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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

大と真

  • 2021/01/07 06:31
  • カテゴリー:読み物

人は、親が生み育てるのだけれど、後半生は本人が自力でやってゆかねばならん。人の一生っていうのは親と子の合作のようなもの

足立巻一著「大と真-おじじ子育て記」(理論社、81年)から(p19)。著者は、評伝三部作で、祖父と父、恩師、そして学生時代からずっと追っ掛けて来た本居春庭を書いた。本書は、なんと、孫二人との物語。

二つの言葉の語源が語られる。「生まれる」(p6)と「梅雨(つゆ)」(p134)。

足立巻一(サイト内検索)

雷鳥の森

  • 2021/01/04 06:46
  • カテゴリー:読み物

二十年が過ぎたが、彼にはまるできのうのことのように思われる。人が生きていくなかで、時の長さは、暦ではなく、生じた出来事によって計られるからだ。道の長さが、実際の距離ではなくて、道行きの困難さによって記憶されるのと同じように。

マーリオ・リゴーニ・ステルン著「雷鳥の森」(みすず書房、04年)に収載の「向こうにカルニアが」はそのように始まる(p1)。カルニアは、中央ヨーロッパから西に歩いてアルプスを越えてきた者が、最初に踏むイタリアの地、と注にある。著者もまた、アルプスを越え、ナチスの強制収容所から生還したのだった。

持ったる懐剣なげうったが背筋へ当たってのう。暑さ寒さ陽気の変わり目に痛んでならん。二十年以前の傷だが、治るか。

古傷、切り傷に効き目があると口上し、がまの油を商っておれば、背中に後ろ傷を負った親の仇にいつか巡り合えるに違いない、と香具師に身をやつした姉弟。今まさに討つべき仇が眼前に現れた、のだが。引用は、三代目三遊亭金馬の落語「高田の馬場」から。放送、NHK第1、1/3 ラジオ深夜便1時台。初出、同局、56年3月の「演芸独演会」。

それから20年たった今、コロナ感染拡大を受けた給付金支給の混乱などを見れば、行政のデジタル化は進んでいなかったことが分かる。

2001年、時の森喜朗内閣が、IT国家戦略をぶち上げたのだったが、結局は何も進まなかった。引用は、「デジタル庁」元年、DX挽回なるか 菅首相肝煎り―番号カード・行政システム焦点(jiji.com、1/1 7時19分)から。縦割りや縄張りでデジタル化を阻む官僚機構、果たしてそれに風穴を開けることができるだろうか。

場所も時代も異なる3つの話。共通するのは「20年」、ただそれだけ。

# Mario Rigoni Stern (1921-2008)。石丸謙二郎の山カフェ「山びとの生き方~服部文祥さん」(NHKラジオ第1、11/21 8時)

拝啓カアチャン様

  • 2021/01/03 07:00
  • カテゴリー:読み物

一に通信、二にラッパ、三に薬莢のしりたたき、特別番外、馬にハト

歩兵連隊の中で、スカせる(楽ができる)ランキング。番外の馬当番と通信鳩担当はとりわけ楽ができる。薬莢の尻叩きは小銃を撃つことつまり歩兵本科。引用は、「棟田博兵隊小説文庫」第7巻(光人社、74年)から(p55)。解説に「資料的価値に富む」とある。物語としても随分面白い。

本書に収載された「拝啓カアチャン様」(初出63-64年)は馬当番の長編、「ポッポ班長万歳」(同60年)はタイトルの通りハト兵の短編、馬とハト、楽できるはずなのだが・・・。いずれも岡山歩兵第10連隊の兵営を主たる舞台にしている。一方、第三話の「サイパンから来た列車」(同55年)は東京駅から話が始まる、まったく毛色の違う話。

棟田博(サイト内検索)。ものかは、ゆくりなく、よそながら、メートルを上げる、小間物店を開業。小畑敏四郎|Wikipedia

新聞の読み方

  • 2021/01/01 06:57
  • カテゴリー:読み物

年が明けた。今年はどんなことが起こるだろうか。新聞は、それをどのように伝え、どのような意見を聞かせてくれるだろうか。

昨年末、図書館の棚から分類番号 070.4 の本を何冊か借りて来てざっと読んだ。

各新聞の論調を知るにつけ、一紙だけ購読することが、いかに危険かの思いがますます深くなる。日本人の場合、主義主張とは論理の帰結ではなく、結局は性格の問題ではないかと思える。

