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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

坂の上の雲第6部

  • 2020/07/03 06:07
  • カテゴリー:読み物

神明はただ平素の鍛錬に力(つと)め戦わずしてすでに勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安んずる者よりただちにこれをうばふ。古人曰く、勝つて兜の緒を締めよ、と

秋山真之が書いた連合艦隊解散ノ辞はそう終わる。司馬遼太郎全集第26巻(文藝春秋、73年)「坂の上の雲」第六部から。明治期に入って甚だしく混乱した文章日本語が「いくらかの型に整理されてゆくについては規範となるべき天才的な文章を必要とした」。漱石や子規の独創的な仕事がそうであり、真之の文章もまたその役目を果たした(p496)。

「坂の上の雲」全6部を読み終えて考えた、これは果たして歴史小説なのだろうかと。「百パーセントに近い」事実をベースとしている。新たな物語が紡ぎ出されているわけじゃない。歴史小説とは、ちょっと違うように感じる。著者の意図は、歴史上の事実や定説を紹介しそれらを評価することにあるようだ。それならば、いっそ、評伝、正岡子規や秋山兄弟の評伝、と捉える方が余程しっくり来る。

坂の上の雲(サイト内検索)。日本の新聞はむしろ流行を代表する(p284)、天気晴朗ナレド浪高シは天気予報から流用(p368)、準備に5年ほど執筆に4年三カ月(p510)

サンタのおばさん

  • 2020/06/30 06:47
  • カテゴリー:読み物

なぜサンタクロースは男性だと決めてかかるのかね

東野圭吾著、杉田比呂美画「サンタのおばさん」(文芸春秋、01年)から(p36)。

似たような話が、中村紘子著「チャイコフスキー・コンクール」にあった。「女性ピアニストたち」と題された章。「中世以来、ヨーロッパ人にとって音楽とは宗教的尊敬(即ち神)そして世俗的尊敬(即ち君主)の象徴とみなされてきたものであり、要するに権力、男らしさ、英雄的なもの等々の象徴であった」(p183)。帝王カラヤンいわく「女性はオーケストラなどにいないで、台所にいるべきである」(p186)。そんな偏見は、その内、完全になくなり、そんなこと言っている時代があったなあ、と語られることになるのだろうか。

一流奏者の需要(サイト内)

戦争まで

  • 2020/06/28 06:34
  • カテゴリー:読み物

自らの利益の最大化を図りつつも、他のものもその道に仮託することで利益が得られるように配慮すること、そのような行為を、普遍的な理念の具体化、という

日本は、先の大戦で、この普遍的理念を掲げることができなかった。理念を掲げる、ビジョンを描く、その手の行為は、我々日本人にとって鬼門なのかもしれない。引用は、加藤陽子著「戦争まで」(朝日出版社、16年)から(p443)。この本、一読の価値ある。

本書の副題は、歴史を決めた交渉と日本の失敗。また、表紙には、かつて日本は、世界から「どちらを選ぶか」と三度、問われた。より良き道を選べなかったのはなぜか。日本近現代史の最前線。とある。

アダム・スミス著「国富論」(1776年)でのアメリカ独立の議論(p87)。リットン報告書(1932年)が示した「世界の道」(p130)。軍事同盟の三要素、仮想敵国、援助義務、そして勢力圏(p216)。判断し、選択するための「時間」は、あまねく公平に与えられている(p301)。米国は真珠湾に第一打が来ることを知っていた、はウソ(p415)。宣戦の最後通告をぎりぎりまで出さないよう陸海軍統帥部が図った(p412)。

北支事変坂の上の雲第5部単なる復興ではないコロナ後(いずれもサイト内)

坂の上の雲第5部

  • 2020/06/25 07:07
  • カテゴリー:読み物

新聞の水準は、その国の民度と国力の反映であろう。

当時世界最強とも言われたロシア軍が日露戦争に負けた。なぜそんなことになったのか、戦後、日本の新聞は、冷静な分析を一行たりとも載せなかった。日本国民は、交戦国における暴政や革命機運を知らされなかったばかりか、さらに、日本軍隊の絶対的優越性という迷信を持つに至る。司馬遼太郎全集第26巻(文藝春秋、73年)「坂の上の雲」第五部(p80)から。それから百年経った現在、日本において、情報を出す側、受け取る側、各々の水準はどんなもんだろうか。

坂の上の雲(サイト内検索)

日曜日はどこへ

  • 2020/06/21 06:59
  • カテゴリー:読み物

あのいつもの部屋へ帰っていくのだ。どこか知らない場所なんて。誰も知らない場所なんて。どうやったって辿りつけるわけがなく、そんな場所はこの世界のどこにもありはしないのだ。

話はそう終わる。川上未映子著「愛の夢とか」(講談社、13年)に収載の「日曜日はどこへ」から(p65)。不思議な気分になる話だ。多感な頃に、つき合っていた彼氏にふられ、その後、辛い思いを引きずって生きている。出口を探すかのように、14年前の約束を果たそうと思い出の場所へ行くのだが・・・。おれも、ずっと昔に誰かと、何か、約束をしたのではなかろうか、と思い出そうとするけれど、何も出て来ない。

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