経営への警鐘」(日経BP社、2014年)から(p94)。兄弟二人の著作を続けて読んだ。悪いのはおまえだ、と互いに責め合う、それが底流にあるように感じた。

兄の放漫経営と、弟の粉飾決算。幸い事業は回復基調で、嘘をついて借りた金を返済し健全化を進めようとしていた。が、私的な資金流用もあり、銀行の怒りを買い会社は破綻に追い込まれる。事実はそういうことなのだろう。二冊を読むとよく判る。

破綻(サイト内)。「破綻」からの引用(p145)

破綻

  • 2021/09/01 06:30
  • カテゴリー:読み物

数々のパイオニア的な研究成果の実現は、林原健の異彩の発想があってのものだ。しかし反面、研究への強烈な思い入れや莫大な投資がなければ、借入金や金利も増えず、結果として一時的に売上げを過大計上する必要もなかった。

あんたの道楽に付き合う羽目になり、えらい目に遭った、と言わぬばかりだ。林原靖著「破綻-バイオ企業・林原の真実」(ワック、2013年)から(p224)。著者は、実兄健社長の下、専務として実務全般を管掌した。その会社、林原は、2011年に破綻した。

過去における架空売上げ計上つまり粉飾決算、「これは正直言って、弁解の余地のない不適切なもの」(p27)と認めながらも、どうやら「何も悪いことはしていない」(p154)が本音のようで、最後には、「なぜ林原は突然潰されたのか」と見出しを立て、「誰にどんな意図があったのか、得をしたのは誰なのか」を推論するに至る(p216)。

次の本へ(サイト内)。京都駅前の天下りポスト(p222)

戦略読書

  • 2021/08/30 06:23
  • カテゴリー:読み物

一葉知秋。秋が来たことを知るのに、葉っぱ全部の紅葉や落葉を待つ必要はありません。1枚の落ち葉が、それを知らせてくれます。問題はそれに気づくかどうかだけ。

三谷宏治著「戦略読書」(ダイヤモンド社、2015年)の「はじめに」から(p4)。物々しいと言うか大仰な書名だ。

付録「セグメント別ブックガイド-独自の視点と思考をつくるための453冊」(p373)から読んだことがある本を数え上げてみた。セグメント(1)(2)「ビジネス」23/122冊、セグメント(3)「非ビジネス基礎」(SF・ファンタジー)7/131冊、同(科学)0/52冊、同(歴史)5/65冊、同(プロフェッショナル)3/37冊、セグメント(4)「非ビジネス新奇」6/40冊、計44/453冊。

率は10%(小数点以下一桁四捨五入)。ビジネス書を除くと6%。逆にビジネス書に限ると19%。なお、紹介されている453冊の内約一割がマンガだ。読んだことがあるのは、皆無かと思いながら念のため眺めると、「ブラックジャック」と「アキラ」二つがあった。

序章から終章までの本書主部は読まなかった。PPMまがいの四象限マトリクス(p55)は見た。縦軸、「応用・新奇」と「基礎」、横軸は「ビジネス系」と「非ビジネス系」。

文庫100冊戦略の未来(いずれもサイト内)

戦略の未来

  • 2021/08/27 06:25
  • カテゴリー:読み物

ただ自分がよく知っていることをやるだけだ、という話になってしまう。しかも切迫した状況では、彼らは自分たちの想像した範囲でしか行動できなくなる。兵士というのはいざ戦闘が始まると、そのほとんどの時間を「戦術レベル」の、潜在的な危険に囲まれた世界で過ごすことになる。彼らは自動的に作戦や戦略に導かれ、戦略的に意味のある目標の達成に向かって動くわけではないのだ。

だから、戦略が、作り込まれ、説かれなければならない。コリン・グレイ著「戦略の未来」奥山真司訳(勁草書房、2018年)から(p62)。同著者の「現代の戦略」よりは、だいぶ取っ付きやすい。

その戦略とはいったい何なのか(p41-56)。「実に多くの意味がある」

  • 一つのプロジェクトを成功させるために選ばれた指針(一般論)
  • 誰もが好むアイデア(拡大解釈)
  • 最も重要なもの、長射程のもの、とくに注目すべきもの(誤用か)
  • パワーを創造するアート(フリードマン)
  • 戦争の目的を達成するために戦闘を使用すること(クラウゼヴィッツ)
  • 政策の目的と軍事的手段を橋渡しする方策(本書)

コリン・グレイ(サイト内)。SDI, START。23の格言によって構成される「戦略の一般理論」(p75)

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