新聞各紙の論調も、各々の性格に基づく。理屈じゃない。産経新聞論説委員室編著「社説の大研究-新聞はこんなに違う!」(産経新聞、02年)から(p53)。

一紙は保守系、一紙はリベラル系といったように、論調の異なる二紙を読むと良い

池上彰著「新聞の読み方-考える力と情報力が身につく」(祥伝社、19年)から(p36)。「大雑把にいえば、『朝日・毎日・東京』がリベラル・左、『読売・産経』が保守・右、真ん中に『日経』があるといった構図」(p45)。

具体的には、新聞社の主張はどのような形で記事に反映されるのでしょうか。これを見分ける際に注目するポイントは「事実の選択」と「推測表現」です。

松林薫著「新聞の正しい読み方-情報のプロはこう読んでいる!」(NTT出版、16年)から(p60)。新聞は、不偏不党、公平中立の方針を掲げている割には、しばしばニュースで主張する。本来、善悪などの価値判断にまで踏み込んだ記事は、社説や署名記事くらいなはずなのだが。

「送り手」(メディア)側の度量が問われている。新聞よ、弱体化したなんて言われて悔しくないか。週刊誌にスクープを好き放題にとられて悔しくないか。

プチ鹿島著「芸人式新聞の読み方」(幻冬舎、17年)の小見出し「文春砲の炸裂はテレビ・新聞が弱体化した表れ?」の部分から(p228)。権力側は、マスメディアを、排除する、粉砕する、懐柔する、服従させる、もしくは上手く利用する。とにかく骨抜きにしようとする。新聞は、屈していないか、大丈夫か。

検証尖閣問題

  • 2020/12/25 06:19
  • カテゴリー:読み物

背景には、自衛隊は中国軍に勝てるという日本人の思い込みがある。

日本のイージス艦は優秀なんだろうけれど、一度、軍事紛争が起これば、海軍どうしが戦うだけでは済まない。戦闘機がやって来る、ミサイルが飛んで来る。引用は、孫崎享編著「検証尖閣問題」(岩波書店、12年)から(p45)。以前に書いたように、中国の中距離ミサイルは、航行中の船舶を精密に攻撃できる。それに比べれば、自衛隊の基地や在日米軍の滑走路を標的にすることはそう難しことではない。

尖閣問題が話題になった日中外相会談に関して政府やメディア双方が弱腰云々と先月ここに書いた。果たして弱腰と決めつけて良いものなのだろうか。そう考え直した理由は、尖閣問題は棚上げにすると日中政府間で合意した、そんな話があったことを思い出したからだ。六紙の社説(11/26-28)を読み返してみたがいずれもその合意には触れていない。ただ、中国の外相「王氏は事態を複雑化させる行動を双方が避けるように求めた」(毎日、11/26)は、中国が日本に対して棚上げを守るよう要請していると読める。日本政府やメディアはもちろん棚上げの合意を忘れてはいないだろう。それを無視して強気に出たいところだがそこまで破廉恥になれない。それが弱腰に見える原因ではないのか。あらためて日本政府の見解や、web上の様々な情報、そしてこの孫崎享編著「検証尖閣問題」などを読んでみた。

どうも情報が操作されているニオいがする。政府やメディアの言い分に惑わされないように留意したい。ここでは、気掛かりな点をいくつか並べるに留めておこう。1) 本件の大前提として、ポツダム宣言や、カイロ宣言、サンフランシスコ条約はどのように理解されているのか。2) 本件に中立であるはずの米国、バイデン新政権含む、が尖閣諸島も日米安保条約第5条の対象であると時々言う意図は何か。3) もし本件で日中の軍事紛争となった時、日本は、増強著しい中国軍とどう戦うのか。4) 米軍はすぐに参戦して来るのか。この最後の二点を慎重に精査する必要がある。さらに加えると、5) 周恩来首相と鄧小平副首相が提言し、田中角栄首相と園田直外相が同意した棚上げは今もその精神が生きているのか。6) 日本による国有化の宣言(12年)はその合意にどう影響したか。7) 日経の社説(11/27)にあった「真相不明の日本漁船」とはいったい何なのか。そして、8) 日本政府は軍事衝突を避けるためにどのような外交努力を展開しているのか。

尖閣問題、日中外相会談二つのミサイル(いずれもサイト内)。尖閣諸島についての基本見解|外務省。尖閣付近の「正体不明の漁船」とは何か。メディアが中国外相発言を追求しない理由

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